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第1077話
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交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1088話
高橋「……それもそうか。妻には教えていなくてよかった」「奥さんがおじさんに毎月渡しているお小遣いもそんなに多くないでしょうけど、普段の生活で必要なものはおばさんが払ってくれているんですよね。お二人のご実家のご両親への仕送りとか、交際費、教育費は全部おじさんが心配する必要はないんでしょ。実際、おじさんはもうそれだけで儲かってるんですよ。お金の管理をするほうが大変なんですから」高橋はまた口を開いた。「それもそうか。あいつが金の管理は好きだから、任せっきりにしてるのさ。以前、私が管理していた頃はさ、いくら店の売り上げが良かろうとも、年末の決算の時期には、数十万くらいしか残らなかったんだ。うちのやつに任せるようになってからは、年末には数百万残るようになったんだ。私も楽になったし、家にも金が貯まっていってな。それに、妻は平等な人だから、自分の親に肩入れすることなく、自分の実家と私の実家に同じくらい仕送りをしているんだ。本当にどちらの家のことも平等に見ているから、うちの両親も嫁がとても好きなんだよ。内海さん、実はさ、もし私が妻と喧嘩したらね、言うまでもなくうちの家族から私のほうが怒られちゃうんだよ」唯花は高橋の愚痴のような話を聞きながら、実は彼は自分の幸せを見せつけているのかわかった。彼らは大金持ちとはほど遠いかもしれないが、高橋の妻は親族との仲を非常に重視して和やかにできる人なのだ。高橋の妻は口が鋭いが、それは表面的なもので実際は心は優しいのだ。それに、高橋の妻の人柄や処世術は、唯花にとって学ぶべき点が多いと感じさせた。「あんた、そっちにいるのかい？」高橋の妻が隣から大声で夫を呼んだ。高橋は急いでそれに応えた。そして、小声で唯花に「内海さん、これは秘密にしといてね。じゃ、これで失礼するよ」と言った。唯花は笑って頷いた。高橋は出口のほうへそそくさと向かい、歩きながらもう一度妻が自分を呼ぶ声に返事していた。高橋が去ってから、唯花はすぐに食事を終わらせ、食器を片付けてキッチンへと入り、きれいに洗った。そして再びキッチンから出てきて、近所の店にお邪魔した。お互いすでに数年の顔見知りなので、おしゃべりするのにもってこいなのだ。近所の店は唯花が結城家に嫁いだので、彼らとは距離を置くだろうと思い込んでいた。それが、唯花は以前よりも
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1087話
理仁がまだ名残惜しそうにしていたとしても、唯花は結城グループを離れ、店へと戻った。彼女が店に戻ってきた頃には、塾通いの高校生たちがよく来る時間帯だったので、店はまだ忙しかった。悟もまだ到着していないようだった。彼女と明凛は少しの間仕事をしていた。悟が本屋の前に着いた時には、もう高校生たちが参考書を買いに来る時間は過ぎていたので、店の中はだいぶ人が少なくなっていて、唯花一人でもさばけるようになっていた。悟がやって来る時には、必ず明凛に花束を持ってくる。明凛のほうも彼にちょっとした贈り物を用意していた。このカップルはお互いのご機嫌取りをするのが上手で、細かいところまで心配りができる二人だった。理想的なカップルだ。「唯花、それじゃ、ご飯に行ってくるわね」明凛はカバンを取って、悟からもらった花束を抱え、唯花に向って微笑んで言った。唯花が頷くと、彼女は安心して悟と一緒に出かけていった。唯花は一人で暫らく仕事をしていた。高校生たちがいなくなってから、キッチンへ向かい、作っておいた料理を温めなおして、一人で夕食を食べ始めた。「内海さん、こんばんは」隣の店の高橋がこの時店にやって来た。「高橋さん、夜ごはんはもう食べましたか？」「ああ、もう食べたよ」高橋は笑顔で尋ねた。「牧野さんは帰ったのかい？さっき花束を抱えて、よく店にやってくるカッコイイ兄ちゃんと一緒にどこかに行っちゃったけど。あれは牧野さんの彼氏なのかい」「そうですよ。明凛の彼氏の九条さんです」唯花は高橋を椅子に座らせようと勧めたが、彼は座らず笑って言った。「ただちょっと様子を見に来ただけなんだよ。君にひとこと挨拶するくらいでね」彼は声を低く抑えて、ニヤリと笑って言った。「この前、内海さんに賭けの話したの覚えてるかい？私はね、へそくり全部賭けたんだよ、そしたら大儲けしちゃってね、ひひひ。内海さんがあの結城家の若奥様になったって、この店は今まで通りに営業するって、内海さんも今まで通り働きに来るって言ったんだよ。それなのに他の奴らは全く信じようとしないんだ。内海さんが結城家に嫁いだんだから、今後はただ若奥様として、表には出てこないって頑なに言ってたんだよ。結果は私の勝ちだったね。彼らはみんな負けちまった。はっはっは、だけどへそくりはそんなに多くなくて残念だったよ。
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1086話
「辰巳と奏汰が俺たちに助けを求めてくる時がくるさ」理仁はまるで占い師のようにそう言った。唯花はそれを聞いて呆れたように苦笑した。彼は自分がそういう恋や愛などに疎いというのに、辰巳たちが助けを求めてきたとして、彼に一体何ができるというのか？恐らく彼は余計なことをしてさらに面倒くさくさせてしまうだけだろう。「唯花、俺を信じていないな」「そんなことないわよ」理仁は彼女をちらりと見て言った。「まあそのうちわかることだよ。あいつら、何か困ったら、いつも俺に相談しに来るんだ。俺が手伝えないようなことでも訴えにくるんだぞ」あの八人いる結城家の若い世代が理仁のことを敬い、信用しきっていることを思い出し、唯花はここで理仁の予言を信じることにした。「その柴尾家の妹のほう、君と何か衝突を起こしていないよね？」唯花は鈴に会って、柴尾姉妹が不仲だということしか話していなかった。さっき鈴と少しもめたことは伝えなかったのだ。鈴があれ以上騒いでも、唯花から何か得られるものはなかった。理仁が自分を守るためボディーガードをつけてくれていることを思い出し、唯花は結局、鈴のあの横柄な行動を理仁に伝えたのだった。また以前のように唯花が彼に隠し事をして家族と思ってくれていないと騒ぎ出さないようにするためだ。理仁はそれを聞くと、表情を暗くし、立ち上がってその場を離れた。そしてすぐに唯花の前に戻って来て、彼のロールスロイスの鍵を唯花の手に置き、毅然とした態度で言った。「唯花、今後は君がこの車を運転してくれ。次、その柴尾家の女に会った時、あいつがまた君に安物の車を運転していると言えるかな。あの女、また車にぶつけて壊してやるなどとほざけるだろうか！」柴尾社長は自ら赴き、妻と娘に代わって謝罪をしてきた。しかし、鈴のほうはまったく懲りていないらしい。反省することはなく、逆に唯花のことを歯ぎしりするほど恨んでいる。本当に死ぬのが怖くないらしい！「頭のおかしい人に喧嘩を売られたって、まともに相手にして何になるの？」唯花は車の鍵を彼に返した。「私はあの『安物の車』とやらが好きなのよ」「唯花」理仁は低い声で辛そうな声を出した。「俺は、君が他人から見下されるのに耐えられないよ」「車を変えたからって、人から見下されなくなるわけじゃないのよ。私がこれからロール
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1085話
唯花は彼からその綺麗な袋を受け取って、嬉しそうに彼に尋ねた。「これ、なに？」理仁はソファに座り、ニヤニヤしながらこう言った。「開けてみたらすぐわかるよ」そして彼は弁当箱の蓋を開けて、妻が持って来てくれた愛妻弁当を食べ始めた。唯花はそれを見た後、笑顔になって言った。「全部スキンケアね、姫華がくれたスキンケアもまだたくさんあるのよ」この男はかなり前からあの得意なヤキモチを焼いていたのだ。唯花が姫華の贈ったスキンケアを使うのが気に食わないので、彼が贈ったスキンケアしか使ってはいけないなど自分勝手な話をしたのだ。そして、それから結局今まで彼女にプレゼントしていなかった。彼女はただ彼が口でそう言っただけで、実際にはそうすることがないということにして、引き続き姫華がくれたあのスキンケアたちを使っていた。それはとても効果が良く、以前彼女が使っていたブランドのものとは比べ物にならなかった。やはり高いものは、値段がするだけの価値があるということだ。「今後は俺がプレゼントしたものだけ使ってね」理仁は実際、女性がどのブランドのスキンケアを使うのか詳しくなかった。今まで彼は一度も女性にそんなものを贈ったことがなかったからだ。だからこっそりと母親に尋ね、勧められたブランドの中からいくつか選んで買ってきたのだ」彼は母親が生まれつきお嬢様として生きてきたので、そんな彼女が勧めてくれたものを買えば、きっと間違いないだろうと考えたのだ。唯花は彼の一番大切な人だから、この世で一番良いものを使うべきなのだ。唯花は笑って言った。「わかった、これからはあなたからもらった物だけ使うわ」「唯花、一緒に少し食べない？」「いらないわ。一人分しか用意してこなかったから。さっき辰巳君も一緒に食べることになったら、きっと足りないと思っていたのよ。でも辰巳君が空気を読んでどこかに行ってくれたからよかったわ」というか、辰巳は明らかに理仁の手によって強制的に押し出されたのだが。理仁は顔色を変えずに言った。「あいつの目が見えてる限り、お邪魔虫になるようなことはしないさ」唯花は失笑した。彼が美味しそうに食べているのを見て、彼女もどんどん嬉しくなってきた。それで、今日咲の花屋に行って、また鈴に出くわしたことを話し始めた。「咲さんは本当に目が見えていないみたいよ。見えない
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1084話
辰巳「……俺はただ社長と仕事の話をし終わって、ちょうど義姉さんが来たタイミングとぶつかっただけだろう。義姉さんはもう俺の家族だよ、家族が美味しい料理を作って持って来てくれたんだから、ちょっと味見程度くらいさせてもらったっていいじゃないのか」それを聞いて木村はさらにおかしくなって笑った。「だからこそ、副社長はあの部屋から追い出されてしまったんですよ」恐ろしい相手から美味しい物をいただくのは、辰巳が理仁の従弟じゃなければ、大喧嘩になるところだった。幸い、従兄弟二人は小さなことで喧嘩して仲違いしたりすることはあるまい。辰巳は口を尖らせた。「結婚した人間がそんなに偉いっていうのか。まるで俺には奥さんができないように思われている感じがする」「副社長も結婚したら、奥さんが毎日ご飯を届けてくれますよ。それで私たち独身男に見せつけてくれるんでしょうね」辰巳は言葉を失った。彼のおばあさんが選んだ花嫁候補は、目の不自由な女性だ。どうやってご飯を作ってくれるというのだ？逆に彼が彼女に作ってあげると言ったほうが正しいだろう。「九条さんは最近春が来たって感じにキラキラと輝いていらっしゃいますよ。その幸せオーラを周りにまき散らしながら歩いています。どうやら、愛というものはとても素敵なもののようですね」辰巳は木村の目の前まで来ると、彼のネクタイを引っ張った。「木村にも彼女ができてから、そのセリフを俺に吐いてくれたまえよ」木村自身もまだ独身である。「九条さんとは比べたくないな。彼は一番ラッキーな人だからね」悟と明凛が一緒になるのには、全く波風など立たなかった。両家の親はこの二人の結婚をまだかまだかと期待しているくらいなのだ。牧野家自体は九条家には及ばない。しかし、一般家庭というわけでもない。大昔から続く名家というわけではないが、金持ち家には変わりない。それに、明凛のおばは金城家の夫人である。それがまた明凛の身分に点を加える形になり、悟と明凛は家柄の合う二人ということになる。それに二人はどちらも他人の噂や情報を収集するのが好きなタイプで気が合う。辰巳はおばあさんが目の見えない女性を奥さんにと選んできても、悟に頼んで柴尾咲について根掘り葉掘り調べてもらうことはしなかった。それは、自分の恋愛事情を悟の茶飲み話にされるのが嫌だったからだ。悟はいつでも
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1083話
唯花は無理やりその四千円を咲の手に握らせた。咲は手でそのうち二枚を触ってから、それを唯花に返して言った。「若奥様がそうおっしゃるのであれば、ここから半分いただいておきます」二人は今知り合ったばかりであるし、何かを言えるような関係でもないので、唯花は粘ることはせず、咲の手からその二千円を受け取り笑った。「柴尾さん、ありがとうございます。このお店の花はとても綺麗ですね。今後また必要な時はここに買いに来ます」咲は微笑んだ。「いつでも大歓迎です。花束が必要な時は事前にご連絡ください。ただ、贈り先がどのような相手の方なのか教えてくだされば、こちらで選んで包装まできちんとしておきます。お店にはそれを取りに来られるだけでいいですよ」そう言いながら、彼女はレジの前まで歩いていき、テーブルに手をついてぐるりとレジまで回り込み、手探りで引き出しを開けるとその中から名刺を一枚取り出して唯花のほうへ差し出した。「若奥様、これが私の名刺です」唯花は彼女に近寄り、その名刺を受け取って言った。「じゃあ、今後必要な時には、柴尾さんに電話をしますね。では、私はこれで」「ありがとうございました。またのお越しを」咲はまた手をつきながらレジから出てくると、唯花を店の外まで見送った。唯花の足音を注意深く聞き、彼女が車に乗るほうを向いて、微笑みながら言葉を発することなく手を振った。唯花は花束を助手席に置くと、シートベルトを締めながら咲に向かって言った。「柴尾さん、早くお店に戻ってくださいね」咲は笑った。唯花が車のエンジンをかけて走り去る音を聞いて、咲はようやく店のほうを振り向いて中へ戻っていった。数分後、唯花はさっき鈴に価値のない「安物の車」と毛嫌いされた車を運転して、結城グループにやって来た。理仁のガレージには多くの高級車が止まっている。彼はバレンタインデーの日、唯花にプレゼントするために新車を一台準備していた。ただ、唯花がその日は受け取ってくれなかった。夫婦が仲直りした後も、彼女は新しい車に変えていなかった。彼女はこの車は理仁が初めて彼女にプレゼントしてくれたものだから、彼女にとってはとても意味のあるものだったのだ。理仁も彼女に対して車を交換するように要求していなかった。彼女がどのような車を運転していようとも、彼女はいつだって理仁の大切な妻なのだから
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