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第1218話

Author: リンフェイ
美乃里は唯月を調査させることで、唯月と自分の息子がプライベートでよく接触しているのではないか知りたいと思っていた。

琴音は美乃里が電話で唯月の近況を調べさせろと話しているのを聞いて、尋ねた。「おば様、まさか隼翔さんがあの女性に気があるだなんて思ってるんですか?」

「彼女はバツ一女だし、太ってるし、隼翔は目が肥えた人だわ。でも、やっぱり警戒しておかないと。彼女が隼翔に変な気を起こさないとも限らないでしょ?琴音ちゃん、おばさんの息子のお嫁さんはね、あなたのような女の子しか認めないの」

もし唯月がバツ一女でなかったとしても、彼女は美乃里には認められないのだ。

琴音「……それもそうですね。私はそれには考えが及びませんでした。ただ隼翔さんが離婚した女性を好きになるだなんて絶対ないと思って。それにおば様がきっと同意しないでしょうし。あんな女の人なんて目にも入れなかったんです」

「琴音ちゃん、隼翔はずっと独身で、一切のゴシップ話も出したことないし、誰かを好きになってアタックしたこともないわ。あの子はね、恋とか愛とかにはすごく鈍い子なのよ。だけど、もし誰かがそんな彼を目覚めさせてくれれば、その女性は一生優しく大切にされるわ。

あの女のことを甘く見ていては駄目よ。彼女は結城理仁の妻の実のお姉さんよ。隼翔と理仁は親友で、しょっちゅう顔を合わせているわ。一緒にいる時間が増えれば、あの女に野心が芽生えないとも限らない。妹が玉の輿に乗ったように、自分もそうなりたいと思い出しかねないわ。

だから、あなたが最も警戒すべきなのはあの内海唯月という女よ。もし何かおかしいと思っても、あなたならきっとあの女に対抗できると信じているわよ」

それを聞いた琴音は表情を厳しくさせた。もう唯月が恋敵にはならないだろうと簡単に思うことはできない。

隼翔がバツ一女性を好きにならなかったとしても、あの女の方が勝手に変な妄想をし始めるかもしれないのだ。

「おば様、肝に銘じておきます」

琴音は隼翔を落とすことができるとかなりの自信を持っているのだった。

今、隼翔が彼女を避け続けていればいるほど、将来彼女のことを好きになって愛した時、絶対に溺愛されるに決まっている。

「東グループに戻って様子を見るわよ」

そう美乃里が言った。

琴音は返事をした。「おば様、隼翔さんは仕事がとても忙しいでしょう。私た
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カスミレン
東社長のお母さん、印象わる!
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