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第1389話

Author: リンフェイ
走り続けて疲れてしまったせいか、それともこの状況に驚いたせいか、俊介の足はがくがくと力なく、唯月を抱き上げることもできなかった。

「彼女を今動かしてはいけない!」

結城家のボディーガードがこの時俊介を押し退け、唯月に触れさせないようにした。下手に動かせば出血が増えてしまうからだ。

彼は救急車に電話をかけた後、どうにかして唯月の血を止めようとしていた。それと同時に理仁たちに連絡を入れた。

理仁は義姉がナイフで何回も刺されたと聞いて、我慢できずに怒鳴りつけた。「あんなに多くの人間が見張っていて、後を追っていたというのに、義姉さんに怪我を負わせただと!」

こんなことになってしまい、彼は唯花にどう顔向けすればいいのだ?

ボディーガードは返事ができなかった。

彼らは大勢で見張ってはいたが、相手側の人数もかなり多かったのだ。

それで彼らは唯月に追いつくのが数分遅れてしまい、そのたった数分の間に唯月がナイフで刺されてしまったのだ。

事件が起きた付近にある病院の救急車が最短で現場に駆けつけてきた。

唯月は病院に救急搬送されて、救命措置が取られた。

「ママ……」

陽は涙で顔をくしゃくしゃにしていた。

彼自身の体も血まみれだった。それは全部母親の血だ。

「陽」

この時、俊介は自分の不甲斐なさに自分の顔を殴った。

どうして息子を抱き上げて歩かなかったのだろうか?

もし彼が息子を抱いて歩いていれば、彼がさらわれることもなかったはずだ。唯月も息子を助け出すために、何度もナイフで刺されることはなかった。

万が一、唯月に何かあったら……

その続きは、あまりの恐怖に俊介は考えることができなかった。

きっと大丈夫だ!

唯月は善良な人間だ。彼女は神様に見守られているはずだから、最悪の事態になどなるはずがない!

俊介は息子を抱きかかえて、救急車に乗り込んだ。

救急隊員が車の中で急いで唯月の傷口の止血をしていた。彼女は数か所刺されてはいるが、致命傷になるところはなかった。しかし、止血をきちんとしないと、失血により死亡してしまう可能性がある。

陽が全身血まみれなのを見て、陽も怪我をしたのだと勘違いし、救急隊員が包帯で処置しようとした。

「ママの血なの」

陽は泣きながらそう言った。

それでも救急隊員は彼を抱き上げてきて、傷がないか全身検査し、陽は傷がないこ
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