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第1666話

Author: リンフェイ
「母さん!」

「もうはっきりとあんたには伝えたからね。もしあんたが私と親子関係を切ってしまえるって言うんなら、あんたが誰を好きでも、もう二度と構ったりしないから」

美乃里はそう言い終わると、踵を返して怒りのオーラを放ったまま歩いていった。

隼翔のほうも同じくかなり頭にきていた。

母親は別に唯月を嫌いなわけではないのに、どうしてここまで頑固にも結婚は認めないというのか、彼にはどうしても理解できない。

まだ唯月には気持ちを受け入れてもらえていないというのに、母親のほうはここまでひどく騒いできて、ただ足を引っ張るばかりだ。

そもそも唯月は隼翔のことを何とも思っていないのに、母親のせいでさらに隼翔を遠ざけようとするだろう。

隼翔は顔を上げて見ていた。彼は唯月の部屋に戻ることはせず、自分の車のほうへ歩いていき乗り込むと理仁と悟に電話をかけて一杯飲もうと誘った。

そして二人がそれに同意する前に、誘うだけ誘ってすぐ電話を切り、車を出した。

九条家では。

悟は一方的に切られてしまった携帯画面を暫く見つめてから悪態をついた。「俺はまだ新婚の休み期間だぞ。あの野郎、それなのに酒の誘いと
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