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第7話

Author: 鳳 小安
我に返った小雪は、夜空に打ち上げられた花火を見つめながら、ぽつりとつぶやいた。

「人生って、この花火のように儚く散るものね」

「なにそれ、そんな悲しい話やめてよ」

義堂は小雪を力強く抱きしめた。

「小雪、本当に愛してる。お願いだから、俺から離れないでくれ」

──愛?

小雪は、心の底から可笑しくなった。

ほんの数時間前、別の女と二人で、自分たちの寝室で淫らにまみれておきながら、今さら何を言うのだろう?

罪悪感なんて、彼の中には一欠片も存在しないのか?

この人間の底知れぬ厚顔無恥さに、ただただ呆れるしかなかった。

小雪はひとつ息を吐いて、心の中で呟いた。

もういい。全部、もうどうでもいい。

彼女はすでに心を決めていた。義堂の人生から、自分の存在を完全に消し去ることを。

その夜、屋敷は最後まで賑やかだった。来客たちも一人また一人と帰っていった。

翌朝、義堂はいつものように早朝に出かけていった。

小雪はスマホを開くと、メッセージが届いていた。

【スマホを開けて、松原玉枝の配信を見てみて。見たいものが、そこにあるわよ】

差出人は非通知の番号。誰かは分からない。でも、内容はだいたい予想がついた。

小雪はすぐに配信アプリを立ち上げ、玉枝のライブを探してアクセスする。

そこには、今日の彼女の誕生日パーティーの様子が映っていた。

豪勢で華やかな会場。けれど、それ以上に、彼女の背後に映っていた光景に、小雪の心は揺れた。

あの部屋、あの服、あの靴、あの装飾。

それらは、先日自分の誕生日のために義堂が用意したもので、使われなかった残りは「川下別荘」に運ばれたと聞いた。

まさか──玉枝があの家に、住み着いたというの?

小雪の手が、スマホを握るたびに震える。

失望の果てに、もはや絶望しか残されていなかった。

「皆さん、こんにちは。今日は私の誕生日です。これは、私の彼氏が開いてくれたバースデーパーティーです」

画面には、祝福のコメントが溢れかえる。

【なんて盛大な誕生日パーティー!玉枝ちゃんの彼氏、優しすぎない!?】

【福山義堂が小雪にした誕生日パーティーと同じレベルだよね、これ!】

【えっ、玉枝が住んでるのって川上別荘?あそこって値段は何億円でしょ!?マジで!?!?】

【玉枝ちゃん、彼氏いつ出てくるの!?ふたりの愛、羨ましすぎる!】

玉枝は微笑みながら、コメントを読み流す。

「ふふ、彼は顔出しNGなの。私が守ってあげないとね」

その直後、配信の画面にに誰かが最も高価な有料ギフトを連続投下した。

【やばっ!誰!?めっちゃ金持ち!】

小雪は即座に送信元のアカウントを確認した。

履歴のない匿名アカウント。

けれど直感で分かった。それは義堂の裏アカウントだ。

極めつけに、玉枝はカメラをフェードさせ、画面に一台の真紅のフェラーリを映し出した。

それは、昨夜義堂が小雪に贈ったのと、まったく同じモデルだった。

コメント欄は歓喜の声で爆発し、文字が飛び交い、小雪にはもう何も読めなかった。

彼女は静かにスマホを閉じ、ゆっくりと顔を上げて、壁の時計を見た。

7月15日。

自分が「死ぬ」と決めたのは、明日。

見渡せば、冷たく感情のないこの家に、もう何の未練もなかった。

けれど、たとえ死ぬとしても。

あのふたりに、何の代償も払わせないまま終わるなど、絶対に許さない。

小雪はスマホを手に取り、玉枝にメッセージを送った。

【明日、柳川橋で会いましょう】

すぐに返事が届いた。

【いいわ、やっと来たわね小雪。やっぱりあんたも馬鹿じゃなかったみたいね】

続いて、玉枝から一枚の写真が送られてきた。

そこには、エプロン姿の義堂が、台所で料理をする姿が。

【見た?これ、彼が私のために作ってくれた料理よ。あなたは?彼、あなたのために料理したことある?】

小雪は目を伏せた。

また、心が痛んだ。

十年。義堂と知り合って十年になる。その間、一度も料理をしてくれたことはなかった。

けれど、玉枝のためには、手ずから台所に立ったのだ。

十年の真心が、結局無駄になったわけだ。

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