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第6話

Author: メガヒット
「専属医師なんて、菅野さん、他の名医をお探しになった方がいいですよ!」

私が荷物を掴んで踵を返したその瞬間、弾丸が私の足元に撃ち込まれた。

けれど、私はもう一度死んだ身だ。こんな脅し、今さら怖くもない。

私は素早く身を伏せ、よく研がれた短刀を抜き、炎に突き刺そうとした。

「東洋の女は、みんなそんなに無鉄砲なのか?」

炎の目は冷ややかだったが、その瞳の奥には凍えるような冷気が宿っている。

「度胸はあるな。だが――まだ足りん!」

言葉が終わるか終わらないうちに、弾丸が私のこめかみをかすめた。

焼けつくような痛みが全身を駆け抜け、手の中の短刀が地面に落ちて澄んだ音を立てた。

それでもまだ足りないと思ったのか、炎は私の足に向けてもう一発撃った。

致命傷ではなかったが、肉が裂けて骨がのぞくほどの深い傷が刻まれた。

切れ長の美しい目には、私の恐怖と狼狽が映り込んでいた。

その瞬間、私は思った。

報道も、ニュースの記事も――彼を美化しすぎていたのだ。

これは狼なんかじゃない。まさに地獄の猟犬だった。

私は深く息を吸い、できるだけ冷静を装った。

「菅野さん、私は特級院区から派遣された医師です。もし今日ここで私を殺したら――

私の国が、あなたを放っておくと思いますか?」

炎は手を上げ、私の顎を掴んで無理やり顔を上げさせた。

「それで?ガルリヤ国では戦火が絶えん。医者が一人二人死ぬなど、よくあることだ。

そんなことで俺を脅すとは……愚かだな」

そう言って、彼は銃口を私の眉間に押し当てた。

「祖国に伝えておこう。お前がどれほど勇敢だったか、とな」

銃の中で弾がわずかに動く音がした瞬間、正直、私は怖くなった。

一度死んだことがあるとはいえ、二度目はさすがにごめんだった。

「待って!」

私は反射的に彼の手を掴み、陽菜が徹也を手玉に取ったときの手口を真似した。

涙を浮かべ、わざと甘く、挑発するように笑った。

「菅野さん……あなたの言うとおりにします。専属医師になります」

多分、私の演技があまりにも下手で呆れたのか、あるいは――炎がこういう女に弱いのか。

まさか、あの人の目にほんのりとした照れが浮かんだように見えた。

……そんなはず、あるのだろうか。

その正体を確かめる間もなく、炎は部下を呼びつけ、私を部屋へ押し込んだ。

医療箱だ
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