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政変~契り5

مؤلف: 夏目碧央
last update تاريخ النشر: 2026-08-01 15:33:36

 そして投票日前日を迎えた。夜8時まで街宣車で周り、宮殿に戻ってきた未来は、遥貴の部屋へ直行した。

「遥貴!」

部屋へ入ってくるなり、机で勉強していた遥貴の元へ大股で歩いてきた未来。遥貴が立ち上がると、未来はがしっと遥貴を抱きしめた。

「未来、お帰り。どうしたの?」

「ただいま。もうこれで、どっちに転んでも終わりだな。」

「うん。」

「遥貴。」

未来は遥貴の両肩に手を置いて、体を離した。顔をじっと見る。

「何?」

「もし俺が大統領になったら、俺と結婚してくれ。」

「え?何言ってんの?この国では同性同士は結婚できないし、それに、僕には戸籍がないよ。」

いきなりのプロポーズに、遥貴はあたふたとしてそう言った。

「だから、俺が大統領になったら、それは全部クリアするだろ。俺と一緒に、大統領官邸で暮らそう。な?」

背の高い未来は、遥貴の顔を覗き込むようにして言った。

「もし、大統領になれなかったら?」

遥貴が上目遣いでそう言った。

「そうしたら、次の大統領選に挑戦するから。それで、大統領になったら結婚しよう。」

「じゃあ、未来が大統領にならないと結婚できないんだね。」

遥貴はおかしくなって、ぷ
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  • 人間になりたい。たとえ王だとしても   ヒューマンライフ~憧憬

     大統領が外国訪問する際は、パートナーと共に大統領専用機で出かける。以前、遥貴が国王として外国を訪問し、その傍に未来がついていたのと、見た目としてはあまり変わらない。歩く順番が変わったくらいだった。遥貴も友好国の首脳、国王たちとは既に面識があり、「ずいぶん大人になられましたな。」「お勉強の方はいかがですか?」などと声をかけてもらえた。遥貴は春から大学に進学し、クローン技術について学ぶべく、まずは生物やバイオテクノロジーについて勉強していた。 遥貴にとっての故郷、イギリスにも訪問した。すると、かつて遥貴が通っていた学校の先生や、友達数人が会いに来てくれた。「まさか、あなたがKingになるなんてね。先生驚いちゃったわ。」「僕も驚きましたよ。こっちに住んでいた時には、父が国王だったなんて全然知らなかったのですから。」「それと、ご結婚おめでとう。以前言ってたわよね、たまにしか会えない人がいて、外国に帰ってしまって悲しくてつらいって。もしかしたら、その人があなたの大統領?」「先生……全てお見通しですね。」遥貴は照れて頭をかいた。「よかったわね。」先生は遥貴にハグをしてくれた。あの頃も、守ってくれた。未来が帰ってしまって悲しくてふさぎ込んでいた時も、先生はハグしてくれて、遥貴の話を聞いてくれたのだった。「先生、みんな、お元気で。」「遥貴、また遊びに来いよ。」「またうちに遊びに来てね。」友達も口々にそう言ってくれた。懐かしい人たちとのひと時だった。 5年後。遥貴は大学を卒業した。未来の大統領任期も終わった。初めて、何でもない「人間」になれた遥貴だった。大統領のパートナーでもなく、王族でもなく、実は身柄を狙われている国王の隠し子でもなく。誰も注目しない存在。そして、住むところも自由、行くところも自由。「これが「人」なんだな。あぁー!僕は自由だあー!」新しく住むところを見つけ、未来と共に引っ越した一戸建ての住宅。首都郊外の高台にある家だった。その家の寝室、置いたばかりのベッドに横になって、遥貴は叫んだのだった。「ん?どうした、急に。」未来が現れて、くすっと笑った。未来は実年齢よりもだいぶ若く見えた。実はもうすぐ50歳だが、30代の頃と変わらない。若い恋人がいれば自然とそうなるのかもしれない。恋人とはいえ配偶者だ。きちんと籍を入れていた。「僕

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     そして投票日前日を迎えた。夜8時まで街宣車で周り、宮殿に戻ってきた未来は、遥貴の部屋へ直行した。「遥貴!」部屋へ入ってくるなり、机で勉強していた遥貴の元へ大股で歩いてきた未来。遥貴が立ち上がると、未来はがしっと遥貴を抱きしめた。「未来、お帰り。どうしたの?」「ただいま。もうこれで、どっちに転んでも終わりだな。」「うん。」「遥貴。」未来は遥貴の両肩に手を置いて、体を離した。顔をじっと見る。「何?」「もし俺が大統領になったら、俺と結婚してくれ。」「え?何言ってんの?この国では同性同士は結婚できないし、それに、僕には戸籍がないよ。」いきなりのプロポーズに、遥貴はあたふたとしてそう言った。「だから、俺が大統領になったら、それは全部クリアするだろ。俺と一緒に、大統領官邸で暮らそう。な?」背の高い未来は、遥貴の顔を覗き込むようにして言った。「もし、大統領になれなかったら?」遥貴が上目遣いでそう言った。「そうしたら、次の大統領選に挑戦するから。それで、大統領になったら結婚しよう。」「じゃあ、未来が大統領にならないと結婚できないんだね。」遥貴はおかしくなって、ぷっと噴き出した。そして、2人でひとしきり「あははは」と笑った。「遥貴、俺と一緒に暮らしてくれるか?これからも。」未来が問う。「うん。」遥貴は力強く頷いた。 大統領選投票日。朝から晴れ間が広がり、多くの国民が投票所に足を運んだ。今までの代議士選挙とは比べ物にならないくらいの投票率で、夜には開票作業が始まった。この国は開票作業が早い。電子化された投票は、瞬く間に集計された。「山縣未来氏、当選確実です!」各テレビ局が一斉に伝えた。未来の得票率が50パーセントを越えたのだ。未来が現在住んでいるのは宮殿なので、宮殿の広間で未来や応援陣営が当落の報告を待ち、報道陣も多数詰め掛けていた。当選確実の報がもたらされたのは、報道陣の方が先だった。ある記者が電話を取り、「山縣さん、当選確実出ました!」と叫んだ。他の記者たちもほぼ同時に電話で報告を受けており、カメラマンはフラッシュをたき、リポーターはテレビカメラに向かってしゃべり始める。未来や応援してくれた人たちは、思わず万歳をした。 そこへ、遥貴がらせん階段を下りて来た。いつも宮殿で報道陣の前に出る時には、スーツか民族衣装といった王らし

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     任期満了に伴う国会議員選挙が行われる事になった。そこで、大統領制実施を掲げる国民主権党は、党首演説でこんなことを言った。「我々の目指す大統領制では、大統領候補は政党から出すものではありません。今まで通り、国会議員の第一党の党首は、首相として内閣を組閣します。内閣とは別に、大統領が存在するのです。今の国王がなさっている仕事は、ほぼ大統領が受け継ぎます。我々は、我が国最初の大統領には、現国王の遥貴様がふさわしいと考えております。もちろん、国民による選挙の結果選ばれるのが大統領ですが、我々は遥貴様を推薦致します。」この発言により、世論がぐっと国民主権党に傾いた。更に、現首相の汚職事件がリークされ、現政権の信用は失墜した。誰がリークしたのかは、言わずもがなである。 そうして、投票が行われ、国民主権党が第一党になり、首相が交代した。ここまでは、今までの政治システム通りに動いた。そして、これから大統領を存在させる事になる。数カ月ののち、いよいよ大統領選挙が行われる運びとなった。立候補予定者は20人を超えた。政党に属してはいけないという事で、政治家が政党を離党して立候補したり、芸能人や元スポーツ選手などの著名人、大学教授や宗教家、ユーチューバーなどなど、多岐に渡ったラインナップだった。遥貴がその中の1人になるのは、何となく不似合いだった。そういう世俗的な、下々の競争の中に放り込まれるのが、どうも不釣り合い。国民が皆そう感じたと言っても過言ではない。ましてや、身内は尚更である。「なあ未来、本当に遥貴に立候補させるのか?」当然父親の1人である健斗も苦言を呈する。もう1人の父親である尊人は、事情が分かるだけに何も言わなかったが、あまり賛同している様子ではなかった。「ねえ未来、僕は奥さんをもらいたくないが為に、大統領になるのか?それっておかしくないか?そもそも、僕に大統領が務まるのだろうか?結局国王とやる事は同じなのか?」遥貴自身も不安を隠せずにいた。「世襲制か、選挙で選ばれるか、の違いだよ。だが、大きな違いだろ?無理に子供を作る必要がなくなるんだから。」未来が言うと、遥貴は大きくうんうんと頷いた。「なるほど、やる事は同じでも全然違うね。僕がダメな大統領だったら、次は違う人を皆が選べばいいんだものね。でもさ、僕はこの選挙に勝てるのかな。勝てないような気がするんだけ

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     それから数日ほど経って、首相がお見合い写真をいくつか持って来た。だが、遥貴はそれを開いてもみなかった。「未来、やっぱり僕、王妃を迎えるのは嫌だ。嘘でも他の人と結婚したくない。」夜になって、遥貴はそう言った。ここの所考え込んでいる事の多かった遥貴だった。今、未来の腕枕に頭を乗せ、天井を見つめながら力強くそう言った。「それで?国王を辞めるのか?それとも国王のままで、俺と結婚する道を探すか?」未来も天井を見ながら言った。「僕は、未来と一緒にいられるなら、どっちでもいい。ただ、僕が国王でなくなった時、僕に何の価値があるのか、それが分からない。」そうだ、これだけ帝王学を叩きこまれたのだ。今更普通の人生に戻れと言われても困るだろう。「それじゃあさ、国王を辞めて、大統領になるというのはどうだ?」未来が言ったので、「は?」遥貴は驚いて体を反転させた。「僕が大統領に?それはどうかな。大統領っていうのは選挙で選ばれるんだろ?それに、年齢制限だってあるんじゃないのか?」「いやいや、何せこの国にはまだない制度だからな。これから作るんだから、被選挙権は18歳以上に与えられる事にすればいいんだ。選挙なら、勝てるだろう。お前なら。」未来がそう言った。そこは考えていなかった遥貴は、何と言って返せばいいのか分からなかった。「未来はいろんな事を考えるね。頭の中どうなってんの?」遥貴が言って未来の頭を軽く小突くと、「お前のダディにもよく言われたよ。」と未来が言って笑った。 未来は、大統領制を推進する、国民主権党と接触した。もし遥貴を大統領候補にしてもらえるならば、王制復権党を潰す手伝いをする、と持ち掛けた。国民主権党からしても、国王の人気が高いがゆえに、現政権を倒す事が現実的とは思えずにいたのである。国王の方から大統領制を推してもらえれば、国民の意向も変わるだろうと思えた。 その、未来が留守にしている時に、首相が遥貴の元を訪れた。突然の訪問であった。勉強の最中だった遥貴だが、首相の面会に応じた。「陛下、王妃候補は選んでいただけましたでしょうか?」首相は表面上はにこやかに言った。「いえ、まだ選んでいません。しかし、私は健康でまだ若いのです。そう急がなくてもいいでしょう。」遥貴がそう言うと、首相は困った顔をした。そして、何かを思いついたように、背もたれにより

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     遥貴の、18歳の誕生日がやってきた。宮殿のバルコニーには、尊人や君子、瑠璃子も並び、そこへ王冠をかぶった遥貴が登場し、国民の祝福を受けた。これを、1日に何度か繰り返す。国民はそのたびに入れ替わり、のべ10万人が訪れた。 首相が宮殿へやってきて、遥貴にお祝いの言葉を述べた。それから、やはりというべきか、こんな話があった。「陛下もやっとご成人あそばされまして、何よりでございます。つきましては、王族の安泰の為に、是非王妃を迎えていただきとうございます。」その場には遥貴と未来と、尊人と健斗がいた。場が一瞬凍り付いたようだった。尊人もかつて首相からそんな風に言われ、拒み、だが結局王妃を迎えた。「しかし、まだご結婚は早いのでは?陛下はともかく、お相手の女性だって、18歳では早すぎるのではないでしょうか。」未来が思わず言った。遥貴は考え込んでいて、何も言わなかった。「形だけでも構わないのです。お子様をお持ちになるのはもう少し先でも構いませんし。ただ、公務に支障が出てきますので。お相手を年上にするという手もありますね。2歳くらい年上でも構いませんよね、陛下。」首相は馴れ馴れしく遥貴に問いかけた。遥貴は首相の顔を見たが、返事をしなかった。「とにかく、候補を選んでおきますので。それでは、失礼します。」首相は深々と礼をして出て行った。「遥貴。」尊人が優しく遥貴に声をかけ、肩に手を乗せた。「パパはあの、麗良さんと結婚したんだよね?形だけの結婚を。」すっかり低くなった声で、遥貴はそう言った。「遥貴、大人になった事だし、パパは辞めて父上にしようか。健斗の事はダディでもいいけれど。」尊人がそう言った。「父上?そうだね、じゃあ、父上、結局麗良さんとは別れて、父上はダディと、麗良さんは他の男性と結婚したよね。僕がこれから選ばれた人と形式上の結婚をしたら、相手の女性は幸せになれるのかな?どう考えても、幸せじゃないよね?」遥貴が言う。「そうだね。でも、王妃を迎えないのは、現実的には難しいかな。」尊人が静かに言う。「僕は、未来と結婚する。」遥貴が言うと、未来は、「お前が誰と結婚しても、俺はずっと傍にいてお前を守る。心配するな。」と即座に言った。遥貴は未来をじっと見た。未来は頷いて見せた。分かっていた事だ。遥貴が王妃を迎えるであろうこと、もし遥貴にその気がな

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