同じ日の涙、同じ空の下で

同じ日の涙、同じ空の下で

last updateÚltima actualización : 2025-12-25
Por:  ちばぢぃEn curso
Idioma: Japanese
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11歳の男子小学生・蓮は、同じクラスの颯音に淡い恋心を抱いていた。頭脳明晰で学年トップの蓮と、中性的な優しさを持つ颯音。二人は互いに惹かれ合いながらも、言葉にできない想いを胸に秘めていた。そんなある日、6年生進級の前日、二人の親がそれぞれ離婚を発表する。突然の出来事に傷つき、孤独を感じる中、同じ境遇の二人は家族の事情で一緒に暮らすことになる。365日の共同生活の中で、日常の小さな喜びや悲しみを共有し、互いの心の傷を癒やしていく。純粋な友情が次第に恋愛へと変わり、涙を流すほどの切ない瞬間を乗り越えながら、二人は本当の絆を築いていく。1日1話で紡がれる、心温まる純情恋愛物語。

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Capítulo 1

第1話 3月31日 世界が壊れた日

春休み最後の夜。

窓の外では、桜の花びらが風に舞って、街灯の光に白く浮かんでいた。

明日から俺たちは六年になる。

そんな当たり前のことが、もう当たり前じゃなくなってしまった。

俺の名前は蓮(レン)。

瀬尾小学校五年生、明日からは六年生。

身長は135センチで、クラスで一番低い。

でも成績だけは学年トップ。

先生には「頭が良すぎて浮いてる」と言われるけど、別に構わない。

だって、颯音(ハヤト)がそばにいてくれるから。

颯音は、同じクラスの男の子。

身長は140センチで、俺よりちょっとだけ高い。

髪は少し長めで、肩にかかるくらい。

声も低くなくて、笑うとえくぼができる。

誰かが「女の子みたいだね」って言うと、颯音は恥ずかしそうに俯く。

その仕草が、俺はすごく好きだった。

好き。

そう思うだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。

まだ11歳だから、恋なんて早すぎるってわかってる。

でも、どうしようもなく颯音のことばかり考えてしまう。

今日も、夜の8時過ぎにLINEした。

蓮「ねえ、颯音。明日の朝、いつもの公園で会おうよ。進級祝いに、コンビニの新作プリン奢ってあげる」

いつもなら、すぐに「いいよ!」って返事が来るのに。

今日は既読がついても、返事が来ない。

5分経って、ようやく。

颯音「……ごめん、蓮。今日はもう寝るね」

蓮「え、珍しいな。いつももっと遅くまで話してるのに」

颯音「うん……なんか、疲れちゃって」

そのとき、俺はまだ気づかなかった。

颯音の文字の端々に、涙の跡が滲んでいるような気がしたのは、気のせいじゃなかった。

9時15分。

リビングで突然、母さんの叫び声がした。

母「もう無理! 離婚するって決めたから!」

俺は自分の部屋で、スマホを握りしめたまま固まった。

父さんの低い声。

母さんの甲高い声。

「お前のせいだ」「いや、お前が悪い」って、延々と繰り返される。

ガシャン、と皿が割れる音。

ドン、と壁を叩く音。

そして、母さんの嗚咽。

俺は布団に潜り込んで、耳を塞いだ。

怖かった。

こんなの、初めてだった。

いつも優しかった父さんと母さんが、まるで別人のように罵り合っている。

俺の存在なんて、まるでなかったことみたいに。

涙が止まらなくて、枕を濡らした。

頭の中を、颯音のことだけがぐるぐる回る。

颯音の横顔。

颯音が体育の時間に転んで、膝を擦りむいたとき、俺が絆創膏を貼ってあげたこと。

颯音が「蓮ってほんと頭いいよね」って、ちょっと羨ましそうに言ったこと。

全部、全部、大切な思い出だった。

どれくらい時間が経っただろう。

ドアをノックする音がして、母さんが入ってきた。

目は真っ赤で、頬に涙の跡が残っている。

母「……蓮、ごめんね。びっくりさせたよね」

蓮「……俺、どうしたらいいの?」

声が震えた。

母さんはベッドに腰掛けて、俺の頭をそっと撫でた。

母「明日から、少しの間、おばあちゃんの家に預かってもらうことになったの。父さんとも母さんとも、しばらく離れて暮らすことになる」

おばあちゃんって、母方の祖母のことだ。

海の近くの小さな町に、一人で住んでいる。

蓮「……俺、一人で行くの?」

母はそこで、言葉を詰まらせた。

そして、信じられないことを言った。

母「実はね……颯音くんも、同じ日にご両親が離婚することになって。おばあちゃんが、二人まとめて面倒見てくれるって言ってくれて」

頭が真っ白になった。

蓮「……え?」

母「だから、明日から颯音くんと一緒に暮らすことになるのよ」

信じられなかった。

世界が壊れたその日に。

一番好きな人と、一緒に暮らすことになるなんて。

母は泣きながら、俺を抱きしめた。

俺も泣いた。

でも、どこかで小さな灯りがともったような気がした。

颯音と一緒なら。

颯音と一緒なら、なんとかなるかもしれない。

深夜零時を回った頃。

俺は震える指で、颯音にメッセージを送った。

蓮『颯音、ごめん。急に変なこと聞いて。

……お前ん家も、今日、離婚したの?』

既読がつくまで、三十秒もかからなかった。

颯音『……うん』

颯音『俺、怖かった。

パパとママが大声で叫んでて、俺のせいだって言ってて……

俺、部屋に閉じこもって、ずっと泣いてた』

颯音『だから蓮に、声かけられなくてごめん』

颯音『蓮も……同じだったの?』

涙が止まらなくなった。

俺はスマホを抱えたまま、声を殺して泣いた。

蓮『俺もだよ。

母さんと父さんが、知らない人みたいに罵り合ってて。

皿割れた音とか、壁叩く音とか、怖すぎて……』

蓮『俺も、めちゃくちゃ怖かった』

颯音『……蓮』

颯音『俺、明日からどうしたらいいかわからないよ』

蓮『でもさ……明日から、一緒に暮らすんだって』

颯音『……知ってる。

おばあちゃんから聞いた』

颯音『蓮と一緒なら……少しだけ、安心するかも』

その一文で、胸の奥が熱くなった。

涙が止まらなかったけど、同時に、初めて笑いたくなった。

蓮『俺もだよ。

颯音がいてくれるなら、なんとかやっていけそう』

颯音『……ありがとう、蓮』

颯音『蓮の声が聞きたい』

通話ボタンを押す手が震えた。

繋がった瞬間、小さなすすり泣きが聞こえてきた。

颯音「……蓮、いる?」

蓮「いるよ……颯音」

颯音「よかった……声が聞けて、よかった」

蓮「颯音だって、泣いてるじゃん……」

颯音「だって……世界が壊れちゃったんだもん」

颯音の声は、いつもより高くて、震えていた。

俺も我慢できなくなって、嗚咽が漏れた。

颯音「俺、もう一人じゃ生きていけないって思った。

パパもママもいなくなっちゃうんだって思ったら、息ができなくて……」

蓮「俺もだよ。

でも、颯音がいる。

明日から、ずっと一緒にいられる」

颯音「……ほんと?」

蓮「約束だよ。

俺が颯音を守るから」

颯音「俺も……蓮のこと、守りたい」

電話の向こうで、颯音が小さく笑った気がした。

泣きながらの、でも確かに笑顔の声だった。

颯音「蓮と一緒なら、怖くないかも」

蓮「俺もだよ。

二人で、新しい家を作ろう」

颯音「……うん」

颯音「約束だよ、蓮」

時計はもう、4月1日を指していた。

六年生になる日。

家族がバラバラになった日。

そして、颯音と俺が“家族”になる日。

颯音「おやすみ、蓮」

蓮「颯音、おやすみ」

颯音「……明日、会えるよね?」

蓮「会えるよ。絶対」

電話が切れた後、俺は初めて、少しだけ笑えた。

涙でぐしゃぐしゃの顔で。

胸が張り裂けそうな痛みを抱えたまま。

それでも、明日が来るのが、少しだけ楽しみだった。

窓の外では、桜がまだ舞っていた。

壊れた世界に、新しい風が吹き始めたような気がした。

同じ日に泣いた、俺たちの365日が。

今、始まる。

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第1話 3月31日 世界が壊れた日
春休み最後の夜。 窓の外では、桜の花びらが風に舞って、街灯の光に白く浮かんでいた。 明日から俺たちは六年になる。 そんな当たり前のことが、もう当たり前じゃなくなってしまった。俺の名前は蓮(レン)。 瀬尾小学校五年生、明日からは六年生。 身長は135センチで、クラスで一番低い。 でも成績だけは学年トップ。 先生には「頭が良すぎて浮いてる」と言われるけど、別に構わない。 だって、颯音(ハヤト)がそばにいてくれるから。颯音は、同じクラスの男の子。 身長は140センチで、俺よりちょっとだけ高い。 髪は少し長めで、肩にかかるくらい。 声も低くなくて、笑うとえくぼができる。 誰かが「女の子みたいだね」って言うと、颯音は恥ずかしそうに俯く。 その仕草が、俺はすごく好きだった。好き。 そう思うだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。 まだ11歳だから、恋なんて早すぎるってわかってる。 でも、どうしようもなく颯音のことばかり考えてしまう。今日も、夜の8時過ぎにLINEした。蓮「ねえ、颯音。明日の朝、いつもの公園で会おうよ。進級祝いに、コンビニの新作プリン奢ってあげる」いつもなら、すぐに「いいよ!」って返事が来るのに。 今日は既読がついても、返事が来ない。5分経って、ようやく。颯音「……ごめん、蓮。今日はもう寝るね」蓮「え、珍しいな。いつももっと遅くまで話してるのに」颯音「うん……なんか、疲れちゃって」そのとき、俺はまだ気づかなかった。 颯音の文字の端々に、涙の跡が滲んでいるような気がしたのは、気のせいじゃなかった。9時15分。 リビングで突然、母さんの叫び声がした。母「もう無理! 離婚するって決めたから!」俺は自分の部屋で、スマホを握りしめたまま固まった。 父さ
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第2話 4月1日 新しい家の匂い
朝6時。 目覚ましより早く目が覚めた。 昨夜は結局、泣き疲れて三時過ぎに眠った気がする。 枕は塩の味がした。母さんがドアをノックした。母「……蓮、起きてる? もう出発の時間よ」俺は無言で頷いて、ベッドから這い出した。 制服はもう着られない。春休み最後の日なのに、明日から新学期なのに。 母さんが用意してくれたのは、シンプルな白いTシャツとジーンズ、それに薄手の青いパーカーだった。玄関で、父さんが立っていた。 昨日の鬼のような顔はどこにもなくて、ただ疲れきった大人の顔があった。父「……蓮、すまなかったな」俺は何も答えられなかった。 父さんは俯いたまま、小さな封筒を差し出した。父「これ、お小遣いだ。足りなくなったら連絡してくれ」受け取るのも嫌だったけど、無視するのもできなくて、黙ってポケットに突っ込んだ。車は母さんが運転する。 いつもなら父さんが運転して、俺は後部座席で颯音とLINEしてたのに。 今日は助手席に誰もいない。後部座席に俺一人。 窓の外を、知ってる街が後ろに流れていく。 もう二度と帰れないかもしれない気がして、胸が締めつけられた。二時間半のドライブ。 ほとんど無言だった。 母さんは時々バックミラー越しに俺を見るけど、すぐに目を逸らす。海が見えてきた。 潮の匂いがした。 おばあちゃんの家は、古い日本家屋で、屋根に瓦が乗っている。 庭には小さな畑があって、春の野菜が芽を出していた。門を開けると、颯音がいた。颯音「……蓮」颯音は昨日と同じ制服のままだった。 いや、違う。制服の上に、薄いグレーのカーディガンを羽織っている。 目が真っ赤だった。泣き腫らした跡がはっきりわかる。俺は走り寄った。 颯音も走ってきた。 玄関先で、二
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第3話 4月2日 初めての朝、初めての涙
朝の5時45分 まだ薄暗い部屋で、颯音の寝息がすぐ横で聞こえていた。 昨夜は結局、布団を一つにして寝てしまった。 颯音が「離れると怖い」って言ったから。 俺も同じだった。颯音の髪が俺の頬にかかっている。 少し汗ばんでいて、甘い匂いがした。 俺はそっと手を伸ばして、颯音の髪を撫でた。 寝顔が、泣き腫らした跡のままなのに、どこか安心しているように見えた。颯音「……ん……蓮……?」寝ぼけた声で、颯音が俺の胸に顔をすり寄せてきた。蓮「まだ早いよ。もうちょっと寝てていい」颯音「……うん……」すぐにまた寝息が戻った。 俺は天井を見上げた。 古い梁の匂いと、海の遠い音。 ここが俺たちの新しい家なんだって、改めて実感した。時計の針が6時を指した。おばあちゃんが階段を上がってくる音で、二人して目を覚ました。おばあちゃん「朝ごはんできたよー。起きておいで」颯音が慌てて俺から離れた。 耳まで真っ赤だ。颯音「み、見られてたら……どうしよう」蓮「大丈夫。おばあちゃん、優しいから」それでも颯音は恥ずかしそうに布団に潜り込んで、しばらく出てこなかった。朝ごはんは、焼き魚と卵焼き、味噌汁にご飯。 おばあちゃんの手料理は、母さんのとは全然違って、素朴で温かかった。おばあちゃん「今日は転入手続きに行く日じゃ。学校は歩いて十五分くらいの瀬尾小学校」颯音が箸を止めた。颯音「……瀬尾小学校?」蓮「俺たちの前の学校と同じ名前だ」おばあちゃん「そうじゃよ。偶然じゃのう」颯音と目が合った。 同じ名前の学校に通うなんて、まるで運命みたいだと思った。家を出る時間になり 二人で制服に袖を通す。 颯音の制服は、前の学校のものよ
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第4話 4月3日 湯船の中で零れる本音
学校は今日もあっという間に終わった。 転校してまだ三日目。 クラスメイトはまだ距離を取っているけど、嫌われているわけではない。 ただ、俺たち二人がいつもくっついているのが不思議そうに見えるだけだ。帰り道、颯音が俺の腕にそっと指を絡めてきた。颯音「……蓮、今日はちょっと疲れた」蓮「俺も。なんか、ずっと緊張してる感じ」颯音「うん……でも、蓮が隣にいてくれて、ほんとに助かってる」家に着くと、おばあちゃんは畑に出ていた。 玄関に「お風呂もう沸いてるよ。ゆっくり入っておいで」とメモ。颯音が顔を赤くした。颯音「……一緒に入る?」俺も一瞬ドキッとした。 小学生の頃は友達と銭湯とか行ったことあるけど、颯音と二人きりで……しかも今は全然違う気持ちがある。蓮「……いいよ」脱衣所で服を脱ぐ手が震えた。 颯音も背中を向けたまま、ゆっくり制服を脱いでいく。 白い肩が少し赤くなってる。 俺は目を逸らしながら、先に浴室に入った。初めて颯音の体を見たが、こんなにも興奮するとは自分でも思ってなかった。蓮の大事なところは、反応してしまい一気に固くなってしまった。あんな可愛い顔してちゃんと付いてるんだ。蓮の胸は痛くなるほど鼓動が早い。お湯はちょうどいい温度。 湯気が立ち込めて、視界がぼやける。颯音が後ろからそっと入ってきた。颯音「……いい匂いする。おばあちゃん、アロマ入れたのかな」蓮「うん……ラベンダーっぽい」颯音が俺の隣に座った。 肩が触れる。 熱いのはお湯だけじゃない。しばらく無言で湯に浸かっていた。 湯船が狭いから、自然と膝がぶつかる。 颯音が小さく息を吐いた。颯音「……蓮」蓮「ん?」颯音「俺……実は、お風
last updateÚltima actualización : 2025-12-02
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第5話 4月4日 初めての「デート」
朝、目が覚めると颯音が俺の胸に顔を埋めて寝ていた。 髪の毛が少し口に入っていて、くすぐったい。 でも動きたくなくて、そのまま天井を見上げていた。 颯音「……ん……蓮?」 寝ぼけ眼で顔を上げた颯音が、ぼんやり笑う。 颯音「おはよう……恋人」 その一言で、胸がきゅんってなった。 蓮「おはよう……恋人」 颯音が照れくさそうに顔を赤くして、また俺の胸に突っ伏した。 颯音「……まだ信じられない。蓮が俺の恋人だなんて」 蓮「俺も。夢みたい」 颯音が小さく笑って、俺の頬にちゅっとキスしてきた。 朝一番のキス。 約束通り、だ。 蓮は昨日風呂場で見た、颯音の裸が頭に残ってた。 パジャマを脱ぎ、タンクトップの肌着と黒のボクサーパンツ姿になると、パンツの中では朝から元気になっていた。 颯音「どうしたの蓮?早く服着ないと風邪ひくよ」 蓮「うん。それよりも颯音はこんなことなったことない?」 蓮は颯音に問いかけると、自分の裸を颯音に見せた。 颯音「蓮のち〇こ大きい。こんなに大きいの初めて見た。ちょっと触ってもいい?」 蓮「ちょっとだけなら…颯音だし良いよ」 恐る恐る颯音の手は蓮の元気になった下腹部に伸びた。 その感触は固くてまるで生き物を触ってるようだった。 颯音「こうやって擦ると気持ちよくなるんだって」と言いながら、颯音は手を上下に動かした。 蓮「なんか変な感じ…なんか出そう、もしかしてお〇っこ?」 颯音「大丈夫だよ。まさか蓮まだ出したことないんだ」
last updateÚltima actualización : 2025-12-03
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第6話 4月5日 初めての喧嘩、そして初めての「ごめんね」
朝、目が覚めた瞬間から空気が違った。 いつもなら「蓮、おはよう……」って甘い声で頬にキスしてくれる颯音が、今日は布団の端っこで小さくなっていた。蓮「……颯音?」颯音「……ん」声が低くて、明らかに拗ねている。蓮「どうした? 顔、怖いよ」颯音「……別に」布団を頭まで被ってしまった。 俺は焦った。昨日まであんなに甘えん坊だったのに。朝ごはんの席でも、颯音は俺の隣に座らなかった。 おばあちゃんの向かいに座って、黙々とご飯を食べる。おばあちゃん「どうしたの、二人とも? 空気が冷たいよ」蓮「……」颯音「……なんでもないです」俺は完全に動揺していた。 何がいけなかったのか、思い出せない。学校に行くときも、颯音は俺の半歩後ろを歩いた。 いつもなら手を繋いでくれるのに、今日は腕を組んだまま離さない。蓮「ねえ、颯音……俺、何かした?」颯音「……知らない」声が震えてる。 泣きそうだった。教室に入っても、颯音は俺の顔を見ない。 休み時間もトイレに逃げてしまう。俺はパニックだった。 恋人になってまだ三日目で、もう喧嘩なんて……。昼休み、屋上でやっと二人きりになれた。蓮「颯音、ごめん。俺、本当に何がいけなかったかわからないから……教えて」颯音は俯いたまま、唇を噛んでいた。颯音「……昨日、蓮、夢の中で誰かの名前呼んでた」蓮「え?」颯音「『……あかりちゃん』って」俺は凍りついた。蓮「……それ、俺の幼馴染で……」颯音「知ってる。前に写真見せてくれたもん。すっごく可愛い女の子で……蓮の初恋だって言ってた」颯音の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。
last updateÚltima actualización : 2025-12-03
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第7話 4月6日 桜の木の下で交わした、永遠の約束
朝、目が覚めたとき、颯音はもう起きていた。 窓を開けて、桜の花びらを手に乗せて眺めている。 白いパジャマに朝陽が透けて、まるで天使みたいだった。颯音「……蓮、おはよう」声が少し掠れている。 昨夜、仲直りのあと、何度も「愛してる」を繰り返して泣き疲れたせいだ。蓮「おはよう……顔、腫れてるよ」颯音が恥ずかしそうに頬を押さえた。颯音「……うるさいな。蓮だって同じだよ」確かに鏡を見たら、二人とも目がパンダだった。 でも、それがなんだか嬉しくて、二人で笑い合った。朝ごはんのとき、おばあちゃんがにやりと笑って言った。おばあちゃん「今日は日曜日じゃろ。いい天気だし、どこか遠出でもしてきたらどうだい? おばあちゃん、昔よく行ってた場所があるんじゃよ」地図を広げて教えてくれたのは、海沿いの小さな岬だった。 そこに一本だけ、すごく大きな桜の木があるという。おばあちゃん「満開の時期はもう終わったけど、まだ少しは残ってるはずじゃ。 二人で行って、ゆっくりしてきなさい」お弁当まで作ってくれて、リュックに詰めてくれた。電車とバスを乗り継いで一時間半。 岬に着いたのはお昼前だった。本当に、人影はほとんどない。 崖の下は青い海。 風が強くて、颯音の髪がはためく。そして、あった。 おばあちゃんが言っていた巨大な桜の木。 確かに満開は過ぎていたけど、まだ七分咲きくらいで、淡いピンクが風に揺れている。颯音「……すごい」蓮「うん……まるで、世界に二人だけみたい」木の下にシートを広げて、お弁当を食べる。 おばあちゃんの卵焼きと、唐揚げと、桜色の梅干しご飯。 颯音が唐揚げを「あーん」してくれた。颯音「はい、蓮」蓮「……恥ずかしいって」颯
last updateÚltima actualización : 2025-12-04
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第8話 4月7日 授業中の、小さな秘密
朝はいつも通り、おばあちゃんの「おはよう」の声で目覚めた。 朝ごはんを済ませて、制服に着替えて、二人で手を繋いで学校へ。 指輪は念のため、ネックレスの紐に通して服の中に隠した。 まだ誰にも見せたくない。俺たちだけの宝物だから。1時間目は国語。 教科書は『スイミー』。先生が朗読している間、俺はノートを取るふりをしながら、颯音の横顔を盗み見ていた。颯音は真剣に教科書を見ている。 長い睫毛がぴくぴく動く。 時々、鉛筆をくるくる回しながら、小さく唇を噛む癖がある。 俺はその仕草が大好きで、見ているだけで胸が熱くなる。先生「では、ページをめくって……」颯音がページをめくる瞬間、俺の左手と颯音の右手が、机の下でそっと触れた。 指先が絡まる。 先生にバレないように、ゆっくりと小指を絡めて、ぎゅっと握る。颯音の耳が少し赤くなった。 俺も同じだと思う。先生が黒板に書くとき、颯音が小さくメモを滑らせてきた。メモ『蓮、集中できない……君のせい』俺は吹き出しそうになって、必死に堪えた。 すぐに返事を書いて返す。蓮『俺も。颯音の横顔が可愛すぎるから』颯音がメモを見て、顔を真っ赤にして俯いた。 肩が小刻みに震えている。笑ってるんだ。2時間目は算数。 今日は分数のかけ算。 俺は得意だから、すぐに終わってしまった。 颯音は少し苦手で、眉を寄せて鉛筆をカチカチ鳴らしている。俺は先生に気づかれないように、颯音のノートに指で小さく「分子×分子、分母×分母」と書いて見せた。 颯音がこくんと頷いて、すぐに解き始めた。解き終わると、颯音が満面の笑みで俺を見た。 目が合った瞬間、二人で小さくガッツポーズ。先生「瀬尾蓮くん、颯音くん、何か面白いことでも?」蓮「いえ、なんでもないです!」
last updateÚltima actualización : 2025-12-04
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第9話 4月8日 保健体育の授業で見た、未来の自分たち
朝から教室の空気が少し違っていた。 月曜日の時間割に「保健体育・特別授業」とだけ書かれていて、クラスの男子たちはざわついている。 女子は別室に移動すると聞いていた。颯音が小声で俺の耳元に囁いた。颯音「……今日、例の授業だよね」蓮「うん……なんかドキドキする」颯音「俺も……蓮と一緒に見るんだって思うと、変な感じ」俺たちは顔を見合わせて、すぐに目を逸らした。 耳が熱い。5時間目。 保健の先生(40代くらいの優しそうな女性)がスクリーンを降ろして、教室の鍵をかけた。 カーテンも閉められて、教室が少し暗くなる。先生「今日は思春期の体の変化について勉強します。 恥ずかしい気持ちもあると思うけど、これはみんなが通る大切な道。 ちゃんと向き合って、自分の体を好きになってくださいね」颯音と俺は隣同士の席で、教科書を開いた。 でも、二人とも教科書なんて目に入っていない。先生がスライドを映す。『思春期男子の身体的変化』- 身長が急に伸びる - 筋肉がつきやすくなる - 声が変わる(変声期) - 陰毛・腋毛が生える - 陰茎・睾丸が大きくなる - せー通(初めての〇精)先生が淡々と説明していく。 教室はシーンと静まり返っていたけど、俺の心臓は爆発しそうだった。先生「11~14歳くらいで、ほとんどの男子が精通を迎えます。 夜中に夢の中で出てしまう『夢精』が最初の場合も多いです」颯音が俺の膝にそっと手を置いた。 指が小刻みに震えている。蓮「(もしかしてこの前のやつって…)」先生「これは恥ずかしいことではなく、立派に大人に近づいている証拠です」スライドが切り替わって、陰茎の成長過程のイラスト。 小学生くらい→中学生→高校生→成人。
last updateÚltima actualización : 2025-12-05
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第10話 4月9日 初めての経験、そして朝の涙
まだ外は薄暗い。 俺は急に目が覚めた。 下半身が妙にじんわりと温かくて、気持ち悪くて、でもどこか気持ちいい。 パジャマの股間が、びしょびしょに濡れていた。 最初は、おねしょかと思った。 でも、すぐに違うとわかった。 白くて、少し粘り気のある液体。 保健体育の授業で見た、あの図が頭に浮かんだ。 精通。 初めての〇精。 夢の中で、颯音とキスしていた。 颯音が俺の首に腕を回して、耳元で「蓮……」って囁いて、唇が重なって…… そこで、俺は夢の中で果ててしまったらしい。 俺はパニックになった。 こんなこと、颯音に知られたくない。 でも、同じ布団で寝てる。 動けば絶対に気づかれる。 震える手でパジャマを脱ごうとした瞬間、颯音が寝返りを打った。 颯音「……蓮……?」 寝ぼけた声。 俺は凍りついた。 颯音「……あれ……蓮、泣いてる?」 蓮「……違う」 声が震えて、涙が止まらなくなった。 恥ずかしくて、怖くて、でもどこか嬉しくて。 颯音がゆっくり体を起こして、俺の顔を見て、すぐに股間の濡れに気づいた。 颯音「……蓮」 颯音の声が、すごく優しくて、震えていた。 颯音「初めて……?」 蓮「……うん」 颯音が俺をぎゅっと抱きしめた。 濡れたままのパジャマごと、強く強く。 颯音「……よかった」 蓮「え……?」
last updateÚltima actualización : 2025-12-05
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