LOGIN11歳の男子小学生・蓮は、同じクラスの颯音に淡い恋心を抱いていた。頭脳明晰で学年トップの蓮と、中性的な優しさを持つ颯音。二人は互いに惹かれ合いながらも、言葉にできない想いを胸に秘めていた。そんなある日、6年生進級の前日、二人の親がそれぞれ離婚を発表する。突然の出来事に傷つき、孤独を感じる中、同じ境遇の二人は家族の事情で一緒に暮らすことになる。365日の共同生活の中で、日常の小さな喜びや悲しみを共有し、互いの心の傷を癒やしていく。純粋な友情が次第に恋愛へと変わり、涙を流すほどの切ない瞬間を乗り越えながら、二人は本当の絆を築いていく。1日1話で紡がれる、心温まる純情恋愛物語。
View More学校は今日もあっという間に終わった。 転校してまだ三日目。 クラスメイトはまだ距離を取っているけど、嫌われているわけではない。 ただ、俺たち二人がいつもくっついているのが不思議そうに見えるだけだ。帰り道、颯音が俺の腕にそっと指を絡めてきた。颯音「……蓮、今日はちょっと疲れた」蓮「俺も。なんか、ずっと緊張してる感じ」颯音「うん……でも、蓮が隣にいてくれて、ほんとに助かってる」家に着くと、おばあちゃんは畑に出ていた。 玄関に「お風呂もう沸いてるよ。ゆっくり入っておいで」とメモ。颯音が顔を赤くした。颯音「……一緒に入る?」俺も一瞬ドキッとした。 小学生の頃は友達と銭湯とか行ったことあるけど、颯音と二人きりで……しかも今は全然違う気持ちがある。蓮「……いいよ」脱衣所で服を脱ぐ手が震えた。 颯音も背中を向けたまま、ゆっくり制服を脱いでいく。 白い肩が少し赤くなってる。 俺は目を逸らしながら、先に浴室に入った。初めて颯音の体を見たが、こんなにも興奮するとは自分でも思ってなかった。蓮の大事なところは、反応してしまい一気に固くなってしまった。あんな可愛い顔してちゃんと付いてるんだ。蓮の胸は痛くなるほど鼓動が早い。お湯はちょうどいい温度。 湯気が立ち込めて、視界がぼやける。颯音が後ろからそっと入ってきた。颯音「……いい匂いする。おばあちゃん、アロマ入れたのかな」蓮「うん……ラベンダーっぽい」颯音が俺の隣に座った。 肩が触れる。 熱いのはお湯だけじゃない。しばらく無言で湯に浸かっていた。 湯船が狭いから、自然と膝がぶつかる。 颯音が小さく息を吐いた。颯音「……蓮」蓮「ん?」颯音「俺……実は、お風
朝の5時45分 まだ薄暗い部屋で、颯音の寝息がすぐ横で聞こえていた。 昨夜は結局、布団を一つにして寝てしまった。 颯音が「離れると怖い」って言ったから。 俺も同じだった。颯音の髪が俺の頬にかかっている。 少し汗ばんでいて、甘い匂いがした。 俺はそっと手を伸ばして、颯音の髪を撫でた。 寝顔が、泣き腫らした跡のままなのに、どこか安心しているように見えた。颯音「……ん……蓮……?」寝ぼけた声で、颯音が俺の胸に顔をすり寄せてきた。蓮「まだ早いよ。もうちょっと寝てていい」颯音「……うん……」すぐにまた寝息が戻った。 俺は天井を見上げた。 古い梁の匂いと、海の遠い音。 ここが俺たちの新しい家なんだって、改めて実感した。時計の針が6時を指した。おばあちゃんが階段を上がってくる音で、二人して目を覚ました。おばあちゃん「朝ごはんできたよー。起きておいで」颯音が慌てて俺から離れた。 耳まで真っ赤だ。颯音「み、見られてたら……どうしよう」蓮「大丈夫。おばあちゃん、優しいから」それでも颯音は恥ずかしそうに布団に潜り込んで、しばらく出てこなかった。朝ごはんは、焼き魚と卵焼き、味噌汁にご飯。 おばあちゃんの手料理は、母さんのとは全然違って、素朴で温かかった。おばあちゃん「今日は転入手続きに行く日じゃ。学校は歩いて十五分くらいの瀬尾小学校」颯音が箸を止めた。颯音「……瀬尾小学校?」蓮「俺たちの前の学校と同じ名前だ」おばあちゃん「そうじゃよ。偶然じゃのう」颯音と目が合った。 同じ名前の学校に通うなんて、まるで運命みたいだと思った。家を出る時間になり 二人で制服に袖を通す。 颯音の制服は、前の学校のものよ
朝6時。 目覚ましより早く目が覚めた。 昨夜は結局、泣き疲れて三時過ぎに眠った気がする。 枕は塩の味がした。母さんがドアをノックした。母「……蓮、起きてる? もう出発の時間よ」俺は無言で頷いて、ベッドから這い出した。 制服はもう着られない。春休み最後の日なのに、明日から新学期なのに。 母さんが用意してくれたのは、シンプルな白いTシャツとジーンズ、それに薄手の青いパーカーだった。玄関で、父さんが立っていた。 昨日の鬼のような顔はどこにもなくて、ただ疲れきった大人の顔があった。父「……蓮、すまなかったな」俺は何も答えられなかった。 父さんは俯いたまま、小さな封筒を差し出した。父「これ、お小遣いだ。足りなくなったら連絡してくれ」受け取るのも嫌だったけど、無視するのもできなくて、黙ってポケットに突っ込んだ。車は母さんが運転する。 いつもなら父さんが運転して、俺は後部座席で颯音とLINEしてたのに。 今日は助手席に誰もいない。後部座席に俺一人。 窓の外を、知ってる街が後ろに流れていく。 もう二度と帰れないかもしれない気がして、胸が締めつけられた。二時間半のドライブ。 ほとんど無言だった。 母さんは時々バックミラー越しに俺を見るけど、すぐに目を逸らす。海が見えてきた。 潮の匂いがした。 おばあちゃんの家は、古い日本家屋で、屋根に瓦が乗っている。 庭には小さな畑があって、春の野菜が芽を出していた。門を開けると、颯音がいた。颯音「……蓮」颯音は昨日と同じ制服のままだった。 いや、違う。制服の上に、薄いグレーのカーディガンを羽織っている。 目が真っ赤だった。泣き腫らした跡がはっきりわかる。俺は走り寄った。 颯音も走ってきた。 玄関先で、二
春休み最後の夜。 窓の外では、桜の花びらが風に舞って、街灯の光に白く浮かんでいた。 明日から俺たちは六年になる。 そんな当たり前のことが、もう当たり前じゃなくなってしまった。俺の名前は蓮(レン)。 瀬尾小学校五年生、明日からは六年生。 身長は135センチで、クラスで一番低い。 でも成績だけは学年トップ。 先生には「頭が良すぎて浮いてる」と言われるけど、別に構わない。 だって、颯音(ハヤト)がそばにいてくれるから。颯音は、同じクラスの男の子。 身長は140センチで、俺よりちょっとだけ高い。 髪は少し長めで、肩にかかるくらい。 声も低くなくて、笑うとえくぼができる。 誰かが「女の子みたいだね」って言うと、颯音は恥ずかしそうに俯く。 その仕草が、俺はすごく好きだった。好き。 そう思うだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。 まだ11歳だから、恋なんて早すぎるってわかってる。 でも、どうしようもなく颯音のことばかり考えてしまう。今日も、夜の8時過ぎにLINEした。蓮「ねえ、颯音。明日の朝、いつもの公園で会おうよ。進級祝いに、コンビニの新作プリン奢ってあげる」いつもなら、すぐに「いいよ!」って返事が来るのに。 今日は既読がついても、返事が来ない。5分経って、ようやく。颯音「……ごめん、蓮。今日はもう寝るね」蓮「え、珍しいな。いつももっと遅くまで話してるのに」颯音「うん……なんか、疲れちゃって」そのとき、俺はまだ気づかなかった。 颯音の文字の端々に、涙の跡が滲んでいるような気がしたのは、気のせいじゃなかった。9時15分。 リビングで突然、母さんの叫び声がした。母「もう無理! 離婚するって決めたから!」俺は自分の部屋で、スマホを握りしめたまま固まった。 父さ