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第16話

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-12-17 07:31:21

 超痛かったけど、男の子を産みました。

「しばらくはここで療養していくとええよぉ」

 と女将さんに言われてしまった。有難いです。

 産まれてすぐはサルみたいだったのに、顔のパーツがしっかりしてくると、ミニ晃さんです!

 命名:豊。

 感情も才能も豊かな子に育ってほしいなぁ。という思いを込めて。

 事務所の社長から新居が決まったという報告を受けて、旅館の皆様に別れを告げて戻ることにしました。

 住宅街のうちの1件。親子3人にはちょっと広いかなってところです。収納が多くて満足。

 豊は家の中を走り回るような子に育ちました。

 晃さんは笑って見てるけど、私は結構ドキドキです。家の外で転ぶとかはいいんですけど。

「いやぁ、ゲームにはまるとかよりよっぽどいいじゃん?」

 そう晃さんに言われると、そうかなぁ?と思ってしまいます。

 小学生になり、友達を家に連れてきて一緒に遊ぶようになったり、一緒に公園に行ったりしています。いろいろ経験をすることはいいです。

 中学生になると、晃さんの仕事に興味を持つようになりました。晃さんは俳優で音楽やってますからね。どっちに興味があるんでしょう?

「音楽の方かな?最近やったRPGのエンディングで父さんの名前が出てきた時はビビった」

 晃さんはゲームの音楽とかも担当してます。豊はそれを見て興味持ったみたいです。

「あぁ、あれか。なんか知り合いから頼まれてこんな感じか?ってのが採用されたのか。俺はそのRPGに詳しくないからもっと詳しいやつが担当した方がいいと思うんだけどなぁ」

「父さん、俺を弟子にしてくれよ。…違う弟子にして下さい!」

「うーん…」

 流石の晃さんも考えているようです。

「自分がスゴイと思ってないからなぁ。参ったなぁ」

 そんな晃さんにこそっと耳打ちを…。ウフフっ♪

「そうだなぁ。そんなに俺に弟子入りしたければ、まずは俺と同じ事務所に入る事。そしてアイドルになるんだ!俺の子だってことはふせておけよ。二世タレントにいいことはないからな」

「二世タレント?父さん、タレント?」

「まずはアイドルからスタート。その後は自分の思うように生きるといい」

 これが私が晃さんに言ったこと。

 豊は晃さんに似てるから、HANGの血縁ってすぐバレちゃうかな?

 それでもまずはアイドルからスタートしてっていうのはなかなかいいと思う。いい経験出来る
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