共有

第3話

作者: satomi
last update 最終更新日: 2025-12-06 12:04:54

 えー、ここで☆SHOWタイム☆の事を少々。彼らはトリオです。しかしながら、HANG様は不動のセンター!大手芸能プロダクションで稼ぎ頭をしているグループなのです。

 歌を歌えば、誰よりも完璧。ダンスも完璧。世の中の女性を虜にして止まないのが彼らなのです。

「おーい、みのりさーん。俺とラブホに行くぞーい」

 軽いノリですけど、数か月前の自分なら悶絶しているでしょうね。私は今、鼻粘膜がちぎれてしまわないかとドキドキしています。

「あ、すいません。考え事を……」

 本当にHANG様とラブホに行くことになりました。

 確かに言ってることに一理ありました。LIVEで疲れているでしょうから、広いベッドでのびのびと睡眠を摂りたいのでしょう。

「おい、みのりさん?俺達は同じ部屋。二人でラブホに来てるのに別々の部屋って不審だろ?大体ラブホには監視カメラがついてるんだよ」

 そんなところにHANG様を長々といさせるわけにはいきません!

 猛烈な勢いでチェックインしました。

「にしてもだなぁ?婚前の娘があっさりと…。いいのか?」

「仕事ですから。HANGにはゆっくりとお休みになっていただきたいですし。私はそこら辺の床に転がってますのでお気になさらずに」

「それは流石に気にする。それと、俺はHANGじゃない。今は草壁晃だ」

 明かされなかった本名がこんなところでカミングアウト?本日はさらにHANG様の本名を知った記念日を追加します。

「床に転がってるのは気になるからベッドの端でもいいからベッドで寝ろ!」

「はい。それから、明日のスケジュールになりますが7時発の新幹線で大阪に向かいそこでもLIVEを。こんなことがないように予め数カ所ホテルの予約をしておくべきですね」

 ドームツアーだけど、ドームの周辺の宿泊施設にはファンも泊っている事を考えると、ちょっと郊外のホテルとなりますか?それを数カ所予約しておかなければならないのですから結構骨です。

 明日のスケジュールの残りは大阪への新幹線の中でも報告いたしますね。

 このスケジュールはすごいなぁ。明日は明後日のLIVEの調整。HANG様もとい、晃さんも気合いを入れているわけだなぁ。音楽に対して真摯なところもファンの心をつかんでるのよねー。

 なっなんてことなの?大阪では本邦初公開?HANG様楽器を弾くんですか?アコースティックギターとかスゴイカッコいい‼

「やっぱり、アコギだとリズムっていうか踊りに合わないか?」

「そうだな。エレキの方がいいんじゃね?」

 そんなやりとりをグループ内でしてます。どうやらHANG様のギターに合わせて残りのお二人がダンスを披露するようです。眼福。マネージャーやっててよかった。

 今日はギターを弾くHANG様を初めて見た記念日ですね。毎日が記念日です。

この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード

最新チャプター

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第9話

    「HANGさんはみんなのHANGさんですよ?私なんか烏滸がましいです。それこそ数にもならない身だから」「……」 重苦しい空気になってしまいました。「明日からは名古屋で仕事ですよ!HANGさんもスケジュール入れすぎですよ~。大阪みたいにリラックスできるんですか?」 と無理矢理空気の変化を試みます。「みのりさん、ちょっとこっちに来てもらえますか?」「はい、何でしょうか?何か不都合なことがありましたか?明日の公演前に用意しておいた方がいいものとか?」「そうじゃなくてだなぁ?」 HANG様……じゃなくて、晃さんは頭を掻きながら話してくれます。「俺、実は結構前からみのりさんのこと……「それ以上は言わせないわよ―――‼‼‼」 と、藪の中から人が出てきました。こんなところに人がいるとは。そっちにも驚きです。「あ、あなたは。昔、私はあなたにペンライトを渡した!そうよ、懐かし~‼」「一人で懐かしがってなさいよ。うまいこと抜け駆けみたいにHANG様の専属マネージャーになんかなっちゃって」「それにはいろいろと事情があるのよ~」「煩いわねぇ、あんたなんか消えてなくなればいいのよ。ホラ、このペンライトみたいに」 彼女は私が昔渡したペンライトをバッキリと折ってしまった。「何てことをっ!」「あんたもこれから同じ目に遭うのよ」 彼女は刃物を振り上げて私に近付いてきた。目がマジだ。イッチャってる……。「あなたの行動はまぁ、八つ当たりですね?」 身長差によって彼女は刃物を振り上げているけど、その手はHANG様に簡単に捕らえられてしまった。「ペンライトを折るとか、ファンの行動として恥ずかしいですね。そんな人が俺のファンだなんて……」「あっ、HANG様が私の手を♡……はっ、違うんです。HANG様は関係なくって、この女だけが関係あるんです。みんなのHANG様なのに、この女が抜け駆けをして…。一体どんな小狡い手を使ったのよー‼」 母の伝手なんですけど。母は私がHANG様のファンだって知らないから。「あなたは俺の専属マネージャーを傷つけようとしましたね?暴行未遂です。このまま警察に突き出させていただきます。俺は☆SHOWタイム☆として警察沙汰になるのは好ましくないんだけどなぁ。君みたいな人間がいると困るんだよね」 彼女は警察に連行されていきました。 私と晃さ

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第8話

    「何?まだ、HANGから聞いてないん?」 RAUGHさん、酔ってきてません?「あー、その話はみのりさんと二人の時に話すからさぁ」「こいつなぁ、ムッツリなんや!相当や!……」 言い残して、酔いつぶれてしまいました。RAUGHさんは専属マネージャーの方に連れられてRAUGHさんの部屋の方に行きました。 RAUGHさんが言ってたのは何の事でしょう?「アハハハハハハ。RAUGHにまで言われてやんの!」 普段は寡黙なGARDさんまでお酒って人を変えるんですね。「GARD……お前、相当酔ってるからもう止めて寝ておけ、LIVEはまだ続くから」 そうなのです。大阪でのLIVEはまだ続くのです。 イキテテヨカッタ。そんな風に思わせるくらい、彼らのステージは魅力的です。「みのりちゃん、その赤テープより前に出たらダメよ!」 なんでも、舞台袖から☆SHOWタイム☆のLIVEを見ていたスタッフが舞台袖から彼らに近付き過ぎて、ファンにストーカー被害を受けたそうです。恐ろしい。 私はギリッギリ赤テープ上でした。 それにしてもファンは目ざといもので、大阪から自宅に帰ってみるとマンションのポストにビッチリと不幸の手紙が……。 『私の☆SHOWタイム☆に近付き過ぎなのよ!このメス豚!』 というような文言の手紙がビッチリ。暇ですね。全部PCでプリントアウトした文字です。フォントも凝っていて、なんか恐怖系?逆に感心するんですけど? この事を事務所の社長が知ると、「柏葉君は引っ越しをした方がいいね。それもガードが堅いところに」 そうなると、お家賃がお高くなるのでは?私のお給料でやっていけるのでしょうか?「賃金が心配なのか?そうだなぁ。うちの職員のほとんどが住んでいるところだから、ほぼ社宅だなぁ。RAUGHとGARDのマネージャーも住んでるぞ」 なるほど。安心かなぁ?専属マネージャーになってお給料がグーンとアップしたし、大丈夫よね。「みのりさん!ストーカー被害?被害届は出したの?」「怪我したわけじゃないし、ポストが壊れかけたから修繕費が欲しいなぁって被害届を出しました」「やっぱ専属マネージャーが女性ってのが問題なんじゃ?」「彼女らは仕事をしているだけで、何にも疚しいことなんかないのにな」 最後の言葉にグッとくるものがあります。すみません。私はHANG様大ファ

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第7話

     運よく(?)料理長さんが私達が宴会をしていた部屋に行く途中で、私達を発見してくださったので、そのお礼と「お料理に感動のあまり、感動をお伝えしようと部屋を飛び出し迷子になってしまったのです」と言うことになってしまい。ちょっと恥ずかしかった。「私の料理でそんなに感動してくれたとは、嬉しいよ。また来てくれると嬉しいな」 料理長さんはイケオジです。レストランとか開いたら女性にモテそう。女性客も多そう。そんな感じの方です。「お嬢さんのお名前は?」「はい、こちらのHANGさんの専属マネージャーの柏葉みのりと申します。料理長さんのお料理に出会えるのなら、個人的にここに来たいかなぁ。なんて思ってしまうくらい美味しいです!☆SHOWタイム☆は年中忙しくてそんな時間ないんですけどね。特にHANGさんはスケジュールがいっぱいで……」「コラ、俺のスケジュールの事まで話さなくていいんだよ。料理長の料理は今日も美味しかった。さて、俺らが宴会してる部屋まで案内を頼めるかな?」「もちろんですよ。ここは広いですからね。そんな簡単には道順とか覚えられませんよ」 笑って言ってるけど、シャレになんないよ?だって温泉にいっても自分の部屋に戻れないお客様が続出ってこと?「客室にはそれぞれに露天風呂が付いていますので、そちらを利用していただいています。今回皆さんが利用された大浴場は松之助坊ちゃん…おっとRAUGH様がいらっしゃるから安心して利用していただいたんでしょうね。RAUGH様は幼少の頃よりこの旅館でかくれんぼなんかをしていたんで、旅館の地図が頭に入っているんですよ」 なるほど。だったら、私を探しに来るのRAUGHさんが適任だったんじゃないのかなぁ? 宴会場に戻ると、「やっぱりねぇ、二次被害が起こると思ってたのよ。絶対HANGでも迷子になるって」 HANG様と迷子という単語は似合わない……。「料理長様、改めまして美味しい料理を有難うございます。私はこのように美味しい料理を生まれて初めて食べました」「いやぁ、そう言ってもらえると嬉しいよ。来年になるのかい?また来てくれると嬉しいな」 大阪で☆SHOWタイム☆の仕事がある度にこの旅館にお世話になるのかな?他の宿泊施設はファンの子がどこで見てるかわからなくてとてもじゃないけどリラックスなんかできないもんね。 お仕事で大阪に来て

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第6話

    「あらあら、皆さんいらっしゃい。今回もいらっしゃると思って料理長も張り切っちゃってたのよ?」「女将さん、言わないで下さいよ~」 アットホームな雰囲気だなぁ。「それにしても……あんたはなぁ、本来ならばこの旅館を継ぐ立場だったんでしょ?松之助!」 RAUGHさんは松之助さんと言うのですか。アイドルだもん。隠しますね。「RAUGHとかカッコつけっちゃってまぁ、イイ身分だこと!あと3年ですからね‼」 え?☆SHOWタイム☆はあと3年なの?「バレたか…俺達が☆SHOWタイム☆として活動するのはあと3年。以降はどうなるかわかんない」 だから晃さんが必死に仕事してたのかな? 風光明媚なこの旅館はまさに隠れ家的に普段は人気なんじゃないかなぁ?竹林に囲まれていて、『都会の喧騒よ、さようなら』といった感じ。 RAUGHさんのご実家の旅館には温泉が湧いていてとってもゆっくりできました。☆SHOWタイム☆の3人の浴衣姿もカッコよかったです。しっかりと脳裏に焼き付けました。「みのりさんも浴衣似合うじゃん!浴衣の合わせが逆だけどな。誰も指摘してやんなかったの?」「可愛いミスで可愛いからそのままにしておいちゃった」 総合のマネージャーがてへぺろしても合わせが逆の私が恥ずかしいです! 夕食には懐石なの?私は初めて食べるんだけど、作法とかあるの?とにかく美しいです。写メとかは流石に不作法ですよね?美しいんですけど。 皆様慣れてらっしゃる。どんどん食べ進めていますね。私も見惚れてないで食べよう。うわっ、美味しい!「RAUGHさん!めっちゃ美味しいです。私こんなの食べたことない!」「そ、そうか?料理長が喜ぶな。っていうか、興奮して俺のとこに来すぎ近すぎ。自分の席に戻ってください」 あ、私としたことが…。あまりの美味しさに我を忘れてあのような奇行に。それにしても美味しい。「確かにみのりさんは美味しそうに食べますね」「そうよねぇ、あんな顔で食べてくれたら料理長も嬉しいでしょうね」 はっ、料理長!私の方からご馳走のお礼を言いに行くべきだよね?「RAUGHさん!料理長さんは厨房にいらっしゃるんですか?これらの美味しい料理のお礼を是非言わなくては!」 私は厨房の方へと急いだ。どこだろう?「料理長なら、そのうち来るけど……って行っちゃった。迷子にならないといいけど」

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第5話

     大阪では生HANG様の演奏で二人がダンスを披露したことで大盛り上がり!明日のスポーツ新聞にも載るんじゃないかなぁ? ああ、専属マネージャーやっててよかった。福岡公演からの公演は全部間近で見ることが出来て幸せ。 普段だったらファンクラブに入っていようとも、チケット争奪戦のホラ貝が鳴り響く中でのチケットだというのに…、 その公演を! 争奪戦ナシで! 超間近で見ることが出来るこのポジションは何とも言い難いですねぇ。マネージャー万歳‼ それにしても…LIVE後で疲れているというのに、CM撮影とかスケジュールに入れちゃってるんですね。 晃さん曰く「人気がいつまで続くのかわからない商売だから売れてるうちに稼がないと」らしい。 堅実だけど、体壊さないか心配です。 この辺のスケジュールは私が入れたものじゃないから、ついて行くだけになっちゃってるけどいいのかなぁ?「他の二人だってそれなりに稼いでるはずだぜ?グループ内で作曲とか作詞とか持ち回り式にしてるのもあるけど、印税が偏らないようにね」 ファンの間でHANG様が作った曲派とかそういうのあったなぁ。と思うけど、確かに印税収入は大事だよね。カラオケは続くし、懐メロで歌われるかもしれないもんね。☆SHOWタイム☆自体、堅実だなぁと思ってしまう。 アイドルってもっとこうチャラチャラしてる感じだけど、全然そんなことなくてしっかりしてるなぁ。 今夜もそれぞれ泊るところは別々です。 ファンと同じホテルになってしまったら、大騒ぎです。そうなる前に全室予約取らないといけないことになります。そうしたら場所がファンにバレバレですけど。困った。「大阪やろ?俺の実家に泊まったら?」 とメンバーのRAUGHさんが仰います。いいのでしょうか?「7人ぐらいいるけどいいの?」「うちは旅館を経営してるからいいんじゃない?」 それって、今まさに満室なんじゃ…しかも大阪出身。実家は旅館。もろにファンがそこに集結しそう……。「そうだなぁ。いつも世話になってるし」「だよねぇ。毎度お世話になります。食事美味しいんだよねぇ」「料理長が喜ぶわ~。言っておく。そんじゃま、行こか?」 えぇ~‼そんなノリでいいの?「俺らがツアーの時はワザとに全室満室にしてくれてんだよ。有難いよなぁ」 全くです。経費でこの旅館に多くのお金を落とすこと

  • 今日から推しのマネージャーなのです   第4話 ~HANG(晃)視点

     本当はみのりさんの事を結構前から知っていた。☆SHOWタイム☆のメンバーにはバレバレだったみたいだけど。なんかこっぱずかしいな。 あれは1年前のLIVEツアー中だった。どこのドームだったかは忘れたけど、俺の顔面のウチワを片手に全力で俺を応援しているみのりさんがいた。その時はファンの一人だったんだけど、みのりさんの隣の人がペンライトを持ってくるのを忘れたみたいで、泣きそうだった(そこまでなのか?)が、みのりさんがペンライトをカバンから取り出して、隣の人に渡していた。まるでカバンが四次元ポケットか?って感じだった。 でも、その時にただ応援してくれてる人じゃなくて、周りの人も幸せにしたいと思ってる人だと思った。 周りの人を幸せにしたいのは☆SHOWタイム☆も一緒。 それからというものなんとなく客席にみのりさんを探すようになったなぁ。舞台のそでにいた時はかなり驚いたけど。 俺の専属マネージャーになったと聞いて、試すようなことをしてしまった。 本当はずっと一緒がいいと思った。 アイドルとしてそれがいいのかわからない。けど、俺はそう思う。 いつもなら俺のワガママで数日で辞めてしまう専属のマネージャー。みのりさんが長くこの仕事を続けてほしいと思うのはワガママだろうか? みのりさんには公開していない事務所の社長しか知らない俺の本名を教えた。本名で呼んでほしい。メンバーにもその専属マネージャーにも教えていない。みのりさんに呼んでほしい。こういうの独占欲っていうのかな? みのりさんとラブホに行った時に暴走しなかった自分が偉いと思う。もし、暴走して俺とみのりさんとの距離が前よりも離れるようになってしまったらと思うとなんとも言えない。 「床で寝る」と言った時は驚いた。確かに俺の方が身分が上だといえるかもしれないが、女性を床で寝せる程落ちぶれてはいない。 でもなぁ、一つのベッドにみのりさんと一緒に寝てても俺は正直リラックスできなかった。これなら、カプセルホテルの方が良かったかも。と思ってしまう。 帰りの新幹線ではよく寝よう。 新幹線の中で子守唄のように明日のスケジュールを聞いたような気がする。アイマスクをしていたからわからない。みのりさんも無理矢理にアイマスクを取るような人じゃないし。

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status