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第7話

مؤلف: ナツミ
その腹をかばうようにそっと撫でる仕草に、瑞希は眉をひそめた。

「浩一さんとあれだけ長く一緒にいたのに、一度も子どもができなかったでしょう……それだけで、もう十分わかるわ。あなたはその程度の存在だったってこと。あなたにプロポーズして、結婚の約束までしたのだって、長年一緒にいた情に流されただけよ。

でも私は違う。浩一さんは私といるとき、一度だって避妊なんかしなかった。最初から、私に自分の子を産ませるつもりだったのよ。ちゃんと期待に応えられてよかったわ。私のお腹、なかなか優秀でしょう?

しかも先生に、双子だって言われたの。浩一さんも、阿部家のみなさんも、今から私のお腹の子が生まれてくるのを楽しみにしてるわ」

どん――

頭の中で何かが激しく弾けたようだった。

頭も、心臓も、同時に打ち砕かれ、血だらけになった気がした。

「瑞希さん、あなたには浩一さんの子どもを産む資格なんてないのよ。ああ、違うか。資格がないんじゃなくて――産めないんだったわね?」

瑞希の顔から血の気が引いた。どれほど力を入れても感情を押さえきれず、指先も唇もかすかに震えていた。

浩一は、どれほど美桜を愛しているのだろう。

こんなことまで、彼女に話していたなんて。

しかも、自分がもう子どもを望めない体になったのは浩一をかばったせいなのに、彼はそのことに一言も触れず、その事実さえ、美桜に彼女を踏みにじる材料として使わせていた。

「黙って。もうそれ以上言わないで!」瑞希は感情を抑えきれず、声を荒らげた。

「どうして黙らなきゃいけないの?子どもができないんだから、言われたくないってこと?」

美桜は得意げに笑った。その自信に満ちた笑みは何も言わずとも、自分がすでに勝っていると瑞希に突きつけていた。

「だから言ってるでしょ。浩一さんはあなたなんか愛してないの。だからあなたのことは何でも私に話す。でも、あなたは私のことを何も知らない。違う?」

その一言が瑞希の胸を貫いた。心臓のいちばん太い血管を突き破られたようだった。

心がずたずたに裂けるようだった。

瑞希は唇をきつく噛みしめた。美桜のあの勝ち誇った顔を見ているうちに、ついに我慢できなくなり、起き上がって手を振り上げた。

その平手を美桜の頬へ打ち下ろそうとした、まさにそのときだった。病室のドアが開き、浩一の母――阿部夫人が入ってきた。

「瑞希ちゃん」

瑞希は阿部夫人の前で美桜ともめたくなくて、そっと手を下ろした。

「高瀬さん、お見舞いありがとう。母が来たので、もう帰ってもらえる?」

「じゃあ、私はこれで失礼するね。瑞希さん、ちゃんと体を休めてね。また時間ができたら会いに来るから」

美桜はそう言い残して出ていった。立ち去り際、その視線が阿部夫人の上をかすめた。だが阿部夫人は、彼女に一瞥すらくれなかった。

美桜がいなくなってから、阿部夫人はようやく、あの人は誰なのかと瑞希に尋ねた。

瑞希は阿部夫人に心配をかけたくなくて、以前共演したことのある俳優で、たまたま同じ病院にいたから少し話をしに来ただけだと嘘をついた。

阿部家の中で、誰がいちばん自分によくしてくれたかといえば、それは間違いなく浩一の母、阿部夫人だった。

あの日、家族が火事で亡くなったあと、最初に彼女を阿部家へ連れて帰ろうと言い出したのは、阿部夫人だった。

藤ヶ谷家と阿部家は幼いころから婚約の約束があり、だから阿部夫人は小さなころから彼女を嫁として育ててきた。食べるものも着るものも、何ひとつ不自由をさせたことはなかった。

むしろ実の息子である浩一よりも、彼女のほうが大切にされていたと言っていいくらいだった。

その頃、浩一の祖母が瑞希を引き取ることに反対したときでさえ、阿部夫人は祖母の不興を買うことも承知のうえで、どうしても瑞希をこの家に置いておこうとした。

もし離れたあと、いちばん名残惜しく思う相手は誰かと問われたら、それはきっと阿部夫人だった。

「瑞希ちゃん、具合はどう?体調が悪いなら、どうしてお母さんに言ってくれなかったの」

「ごめんなさい、お義母さん。心配かけてしまって」

「何言ってるの、この子は。無事だったんだから、それで十分よ。あなたの好きな炊き込みご飯、作ってきたの。起きて、少しでも食べない?」

「うん」

阿部夫人の優しさに包まれているあいだ、瑞希は彼女の視線がどこか定まらないことに気づかなかった。

彼女はずっと思っていた。何があっても、阿部夫人だけは自分の味方でいてくれると。

むしろ阿部夫人のためだったからこそ、浩一との芝居を続け、美桜の存在にも気づかないふりをして、このうわべだけの平穏を守ってきたのだ。

けれど食事を終え、阿部夫人が「お水を持ってくるわね」と病室を出ていったあと、瑞希もまた、いつ退院できるのか看護師に聞こうと部屋の外へ出た。

すると、阿部夫人がポットを提げたまま、別の病室へ入っていくのが見えた。

瑞希は気づかれないよう、そっとそのあとを追った。

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