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第6話

Author: 叶ちゃん
あの「茶番」が暴かれて以来、陽一は完全に優璃を遠ざけるようになった。

どこへ行くにも優璃を連れて行こうとはせず、ひと言も口をきかなくなった。

その冷たさは鋭い刃となって、少しずつ優璃の胸をえぐっていく。

そんな態度をすべて見ていた加莉奈はすっかり満足し、それからは優璃への嫌がらせをもう隠そうともしなくなった。

1日目。加莉奈は優璃を炎天下に立たせ、芝生の上にまき散らされた小さな真珠を1粒ずつ拾わせた。

容赦ない日差しの下で腰をかがめ、1粒、また1粒と拾い続ける。汗で服はぐっしょり濡れ、目の前が何度も真っ暗になった。ようやく最後の1粒を拾い上げたところで、熱中症で倒れた。

2日目。今度は屋敷の床をすべて磨き上げるよう命じてきた。隙間のひとつひとつまで丁寧に。

優璃は床に膝をついて拭き続け、水に浸かった手は白くふやけ、膝は擦れて血が滲んだ。

一睡もせず丸ひと晩かけて、ようやく床を磨き終えた。

そして、3日目。加莉奈は突然の思いつきで、街の北端にある店のお菓子が食べたいと言い出した。

優璃は何も言わず、街の南から北まで走って買いに向かった。

ところが買って帰ると、加莉奈は嫌そうに眉をひそめた。

「すっかり冷めているじゃない。買い直してきなさい」

優璃は一言も言い返さず、踵を返してもう一度走り出した。

今度は突然、激しい土砂降りに見舞われた。

お菓子が濡れないよう上着を脱いで箱をきつく包み込み、自分の体は雨に打たれるままにした。

顔の雨を拭う余裕もなく、彼女は長谷部家の屋敷へ向かってひたすら走る。

だが道路を渡ろうとしたそのとき、暴走した車が優璃に突っ込んできた。

ドンッ!

優璃の体は羽の折れた蝶のように宙を舞い、無残にも地面に叩きつけられた。

地面に落ちた瞬間、意識がかすんでいった。ブレーキの音、通行人の悲鳴、サイレン。

すべてが少しずつ遠のいていく。

死ぬのだと思ったそのとき、遠くから切羽詰まった声が聞こえてきた。

「おい、お嬢さん!大丈夫ですか?すぐ病院に連れていきますから!」

運転手が必死に肩を揺さぶり、優璃は少しずつ意識を取り戻した。

優璃が最初に確認したのは、運転手への返答ではなく、腕の中のお菓子の箱だった。

箱が無傷なのを確かめるとよろめきながら立ち上がり、かすれ声で絞り出した。

「いえ……大丈夫です。行かなきゃいけない用事があるので」

そう言って運転手の手を押しのけ、血まみれのまま長谷部家へ向かって走り出した。

痛みを必死に堪え、お菓子を加莉奈に差し出した。

加莉奈は血と泥にまみれた優璃の姿を見て、露骨に顔をしかめた。

箱を受け取ろうともせず、無造作に外のプールを指さした。

「ちょうどよかった。ネックレスをプールに落としちゃったの。潜って探してきてくれない?」

優璃の体がビクッと震えた。

車にはねられたばかりで全身の骨がきしむほど痛む。このうえプールに潜ってネックレスを探せば、水の中で死んでしまうかもしれない。

相手が動かないのを見て、加莉奈の顔がたちまち曇る。隣に立つ陽一の腕にすがりつき、甘ったるい声でねだった。

「陽一……」

陽一は視線を動かさないまま、冷淡にボディガードへ顎をしゃくった。

ボディガードがすぐさま進み出て、優璃を引きずってプールへ向かう。

手から菓子箱が落ち、お菓子が泥水の中に散らばった。

ザバーン!

冷たい水が一瞬で優璃を呑み込み、口、鼻、耳から容赦なく流れ込んで、残っていたわずかな酸素まで奪っていく。

優璃は必死にもがき、水面に浮かび上がろうとした。だが頭が水から出るたび、ボディガードが再び水の底へ押し沈めた。

「長谷部社長のご指示だ。ネックレスを見つけるまで上がってくるな」

その言葉は鈍器のように、優璃の心を強く打ちのめした。

肺が燃えるように痛む。優璃は歯を食いしばり、何度も、何度も水底へ潜っていった。

1分、また1分と、時間だけが過ぎていく。

力が尽きる寸前になって、ようやくネックレスを見つけ出した。

必死に岸へ這い上がり、それをボディガードに渡した途端、糸が切れたように体から力が抜け、優璃は完全に意識を失った。

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