優璃が陽一に言われたものを買って、南雲学院高等学校に駆けつけると、校門の外に場違いなロールスロイスが停まっているのが目に入った。車体がかすかに揺れている。中から女の甘い喘ぎ声と、男の低く押し殺した呻き声がかすかに漏れてくる。その声の一つ一つが鋭い刃のように、優璃の胸をえぐった。爪が掌に深く食い込んでいるのに痛みは少しも感じない。強く握りしめてひしゃげてしまった箱を指で撫でながら、少しずつ元の形に整える。車のそばまで行き、後部座席の窓から伸びてきた、すらりと長い指に箱を渡した。これもいつものことで、彼女は立ち去らず、助手席に乗り込んだ。ルームミラー越しに、後部座席での情事が優璃の目に飛び込んできた。陽一は前席の優璃に背を向けるようにしていた。スーツをきっちりと着込んだまま、一糸纏わぬ女に覆いかぶさっている。表情は冷え切っているのに動きだけが狂おしく激しい。組み敷かれた女は悦びと苦しさの入り混じった声で手加減を乞い、全身を情欲の色に染めていた。「あっ……社長……もう少し、優しく……っ」陽一は冷たく笑った。低く凍えるような声だった。「手加減したら、お前は満足できないだろう?」そう言うなり、動きはいっそう激しくなる。車の揺れが前の席にまで伝わり、優璃の身体もそれに合わせて震えた。それでも目を逸らさない。まるで自分を痛めつけるようにすべてを見つめ続けた。やがて女が甲高い声を上げ、ようやく陽一は身を離して座席に座り直すと、無造作に窓を下ろした。冷たい風が吹き込み、車内にこもっていた濃密な情事の気配を吹き飛ばしていく。陽一は煙草に火をつけた。立ちのぼる紫煙に霞んで、優璃には陽一の顔がよく見えない。先に優璃に気づいたのは、女のほうだった。「きゃっ!」女は小さく悲鳴を上げると、陽一の胸元に身を寄せた。「社長、なんで使用人まで乗ってるんですか?早く降ろしてくださいよ」陽一は優璃をちらりと見やり、気のない口ぶりで言った。「使用人なんかじゃない。こいつは俺の初恋の相手だ。愛しても手に入らなかった、忘れられない女だよ」陽一は煙を深く吸い込むと、煙草を挟んだ右手をゆっくりと持ち上げた。「この手が見えるか?彼女を庇って事故に遭って、今も重い後遺症が残ってる。もう一生、車は運転できない」まるで他人の身の
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