LOGIN三体の悪霊を倒してエルフの里へ戻ってきた俺達は、 アメリアさんの元へ行き状況を説明した。 「とりあえず三体は討伐してきました。が、後どれだけいるかがわからないですね」 「ひとまずありがとうございます。正直そんな簡単に倒してくるとも思ってなかったので驚きが強いですが…」 アメリアさんが正直な感想を伝えてくる。 まぁ散々エルフが苦戦した相手だもんな。 それを今日の今日で倒してきましたって言われてもな… しかし討伐を信じてもらえるんだろうか。 「他の魔物のように魔石が出ないから本当に倒してきたのか証拠が無いんですが…」 「そこはジュリアが同行してるのです。元々貴方達の仲間だとしても嘘をつくことは無いと信じておりますので」 同族の存在が保証になると言うことか。 ふとジュリアさんを見ると安堵の微笑みを浮かべていた。 あ、信じてもらえてさては喜んでるやつかな? まぁ里を飛び出した訳だしな。 「何体残ってるのか定かではないので、しばらく北の森を巡回しようと思ってます。よろしければ里に滞在することを許可頂けませんでしょうか」 船をつけた所まで戻れば拠点はあるが…毎回時間をかけてここまで来るのもちょっと無駄だからな。 「わかりました。仮に里へ悪霊が現れた際に対応して頂けますでしょうか」 「それは勿論。…今まで里に現れることもあったんですか?」 「二度程…。その時はエルフにだいぶ犠牲が出ました。……ジュリア。貴女の家に泊めて差し上げなさい。家はそのままにしてありますし、手入れもしてありますから問題ないでしょう」 「わかりました。では皆を案内致しますね」 ジュリアさんがこちらへ来る。 「皆着いてきてくれ。こっちだ」 アメリアさんに一礼してジュリアさんに着いていく。 「しかし、飛び出したって言うのに家残してあって手入れしてあるとかエルフって凄いな」 道中ジュリアさんに声をかける。 「あぁ。流石に娘の家は残してくれていたようだ」 「娘?」 「ん?言ってなかったか。わたしは長の娘だぞ」 …聞いてないんだよなぁ。 つまりアメリアさんが母親ということか。 そりゃ家も残してもらえるか。 あ、悪霊討伐したのを信じてもらえたのも関係してるのかもな。 「ジュリアさんエルフのお姫様ってこと?」 ハルがジュリアさんに質問をする。 「ハハハ
「えへ…えへへー」 どうやら機嫌は治ったみたいだ。 いやしかしアクアにヤキモチ妬くのかぁ。 「さて。そろそろおふざけも終わりだぞ。もう森に入るからな。この先さいつ悪霊が現れてもおかしくないからな」 ジュリアさんに注意される。 いやふざけてる訳ではないんだけどね。 まぁ周りから見たらそう見えるか…。 そして森に入る。 …んー。なんだろこの感じ。 「何か気持ち悪いね…。んーこの感じあのダンジョンの時に…近い?」 「最初のスケルトンの時か?」 魔力のダンジョンにてスケルトンと初めて戦う前ハルは何かを感じていた。 あの時は重い感じだったか? 「うん。あの時ほど重たさを感じないんだけど…。でももっと嫌な感じかも」 「恐らく悪霊の気配でしょう。あれは生きるものの天敵です。魔族の負の部分だけが残ってると思ってください」 アクアが教えてくれる。 生きるものの天敵か…。 なかなかヤバそうだな。 そのまま森の奥へ進んでいく。 「だいぶ進んだが…どうだ?」 「気配は濃くなって来たな……気をつけろ!来るぞ!」 ゼノンが声を上げ武器を構える。 森の奥から三体の魔物が現れる。 「あれが…悪霊?」 「いや…あれはブラックウルフだな…だが…」 俺の問にジュリアさんが答える。 悪霊じゃないのか? 「違います!あの魔物は悪霊が取り憑いています!普通の魔物と思ってはいけません!」 アクアが叫ぶ。 「ハル…。気をつけろ!」 「うん!ユウキもね!」 「俺とジュリアで一体ずつ抑える!ユウキとハルで一体ずつ確実に倒せ!」 「…大丈夫なのか?」 「恐らく悪霊に効果があるのはお前たちの力だけだ!…抑えるぐらいはなんとかなるさ!なぁ?ジュリア!?」 剣を手に取りゼノンが魔物へ向かいながらジュリアさんに声をかける。 「勿論だ!SSランクを舐めるんじゃない!」 ジュリアさんも魔力を身にまとい魔物へ向かっていく。 これは俺とハルで確実に倒さないとだな。 「ハル!俺が抑える!あの力いけるか!?」 「え!わかんないけどやってみる!」 ハルが魔力を高める。 とりあえず俺は…闘気でやってみるか。 魔力と合わせるのは…って。ん?なんだこの感じ。 闘気を剣に纏わせようとしたら…剣が黒く染まる。 あれ?これって…。魔力と合わせたあの力だよな。 「
(アクアか。どうした?) (ちょっと皆さんには聞かれない方が良い話でしたので…) なるほど。つまりは… (俺の力のことか?) (はい。ユウキ様の中にいる存在…についてです) これまで伝えようと思えば伝えられたのにわざわざこのタイミングということは… (悪霊繋がりの話だな?アイツは悪霊なのか?) (…いえ。近しいものだとは思うのですが、悪霊そのものではないと…思います) 歯切れの悪い感じだな。 この念話においてアクアが嘘をつく必要はないんだよな。 とは言え悪霊の事を話すのにあれだけ躊躇った。 理から外れても話せない事があるって事だな。 (アクア。無理に答えなくても構わないが、見当はついてるのか?) (…正直に言いますと、恐らく。というものはあります。ですが確実ではないです。ですのでユウキ様にお伝えするべきなのか…) (それでも良いと言ったら教えてもらえるか?) (はい…。悪霊は魔族が成るもの。精霊はエルフが成るもの。こちらはお話した通りです。そして…ユウキ様の中にいるのは恐らく人から成ったものかと…) (精霊でも悪霊でも無い…同じような存在ということか?) (はい。そしてそれは…それの呼び名は…) アクアがこれまでに無いほど躊躇っているのが伝わってくる。 そこまで言いにくい事なのか…。 え?なんだ? (アクア。教えてくれ。何であっても俺は受け入れるよ) (……確証は無いと言うことは前提にお願いします) (分かった。あくまで可能性の一つとして聞くよ) (人から成る存在…それを神霊…つまり神と呼ばれる存在です) (………神。もしかしてやはりアレスは神に成りノルアーに成ったのか?) (はい。その通りです) 俺の想像は当たってたってことか。 しかし、俺の中にいるアイツは滅びを求めてるんだよな。 (アイツは神なのか?) (…正確には神には成ることが出来ていないとは思います。神霊が神に成るには特別な何かが必要ということは知っています。それが何なのか。それ以上の事は私には…) 精霊と言えど全てを知ってるわけではないか。 (精霊王に会えたら聞いてみるか。アクア…ありがとうな) (…え?) (俺の中のアイツを知っているアクアからしたら伝えにくい事だったろ?どう考えてもアイツが神だとしたら破壊神とか良くない神だろ)
「それで北の森の魔物はどんなやつなんだ?」 準備をして北の森へ向かう途中俺はジュリアさんに質問する。 「それがな…恐らくなんだが悪霊と呼ばれる魔物だと思われる」 「悪霊?恐らくって言うのはなんでなんだ?目撃者はいるんだろ?」 犠牲者も出てるとは言っていたが全滅しているとも聞いてない。 「あぁ。いや恐らくと言うのが悪霊と言う魔物自体よくわかっていない存在なんだ」 「正体が不明の魔物ってやつだな」 ジュリアさんの言葉にゼノンが続く。 「正体不明?」 「というより本当の姿が不明と言う感じだな。おそらく魔力生命体であろうとは言われてるのだが、姿を変えるんだ」 それはなかなかめんどくさい相手になりそうだな。 「魔力生命体なら魔法が効くんじゃないのか?」 「そうなんだが、結果魔法が効かずエルフに犠牲が出てるという訳だな。魔法が効かないとなるとエルフの戦闘力はかなり落ちてしまう」 エルフにとっては天敵な訳か。 んー。正体不明…か。 「アクアは何か知らないのか?」 困った時は理の外にいる便利精霊に聞いてみる。 「悪霊ですか…。古代の魔族が…関係している存在とだけ…」 お。やはり知ってた。しかしちょっと言いにくそうな感じなのか? そう思いマリクさんを見ると難しい顔をしてる。 やはりこれもあまり言ってはいけない話か。 「魔族?しかし奴らはすでに滅んでいると…」 「えぇ。ですので魔族そのもの…と言うか魔力と言うか…」 ジュリアさんの言葉にアクアが返す。 何かハッキリとは言えない感じに聞こえるな。 「滅んだのに魔力だけ残っていると言うのか?」 「…そうですね…流石にこれは話すのを躊躇うのですが…」 アクアが言い淀んでマリクさんを見る。 理から外れたアクアが言うのを躊躇うってどんな事なんだ? 「…ふむ。我ら精霊の根幹が絡むからのぅ。うーむ。順番がまためちゃくちゃになるからのぅ」 マリクさんが唸っている。 順番がめちゃくちゃか… と言うことはいずれ知る可能性があるって事か…。 「…精霊王に会えばわかる話なのか?」 「…本当にユウキ殿の察しの良さは怖いのぅ。そうじゃ。本来この話は精霊王がするべき話じゃの。とは言えワシも大精霊の身。一応話す権利は持っておる。精霊石をハルちゃんに渡しているから聞く権利もある」 「え?私は聞いても
「なるほど…私達の信頼を得たいと。それがノーム様の信頼になると。そういう事ですね?」 「あぁ。だけど先に伝えておきたいんだが、確かにノームとの約束でもあるが、俺個人としてはエルフと仲良くしたいって気持ちもあるんだ」 「我々と?」 「俺達はこの世界に来てまだ日が浅い。その中で知り合った人達は皆とても良くしてくれる。そしてその中にジュリアさんもいる」 そう。この世界で知り合った人、エルフ、精霊と皆良くしてくれている。もちろんそうでない人も沢山いるのだろうが…。 「ジュリアさんへの恩を返したいんだ。過去にエルフにとって許し難い出来事があったのはジュリアさんに聞いた。それでも全ての人がそうでないって事をわかってもらいたい。それが人の世界で生きることを選んでくれているジュリアさんへ返せるものだと思うんだ」 そう。ジュリアさんはエルフのしきたりが嫌で里を飛び出したと言っていた。 そんな中俺達のために里へ戻ってくれた。 里の中で見るジュリアさんは、特に里に対し嫌悪感があるようには見えなかった。 「俺の思い違いだったら恥ずかしいんだが、ジュリアさんは人もエルフも好きなんだと感じたんだ」 「ユウキ…。あぁその通りだ。里を飛び出した身でこんなことを言うのもおかしいかもしれないが、私はエルフも人も等しく好きだ。お互いが手を取りあって暮らして行ければと思っている」 良かった。俺の勘違いじゃ無かったようだ。 ジュリアさんが話を合わせてくれた…って感じでもないな。 「過去のことを全て水に流せと?犠牲になったものたちを忘れろと?そう言うのですか?」 俺達の言葉にアメリアさんが圧をかけてくる。 やはり面白くは感じないよな。 それは予想できた。 「そんな事は言わない。過去に人が犯した罪は罪だ。そして犠牲になったエルフの事を忘れろなんて言わない。ただ未来を見て欲しいんだ」 綺麗事だと、偽善だとエゴだと言われてしまうかな。 …それでも 「先々まだ産まれてない子達が憎まなくていい世界にできないか?お互いが手を取りあって助け合う世界にすることはできないだろうか?今の俺達とジュリアさんのように」 「…。」 俺の言葉にアメリアさんは沈黙している。 「長よ。ユウキ達はこの世界に来てからまだ、ひと月足らずだ。その中で私、竜人族、そしてこの世界で生まれた人達の信頼を得
「つまりこちらの女の子の役割を果たすことだけが、君の望みだと。魔王の因子を持ったのも偶然で、この世界に災いをもたらすつもりはないと」 こちらの話を聞いたノームが答えてくれる。 「そうだ。もちろん魔王の因子を持っていることは事実だから、それを災いと言われるなら否定はできないが…」 実際は【世界を滅ぼすモノ】なわけで。 確実に災いをもたらすものなんだけどな。 魔王の因子だけで話をすれば嘘は…ついてないと思う。 「魔王の魂はユウキ様はお持ちではないです。話をした通りミナトと言う男が持っています。その者は世界を滅ぼすつもりでしょう。ユウキ様は因子を持ってはいますが、魔王になる意思はありませんよ」 俺の役割も知っているアクアがフォローをしてくれる。 しかし魔王ってのはなろうと思ってなれるものなのか?アクアの言い方だとそうとも捉えられるんだよな。 「うーん。確かに魔力は禍々しいけど、話をしてて悪い印象はないね」 アクアの話を聞きノームが少し悩む感じになる。 「ノームよ。ハルちゃんについては女神の力を持つ可能性がある子だ。そしてお主と契約すれば精霊王へ会うことになる。仮にユウキ殿が魔王だったとしても…」 「すぐ側に封印できる者がいるってことですね。確かにそれなら何かあってもすぐに対応する事ができるか」 「うむ。そうであろう?」 続けたマリクさんの言葉にノームが更に悩む素振りを見せる。 「…わかりました。ではハルさん?契約しようか」 「うん。…ユウキは本当に悪い人じゃないからね?」 うーん。ノームもハルも納得してない感じがするな。 なんかそれでいいのかな?って思っちゃうな。 「ノーム。上手く言えないんだが、何か信頼をしてもらえるものはないか?契約してもらうにも今のお互いモヤモヤしてる状態ってのは…良くない感じがする」 「…それはそうだね。見たところハルさんはイフリート、シルフそしてマリク様から精霊石を受け取ってるんだよね?…今のままでは僕は渡せない。契約をしても形式上になってしまうね」 やはり納得できてないようだな。 「何をしたら信頼して貰えるかわからないが、何かあるか?」 「そうだね…。さっきの話では君達は魔王の魂を持っているミナトと言う男と戦うつもりなんだよね?」 「あぁ。あいつが俺達を狙ってくるだろうし、ハルの役割的にも放置す







