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第11話 仲直り作戦(01)

Penulis: 星琴千咲
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-18 10:11:29

大介のスタジオから飛び出した悠治はすぐ雪枝に電話をして、事情をごまかした。

「まだ修正中で、読まれたくないんだよ」

「そうか……お兄ちゃん、大介さんたちに迷惑をかけてないよね?」

「……もちろん」

もちろん、めちゃかけているんだ。

悠治は話の後半を省略した。

電話を切ってから、悠治は町中をうろついていた。

もうすぐクリスマス、あちこちライトアップしていて、お店は商売に張り切っている。

通行人たちからも家庭団楽の雰囲気が溢れている。

雪枝は彼氏とデートする予定だろう。

こんな雰囲気の中で、一人でいると余計に寂しさを感じる。

だから、毎年の年末になると、いつもより外出を控えていた。

クズみたいな両親に残された楽しい記憶なんか思い出したくない。

大介も大介だ。

余計なことに頭を突っ込んできて……

それも憎まれるための仕業なのか?

エロ小説や冤罪の一つ二つくらいで踊されるなんて、よっぽどイメージにこだわっているだろう。

悠子だった時の記憶が完全にないわけではない。

悠治は大介が自分を引き留める理由がなんとなく分かる。

でも、皮肉にも、あんなやつに作品を褒められた。

認めたくないけど、「敵」の褒め言葉は一番強い。

誰かに肯定された気分は悪くない。

本当はごちゃごちゃにしたかったのに、穂香がいたせいか、書く途中から真剣になった……

まんまと大介の罠に嵌められたとは、予想外だった。

これからも厄介になりそうだ。

万が一、彼は修正を諦めて、そのまま制作に入って、雪枝に何かを感づかれたら……

あるいは自分の脅かしが効かなくなり、彼は雪枝に何かを伝

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