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第3話

Author: ソフトクリーム
「そ……そうか。見せて」

州平は言葉を濁しながら資料を受け取り、平静を装って眉を下げた。

「兄さんはどうしてこんな嘘を書いたんだろう」

明音は彼の手をいたわるように握った。

「あなたから腎臓をもらったことは、誰もが知っているわ。安心して。あんな嘘に騙される人なんていないから」

目の前に紛れもない事実があるというのに、明音は俺を信じない。胸の内側を引き裂かれるような痛みが走った。

明音は資料を無造作に放り出し、吐き捨てるように言った。

「死んでまで人を不愉快にさせるなんて、本当に最低な奴!期限切れの遺骨なんて、誰も引き取らなければ斎場のほうで処分するわ。もういいわ、レストランへ行きましょう」

州平は突然、俺の骨壺に手を伸ばした。悲しみに沈んだ顔を作っている。

「せめて遺骨だけは連れて帰ろう。なんだかんだ言っても、僕の兄さんだから。

故郷には、亡くなった人を家に連れて帰る風習があるだろう?こんな所でひとりぼっちにさせたくないんだ」

明音は不満げに唇を尖らせた。

「あなたは本当に人が良すぎるのね。分かったわ、好きにして」

州平が急に親切なふりをする理由が分からなかった。俺が遠くで野垂れ死ねばいいと願っていたはずなのに。

彼が骨壺を持ってレストランへ入り、席についた。それからほどなくして、俺の実の両親も現れた。

年月が経っても、二人の姿はほとんど変わっていない。両親が両腕を広げるのを見て、俺は抱きしめてもらえるのだと思った。

家族にすがりたい気持ちに駆られ、俺は両親のもとへ駆け寄ろうとした。幼いころのように、胸の内を聞いてほしかった。

だが次の瞬間、両親の腕は俺の魂をすり抜け、州平を抱きしめた。

「州平、よく頑張ったね。明音と結ばれて、本当によかった」

俺は必死に手を振った。息子が死んだことや、州平がどれほどおぞましい人間かを、両親に伝えたかった。

しかし誰にも俺の姿は見えない。何をしても届かなかった。

州平が自分から切り出した。

「お父さん、お母さん。僕は幸せになれました。でも、さっき不幸な知らせも聞いたんです。

兄さんが……亡くなりました。遺骨を持ってきたので、会ってやってください」

州平が店の隅を指差す。

両親は一瞬、言葉を失った。だが、俺が想像していたように骨壺を抱いて泣き崩れることはなかった。

父は怒りも露わに袖をまくり上げると、骨壺の蓋を開け、俺の遺骨をそのままごみ箱へぶちまけた。

俺は呆然と父を見つめた。息子が死んだと知っても悲しむどころか、その遺骨を踏みにじるなんて。

父は空になった骨壺を蹴り飛ばし、ごみ箱へ唾まで吐き捨てた。

「こんな縁起の悪いもん、持ってきてどうする!

あの恥晒しめ。昔、明音を見捨てて逃げたせいで、うちが世間からどれだけ後ろ指を指されたと思ってるんだ。

死んでよかった。これでやっと清々する!」

いつも穏やかだった母も、俺の遺骨には近づこうとしなかった。俺はてっきり、父の粗暴な振る舞いに怯えているのだと思った。

だが母は顔をしかめ、忌々しげに足を踏み鳴らした。

「食事の席に遺骨なんて持ち込んだら縁起が悪いじゃないの。早く店員さんを呼んで、ごみ箱ごと片づけてもらってちょうだい。

あの子が逃げたとき、私たちはもう親子の縁を切ったのよ。あなたにあれだけ世話になっておきながら、お金まで盗んでいったんだから。あんな恩知らず、もう息子じゃないわ」

胸の奥が一気に冷え切った。息ができないほどの絶望が押し寄せ、もう一度殺されたような気分だった。

母まで俺を厄介者扱いし、見ただけで不吉だと吐き捨てるなんて。信じられなかった。

州平は数歩進み、ごみ箱から遺骨を拾い集めるふりをした。

「お父さん、お母さん、そんな言い方はやめてください。兄さんはもう罰を受けたんです。きっと自分の過ちにも気づいているはずですから」

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