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第362話

Penulis: 星柚子
北斗の顔色がすっと冷える。「……お兄さんも奈穂のことが好きなのか?」

以前、秦家が水戸家と縁談を進めようとしていたのは知っている。

まさか――烈生が奈穂に気があったからなのか。

「さあね」音凛は素っ気なく答えた。「でも、少なくとも今、海市にいるのは事実よ。教えてあげたのは忠告のつもり。何を企んでるか分からないんだから、気をつけたほうがいいわ」

少し間を置いて、意味深に続ける。「実の兄の行動まで教えてあげたんだもの。十分、誠意は見せたでしょ?」

北斗は、そんな「誠意」など微塵も信じていなかった。

それでも形だけ社交辞令を返し、音凛がさらに何か言う前に電話を切る。

――だからか。以前、烈生が自分に向けてきた、あの冷えきった態度。

今回の来訪も……

新製品発表会を邪魔するためか?それとも、奈穂への告白を潰すためか?

考えれば考えるほど、表情は険しさを増した。

「しゃ、社長……」

脇に置き去りにされていた彩香は、彼がようやく電話を切ったのを見て、思わず声をかけた。

北斗はちらりと彼女を見る。

「……続けますか?」頬を赤らめ、小声で尋ねる。

だが、その時にはもう――
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