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第417話

Author: 星柚子
健司は首を横に振り、微笑んだ。「もう遅い。続きは明日にしよう」

そう言って、ふとデスクの上に置かれた写真へ視線を移す。

写真の中には、ひとりの美しい女性。

奈穂の母親だ。

亡き妻を見つめるその目には、愛情と恋しさ、そして消えることのない痛みが滲んでいた。

共に過ごせた時間は――あまりにも短かった。

白髪になるまで一緒にいよう、と約束したのに。

最後に自分にできたことは、病室のベッドのそばに跪き、彼女の手を握ることだけ。泣く力すら残っていなかった。

奈穂も、父の視線を追う。

母の写真が目に入り、懐かしむように口元がゆるんだ。「もしお母さんがいたら、私たちがまたずっと将棋してるって、きっと文句言うよね」

昔、父娘で将棋に夢中になっていた時期があった。一度座ると一日中指し続けて、食事も睡眠も忘れてしまうほど。

最後は決まって、母が二人の耳を片方ずつ引っ張って、無理やり食卓へ連れて行った。

「そうだな」健司も笑う。「お母さん、あんなに優しい人だったのに、あの時だけはやけに怖かったな」

そう言って微笑んだものの、すぐに笑みは薄れ、瞳に影が落ちた。

できることなら――毎
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