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第615話

Author: 雪吹(ふぶき)ルリ
池本家の老婦人は、真夕に治療させることを譲らなかった。

藍の顔色がさっと変わった。「お母さん、本気でお考えなの?平祐を真夕に任せるなんて絶対にいけないわ。もしも何かあったら……」

真夕は赤い唇をふっと持ち上げ、藍を見ながら言った。「そんなに私の治療を怖がる理由は何?これ以上止めるようなら、本当にあなたに何か後ろ暗い秘密があると疑わざるを得ないわね」

池本家の老婦人の視線が再び藍に向けられた。「私の決意は変わらないわ。藍、行っていいよ」

池本家の老婦人がはっきりと命じた以上、藍にはもう抵抗の余地がなかった。

どれだけ嫌でも、ここでごちゃごちゃ言えば、かえって池本家の老婦人の疑念を招くだけで、自分の首を絞めることになるだろう。

そう思うと、藍はしぶしぶ下がるしかなかった。

真夕は前へ出て、病床に横たわる平祐を見つめた。彼に対する記憶といえば、ただ「彩を溺愛していた父親」というものだけだった。平祐は、まるでその人生のすべてを娘である彩に捧げてきたような男だ。

そんな彼が今、血の気のない顔でベッドに横たわっている。命の気配はまったく感じられない。

真夕は手を伸ばして平祐の脈を
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