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第553話

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それを聞くと、月子の顔色はみるみるうちに変わった。「今、G市にいるんだけど、すぐ戻る手配をするね」

月子の様子に気づき彩乃が尋ねた。「どうしたの?」

月子は電話を切り、「私の祖母が母に会いたい騒いでいるの。すぐに戻らないと」と言った。

それを聞いて、彩乃はすぐに対応した。「わかった。すぐに秘書にチケットの変更を頼むわ」

遠くから月子の冴えない顔を見た隼人は、すぐに忍から離れて、近づいてきた。「何かあったのか?」

月子は彼を見つめて言った。「ちょっと用があってすぐにK市に戻らないといけないの。今、チケット変更の手続き中よ」

忍も近づいてきて尋ねた。「もう帰るのか?」

月子は頷いた。

すると、彩乃がちょうど電話を切ってから言った。「一番早いフライトでも2時間後になるみたい」

月子は歯を食いしばった。理恵が祖母のそばにいるから、大事には至らないはずだ。彼女が心配しているのは、祖母が無理やりあの男に連絡を取ろうとすることだった。

祖母は認知症になってから何年も経つから、母親が亡くなった時も、祖母はすでに意識がハッキリしていなかった。だから祖母に本当のことを話していなかったのだ。

それに父親に連絡しても、ロクなことにならないのが明らかだから、月子は本能的にあの男と関わることを拒んでいた。この先も連絡を取ることはないでしょうし、一生会いたくないと思っているのだ。

色々な考えが頭をよぎったその時、誰かに手を握られた。はっきりとした力強さを感じた。

月子は顔を上げた。

隼人は落ち着いた声で言った。「俺のプライベートジェットで、すぐに出発しよう」

月子は2秒ほど呆然としてから、息を吐き出した。

不思議とイライラしていた心が、急に落ち着いたように感じた。

確かにあの男には会いたくない。でも、慌てることはない。

彩乃と忍は後で出発することになった。

月子と隼人はプライベートジェットで先にK市へ戻った。

……

3時間後、月子はようやくやすらぎの郷に到着した。

隼人は車の中で待っていた。

月子は車から降りると、急いで中へと入って行った。

空港から来る途中、洵からメッセージが届いていた。祖母がまたボケ始めたから、そんなに急がなくても大丈夫だという内容だった。

月子が祖母の部屋に着くと、理恵と洵がいた。

月子は洵と目があった。彼の顔色は悪く、理
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