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第825話

Author: おミカン
裕也の境遇は、彼らよりもさらに悲惨だった。

幼い頃から後継者として育てられ、病気になった時でさえ、雪枝から母親らしい愛情を向けられたことは一度もなかった。

それどころか、自己管理ができていないと責め立てられ、和也ばかりを溺愛した。高熱に苦しむ裕也を放置し、機嫌を損ねた和也を寝かしつけに行く始末だった。

あの時、裕也はまだ十歳だったというのに……

隆は眉をひそめる。

「そうだな。で、これからどうするつもりだ?」

篠は何も言わず、ただ静かに裕也を見つめ、その答えを待っている。

どんなに強い人間でも、心のどこかでは家族の絆を求めているものだ。

裕也は長年、過酷な訓練を受けながら育ってきた。一見すると冷酷無比に見えるが、その内には確かな優しさを持っている。

そうでなければ、絵里にあれほど優しく接することなどできるはずがない。

「やるべきことをやるだけだ」

裕也は冷ややかに唇を歪め、背もたれに寄りかかると、すらりとした長い指でデスクをコツコツと叩く。

「こんなのは日常茶飯事だろう。お前ら、何をそんなに大袈裟に驚いてるんだ?」

違いがあるとすれば、昔の俺は命まで秤にかけら
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