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第74話:神崎財団から連絡です

Autor: Sunny
last update Fecha de publicación: 2026-08-20 21:43:01

キャンバスの前へ立つ。

筆先へ色を取る。

一度。

深く息を吐く。

そして。

色を置いた。

最初の一筆だけは、少し重かった。

けれど。

二本目。

三本目。

そこから先は、止まらなかった。

海辺で見た光。

子どもの描いた紫色の海。

浜中と一緒にスケッチした時の、鉛筆が紙を擦る音。

カフェの窓に映る人影。

奏が何も聞かずコーヒーを差し出す手。

町の人が、自分を当然のようにエマちゃんと呼ぶ声。

一つずつ。

画面の中へ入っていく。

描きながら。

エマは、自分の変化に気づいていた。

以前は。

感情が強いほど、画面から人を遠ざけた。

怒りも。

孤独も。

愛情さえ。

誰にも触れられない形へ閉じ込めた。

今は違う。

誰かと関わった時間が。

そのまま色になっている。

人を入れたくないのではなく。

誰かが立ってもいい場所を、画面の中に残している。

あの黒板へ白を置いた時と同じだった。

遠くから見るだけの景色にはしたくない。

そう思った自分の言葉を。

今さら思い出す。

「……変わったな」

誰もいない倉庫で、小さく呟いた。

それが。

怖いのに。

少し嬉しかった。

***

手を止めた時には、外はすっかり暗くなっ
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