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第89話:その顔が可愛くて、つい

مؤلف: Sunny
last update تاريخ النشر: 2026-08-24 21:32:15

珍しい。

いつもなら。

描くことへ繋がるものを、人前で持つことさえ避ける人なのに。

けれど。

それより先に聞きたいことがあった。

「千早さんは?」

エマの眉が僅かに寄る。

「……なんで奏さんが出てくるんですか」

困った顔。

その表情すら。

可愛いと思ってしまった。

愛おしい。

そこまで思って。

玲は自分が相当に重症なのだと悟った。

「カフェに行ったので」

「カフェに?」

「はい。食事に行ったと聞きました」

エマが僅かに視線を逸らす。

「……行きましたけど」

「そうですか」

それ以上。

聞くべきではない。

分かっているのに。

何を食べたのか。

どこへ行ったのか。

楽しかったのか。

千早に何を言われたのか。

全部知りたい。

もう二人で出かけないでほしい、となんの立場でもないのに。

つい、言いたくなってしまう。

けれど。

それを口にすれば、今度こそ本当に嫌われそうだった。

玲は意識して視線を落とした。

そこで。

改めて画材が目に入る。

「それ」

エマが僅かに腕を引いた。

「画材ですよね」

「……はい」

「使い方は知らないって言ってませんでした?」

先日の教室。

浜中さんが持ってきた、欧州で
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