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第127話

作者: 墨香
翔は引きつった笑みを浮かべながら、横目で真洋の表情をうかがっていた。

真洋はソファの背にもたれ、顔には何の感情も浮かべていない。むしろ平静とさえ言えるほどだった。

だが翔は気づいていた。

ティーカップを握る指には少しずつ力がこもり、手の甲には青い血管が一本ずつ浮かび上がっている。

益田はそんな様子に気づかず、そのまま話を続けた。

「貝原家のご令嬢は、八角家のおばあ様が自ら選んだそうだ。八角蒼士との相性が一番いいって。先月、婚姻届を出したばかりで、今月末には結婚式を挙げるそうだ。港江の上流社会は、その話題でもちきりだよ」

――今月末に結婚式を挙げる。

その言葉が、真っ赤に焼けた焼きごてのように真洋の胸をえぐった。

指に一気に力がこもり、手の中のティーカップから、ひびが入りそうなほどかすかな音がする。

そばで見ていた翔は気が気ではなく、慌てて話題を変えた。

「益田さん、本当に人違いじゃないんですね?写真の女性は本当に、貝原咲良なんですか?」

「間違えるはずがない。八角さんもSNSに写真を載せていたからな」

益田はスマホを取り出し、しばらく画面を操作してから差し出した
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