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第75話

Author: かけるに
礼都は思い切り彼女の体を揺すったが、彼女はまったく反応しなかった。

ただ眉間には深い皺が寄ったままで、夢の中ですら苦しそうだった。

礼都の瞳がわずかに沈む。

彼は小さくため息をつき、立ち上がると腰をかがめ、長い腕を伸ばして梨沙を横抱きにした。

彼女を抱くのはこれが初めてではない。

前にクラブで会ったときも、薬にやられた彼女をこうして抱き上げ、病院まで連れて行った。

あれからまだどれほど経ったというのだろう。

それなのに彼女は、ずいぶん軽くなっていた。

梨沙がかすかに身じろぎすると、小さな頭が自然と礼都の胸元に寄りかかる。

眠ったまま時折しゃくり上げるように泣いていた。

礼都は彼女を抱いたままバーを出た。

梨沙の家の前に着くと、片腕で彼女を支えながら空いた手でドアを叩こうとした。

指先がドアに触れた瞬間、彼はふと動きを止めた。

こんな深夜に、男と女が二人きり。

しかも梨沙は泥酔して意識がない。

もし彼女の祖母に見られたら、必ず事情を根掘り葉掘り聞かれるだろう。

礼都はもともと人にあれこれ説明するのが好きではない。

説明しても誤解なく伝わるとは限らない。

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