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第578話

Author: 鈴木真知子
彩葉の瞳が、一瞬だけ鋭く収縮した。咄嗟に視線を上げると、樹と目が合う。

動画の中の個室は、どっと湧き上がった下品な笑い声に揺れていた。

「はははっ!何言ってんだよ!林浩一郎の女を抱いたって?酔って夢でも見てんじゃねえのか!」

「本当だって言ってんだろ!」

人志は勢いよくタバコの煙を吐き出し、すっかり酔いに任せて、まるで武勇伝でも語るかのように自らの過去をひけらかし始めた。

「林浩一郎の嫁とは高校の同級生でさ、同じ出雲町の出身なんだよ。高校のときに付き合ってたんだわ、一年以上な。そのあと俺は受験で北都に出た。あいつの家は貧乏で大学にも行けず、中退して出稼ぎに出たんだよ……ヒック!」

「え、それって林浩一郎の奥さんって、高卒の出稼ぎ労働者だったってことか?大学で芸術を学んだとか言ってなかったか?」と、誰かが横やりを入れた。

人志は鼻で笑い、下品な罵倒を吐き捨てた。「芸術なんかくそ食らえだ!あいつに何か特技があるとしたら、男をたらし込む術くらいのもんだよ!」

再び、下卑た笑い声が沸き起こる。

それから人志は、高校時代の多恵子がどうやって自分を誘惑してきたか、付き合ってから放
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