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第32話

Author: 小円満
週末、私はカウンセリングの予約があった。

最近の不眠の頻度と、うつ病のチェックシートの結果を見て、先生が眉をひそめた。「昭乃さん、処方したお薬、ちゃんと飲んでますか?」

「ええ、ちゃんと飲んでます……どうかしました?」

不安になって、思わず聞いてしまった。「もしかして、私の病気…悪化してますか?隠さなくても大丈夫です。自分でもわかるんです。毎日、何をしてなくても、心も体もすごく疲れてしまうんです」

医師は少し深刻な顔をした。「言いにくいことですが……あなたは前に、ご主人や結婚生活にはもう執着がないと話していましたね。でも今の反応を見ていると、実際はすごく気にしているように見えます」

言い返そうとした瞬間、先生が言葉を続けた。「急いで否定しなくてもいいですよ。二十年の付き合い、四年の結婚生活です。人間である以上、どこかに未練やためらいが残って当たり前です」

言葉が出なかった。

結局、予定通り治療は進んだ。

時生との過去を口にするたび、かつてはあんなに幸せだった日々が、鋭い刃に変わって私の心身を切り裂いていくようだった。

二時間のカウンセリングを終えて診察室を出る。

エレベーターは三台並んでいて、私はそのうちのひとつに乗り込んだ。すると、隣のエレベーターが開いた。

そこから、時生と秘書が出てきた。

彼はいつも通り視線を逸らさず、私に気づく様子もなかった。

胸がざわつき、私はとっさにエレベーターを降り、少し距離を置いて後を追った。

時生は別の診察室に入っていった。この病院では、医師のランクによって診察料が違う。

時生が向かったのは一番高額なところだった。

私はますます首をかしげた。――どうして、時生が精神科に?

まさか、この結婚で私を苦しめてきた彼自身が、心を病んでいる?

そう思ったが、すぐに打ち消した。今、彼は優子とあれほど仲睦まじいのに。そんな人が心を病むなんてありえない。

じゃあ心菜のため?そもそもこの子は幼稚園に通い出してからずっとお漏らしばかりで、ほかの子どもとも仲良くできない。

……けれど今日は土曜日。心菜は家にいるはずだ。本当に娘の受診なら、連れて来ているはず。

そんなことを考えていたら、急に声をかけられた。

「こちらの方、どなたをお探しですか?」

看護師の声に驚き、私は慌てて口を開いた。「実は、さっき入っていっ
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