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第1066話

Author: 木真知子
井上の大きな声は、電話越しでも部屋中に響き渡った。

だから桜子も、ばっちり聞こえてしまった。

「黒滝先生、ごめんなさい。ちょっと用事ができたので、また連絡しますね!」

そう言って慌てて電話を切ると、桜子は目を輝かせて隼人を見上げた。

隼人は薄く唇を上げ、彼女の頭を優しく撫でた。

「......急に心変わりか?」

「昨日の夜、高原が同じ房の囚人に襲われたらしいです。

誰かが歯ブラシの柄を削って、それを彼の首に突き刺したんです!

でもあの男、しぶといです。何とか抵抗して、巡回の看守が来るまで持ちこたえたそうです」

隼人の目が細くなる。

「今の状態は?」

「命は助かったけど、保釈されて病院ですよ。

目を覚ますなり『社長と若奥様に会わせろ』って騒いでいるそうです」

井上の声が電話越しに弾んだ。

「へっ、ビビってるんですよ!

入ってまだ数日で殺されかけたんです。

これから二十年、どう生き延びるつもりですかね。

そりゃあ命乞いに来るしかないですよね!」

桜子は目を細めて笑い、ぴょんと背伸びして隼人の首に腕を回した。

頬に甘いキスを落とす。

隼人の瞳が深くなり
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