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第1077話

Penulis: 木真知子
桜子の伏せたまつげが、頬に二つの影を落とす。

昔なら、隆一が本当に父を心配しているのだと信じただろう。

けれど今は違う。彼の胸の底に潜む黒さしか見えない。

姉と義兄にまで手をかける男だ。

父のことなど、彼にとって何の価値がある。

隆一は、もともと残酷だ。

ただ、彼の中の欲望が満ちるまで――彼女を手に入れるまでは、壊すのを惜しんでいただけ。

「父は元気よ。家でぴんぴんしてる」

桜子は氷のような笑みを口元に描いた。

「口が悪いし、胃腸も弱いからすぐお腹を壊すの。

たぶん、食べちゃいけないものをつまんで、お腹をこわしただけ。

――用は済んだ?もう帰って」

「そう......でも高城叔父さん、あの時は顔色が真っ青で、ひどい頭痛もあったみたいだった。

かなり悪く見えた。脳梗塞とか――」

「隆一様」

桜子は低く遮った。

瞳に鋭い光が走る。

「うちの父を呪ってるの?

それとも――高城家の内情を探ってる?」

「ち、違う!誤解だ、桜子!」

隆一は慌てて手を伸ばし、細い腕をつかんだ。

「僕はただ、高城叔父さんが心配で......

それに、君に会いたかった」

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