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第543話

Author: 木真知子
「栩兄!ちょっと、力抜いてよ!桜子、息ができないじゃない!」

彬は栩が桜子を強く抱きしめているのを見て、慌ててその腕を引き剥がした。

「おお、これは新しい発見だな。殉情なら聞いたことがあるけど、兄妹で命を懸けてる話は初めてだ。面白いな」

椿は、栩をからかいながら、肉を口に運んだ。

「ふふっ!」

綾子は、小さな口を手で押さえ、思わず笑いを漏らしていた。

普段は兄たちの前で大人しい彼女も、この言葉にはつい笑いをこぼしそうになった。

樹は、綾子がむせないように背中を優しく叩きながら、栩を軽くからかった。「栩、桜子は無事だったんだから、もう『死ぬかもしれない』とか『命が危ない』なんて、そんな不吉なこと言わないで縁起のいい話をしてよ」

「心配しすぎてつい」

栩は、彬に妹を取られたことが納得いかず、手を強く握って桜子の手を離さなかった。

最初は和やかな兄妹の集まりだったが、なんだか後宮の争いのような感じになってしまった。

「それにしても桜子、必死に命を救ったんだから感謝の品くらいもらったんじゃないか?」

椿は興味津々で聞いた。

「その時、私は彼女を救った後そのまま倒れたか
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