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第 544 話

مؤلف: 柏璇
俊明は額を押さえた。「……」

朝奈は口元を引きつらせる。「……」

すると博文が続けた。「いい点を挙げるなら、狂人は今、幸せなんだ。重荷もないし、プレッシャーもない。思うままに生きてる」

静まり返ったリビングで、誰も言葉を発さなかった。

しばらくしてから、博文がぽつりと付け加える。「もし完全に壊れたら……君はもう、弟のことを分からなくなる可能性が高い」

その一言が、鋭く朝奈の胸を刺した。

同じように、俊明の胸にも突き刺さる。姉弟ふたり、十数年も寄り添って生きてきた。もしある日、姉が自分を認識しなくなったら、彼は、生きていく意味も目的も失ってしまう。

俊明は心の中で、その考えを完全に打ち消した。

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