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第9話

Auteur: まめだれ
美羽は、律人が結局は自分を殺せないのだと思った。

慌てて床を這うように近づき、律人の脚へすがりつこうとする。

「久世先生……ごめんなさい……私、先生のことが好きすぎて、詩織さんに嫉妬してしまったんです……本当に反省しています……お願いです、許してください……」

「触るな!」

律人は美羽を強く蹴り飛ばした。

美羽は床の上を大きく転がっていく。

律人は、倒れた美羽を冷ややかに見下ろした。

「殺す?そんなことをすれば、お前を楽にするだけだ」

律人はコートのポケットから真っ白なハンカチを取り出し、指を一本ずつ丁寧に拭った。

そこには、かつての近寄りがたい冷たさが戻っていた。

「そこまで法律の境界を試すのが好きで、精神を病んだふりをするのも好きなら、俺が最も得意な方法で望みをかなえてやる」

指を拭き終えたハンカチを、美羽の顔へ無造作に投げつけた。

声には、何の感情もこもっていなかった。

「航平」

「ああ」

扉の外で待機していた航平が、黒いスーツ姿のボディガード数名と、スーツを着た弁護士2人を連れて入ってきた。

律人は床に倒れた美羽を、無表情のまま見下ろした。

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