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第9話

Author: ひだまり菜園
声が枯れるほど泣きじゃくり、息が詰まるほど大声で泣いた。

初めて翔太に会った日のことを思い出す。

あの子は本当に小さくて、三年かけて少しずつ背が伸び、少しずつ明るくなっていった。

礼儀正しくて、誰に対しても誠実で、わざわざ害そうとする人なんていないはずの子だった。

私がいなければ、そもそもこんなことにはならなかった。

全部、私のせいだ。

胸が張り裂けそうなほど泣いていると、ふいに小さな手が肩をぽんと叩いた。

振り向くと、肩をすぼめた翔太がいた。「ママ、ごめん……」

その隣で、恒一が淡くうなずいた。「……迷惑をかけたな」

私は恒一を無視して、翔太のもとへ駆け寄り、体に触れて確かめた。

「どこか痛い?嫌なこと、されてない?」

翔太は「うわっ」と声を上げて泣き出した。

「恒一おじさんとアイスを食べちゃった……ごめん、ママ。

アイスなんて食べちゃいけなかったのに……」

張りつめていた心が、ようやくほどけた。

言葉を発する前に、背後から悠真の声が、はっきりとした憎しみを帯びて響いた。

「なんで助けるんだよ?なんでぼくの計画を壊すの?

隠しておけばよかっただけじゃないか!

パパだって、ママに戻ってきてほしかったくせに――」

恒一は淡々と見下ろし、眉をひそめた。

「悠真、恥ずかしくないのか。

車に乗れ。帰るぞ。ここはお前のいる場所じゃない」

私はもう二人の言い争いを見る気もなく、ただ翔太を腕いっぱいに抱きしめた。

失いかけて、取り戻した――私の宝物だ。

悠真はボディガードに強く車へ押し込まれたが、最後の瞬間、振りほどいて私の胸に飛び込んできた。

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死にしがみついて言った。

「ママ……ぼくのこと、もういらないの?

パパのことも……いらないの?」

こうして、ちゃんと悠真の顔を見るのは、久しぶりだった。

私は目尻の涙を拭い、はっきりと告げた。

「悠真、ここはあなたのいる場所じゃない。高坂家に戻りなさい」

悠真はうなだれ、何度も振り返りながら車に乗り込んだ。

車窓越しに外を見ていたけれど、その表情までは分からない。

恒一は私の隣で最後の一本を吸い終え、淡々と言った。

「悠真は緑ヶ丘へ連れて帰る。二度と、こんなことはさせない。約束する」

私は小さくうなずいて、それを挨拶代わりにした。

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