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第54話

مؤلف: 幸月
遠ざかっていく車のエンジン音。

残された三人は、眉一つ動かさなかった。あたかも、彼女たちが消え去ったことなど、季節の移ろいほどにも価値のない出来事であるかのように。

バックミラーから彼らの影が消えた頃、祐一郎は静かに車を停めた。

隣で大粒の涙を零し続ける杏奈を振り返り、呆れたように、けれど慈しむように声をかける。

「情けないな。何を泣いているんだ。男一人、それだけのことだろう?お前さえ望むなら、掃いて捨てるほどいい男を連れてきてやる。ガタイも良くて腕も立つ、選び放題だぞ」

「……お兄ちゃん!何を言ってるのよ」杏奈は涙を拭い、恨めしそうに兄を睨んだ。

泣きたくて泣いているのではない。けれど、感情というものは、時にどうしようもなく溢れ出す。長年の牢獄のような日々が、彼女の気力を削り取っていた。溢れ出る涙を止める術を、彼女は失っていた。

けれど、泣くのも悪くはない。胸の奥に溜まった澱をすべて吐き出せば、少しは息がしやすくなる。

泣き腫らしたあとの杏奈は、先ほどよりは幾分か心が軽くなっていた。

「わかった、悪かったよ」祐一郎は杏奈の頬を指先で拭った。眼鏡の奥の目は笑っているが
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