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第32話

Author: 春さがそう
その一言で、隼人の意識は紗季へと向けられた。

自分の行動が確かに紗季を不快にさせていることに気づき、隼人はわずかに自責の念に駆られた。

隼人は視線を落とし、低く呟いた。

「紗季……美琴は俺の友人であり、恩人なんだ。だから――」

「美琴!」

隼人が言い終える前に、背後から翔太の叫び声が響いた。

振り返ると、美琴はすでに目を閉じ、その場に倒れ込んでいた。

翔太は慌てたふりをし、何度も抱き起こそうとしてもうまくいかなかった。

「発作だ!心臓病の発作が出たんだ!隼人、早く助けてくれ!」

隼人は慌てて駆け寄り、美琴を抱き上げる。そのまま出ていく前に、達也を鋭く睨みつけた。

「もし美琴に何かあれば……お前の命で償わせてやる」

そう吐き捨て、隼人は彼女を抱えたまま会場を飛び出した。

翔太も立ち上がり、後を追おうとした。その際、紗季の横を通りすぎながら、軽蔑を込めて冷笑を浮かべた。

「もう分かっただろ?隼人が本当に大事にしているのは誰なのか。分別があるなら、とっとと身を引くんだな」

紗季の瞳は静かで、表情に一片の感情も浮かばない。

宴会場は依然として賑わい、人々のざわめき
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