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Ep33:バレンタインデーの鼓動(近づく距離)

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-07-12 11:00:25

2月に入り、星見小学校の3学期は穏やかな日々を迎えていた。

1月の合唱祭と公民館刺傷事件の解決から約3週間が経ち、星見キッズも平穏な日常を取り戻していた。

公民館事件の犯人、黒羽根遥斗は逮捕され、「星見計画」の真相が星見小学校の地下室に隠されていることが判明したが、警察の調査が続く中、星見キッズは高木刑事から「しばらく動かないように」と指示を受けていた。

学校生活に戻った彼らは、学級活動や授業に励みつつ、チームの絆を少しずつ修復しようと努力していた。しかし、シュウとタクミの距離は日に日に近づいていた。合唱祭での協力や事件解決を通じて、シュウはタクミへの感情を抑えきれず、タクミもシュウに心を開き、友情以上の信頼を寄せていた。カナエ、ケンタ、リナは二人の関係に複雑な思いを抱きつつも、チームとして再び団結するために距離を取る姿勢を緩めていた。

バレンタインデー当日、星見キッズの心に新たな波が広がっていた。

朝、5年1組の教室は、バレンタインデーの甘い雰囲気に包まれていた。女子生徒たちがチョコレートを手に男子に渡したり、友達同士で交換したりする姿があちこちで見られた。

シュウは教室の窓際でノートを手に、星見計画の記録を読み返していた。「地下室に証拠がある…。高木刑事から連絡がないけど、星見計画の真相、気になるな…」シュウが呟いていると、タクミがそっと近づき、「シュウ、おはよう! 今日、バレンタインデーだね!」と笑顔で声をかけた。

シュウはタクミの無垢な笑顔に心臓がドキリと鳴り、「お、おはよう、タクミ…。うん、そうだね…」と少し緊張しながら答えた。

タクミが小さな紙袋を手に、「シュウ、これ…僕、お母さんと一緒に作ったんだ。シュウに渡したくて…」と顔を赤らめながら差し出した。

袋の中には、手作りのハート形チョコレートが入っていた。

「タクミ…! ありがとう…。僕、嬉しい…」シュウはチョコを受け取り、タクミの手が触れた瞬間に温かさが伝わり、心がざわついた。

「タクミ…。君って、本当に…」シュウは言葉を詰まらせ、ショタコンとしての感
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