星見小学校の「星見計画」にまつわる遺物、ペンダントを手に入れた僕たち「星見キッズ」。ペンダントには「星見 1945」と刻まれ、裏に奇妙な暗号が刻まれていた。田中さんと黒いコートの男は逮捕されたけど、星見計画の全貌はまだ明らかになっていない。
放課後、僕たちは図書室に集まり、暗号解読に挑むことにした。 図書室は静かで、古い本の匂いが漂っていた。窓から差し込む夕陽が、埃をキラキラと照らしている。僕はペンダントを取り出し、暗号をノートに書き写した。 暗号は「 K3-M7-R2-T9」という謎の文字列。 「シュウ、この暗号、何だと思う?」カナエが首をかしげた。 「分からないけど、図書室の本に関係があるかもしれない。『K3』とか、図書の分類番号みたいだ。みんなで探してみよう」僕はメガネをクイッと直した。 「俺、本棚のK列から見てくる!」ケンタが走り出した。 「私はM列を調べるよ。スケッチしながら、怪しい本を見つける」リナがスケッチブックを持って立ち上がった。 「僕、図書室のデータベース使って、1945年関連の本を検索してみる」タクミが古いパソコンに向かった。 カナエと僕は、図書室の古い地図や学校史の本をめくった。 すると、カナエが声を上げた。「シュウ、これ見て! 『星見小学校の歴史』って本に、1945年の記述がある!」 本を開くと、戦時中に星見小学校が軍の物資保管所として使われていたと書いてあった。 さらに、「星見計画」の名前が…。 「星見計画は、軍の暗号通信網の一部だった。詳細は不明」とある。 「やっぱり、星見計画は軍と関係があったんだ。暗号は、その通信網の鍵かもしれない」僕はノートにメモした。 その時、ケンタが本を持って戻ってきた。「シュウ、K列の3番目の棚に、古い暗号の本があった! タイトルが『暗号解読入門』だよ」本を開くと、暗号の解読法が書かれていた。 「K3-M7-R2-T9」は、図書室の本の位置を示すコードだと判明。 K列3番目の本、M列7番目の本…という具合だ。僕たちは急いで指定された本を探した。R列2番目の棚で、リナが小さなメモを見つけた。 「シュウ、この本の間に、メモが挟まってる!」 メモには、「星見の鍵は、校長室の金庫に」と書かれていた。 金庫? 校長室にそんなものがあったなんて…。 「校長室に行くしかない。でも、放課後だし、校長先生はもういないよね?」タクミが不安そうに言った。 「うん、でも調べる価値はある。校長室の鍵は、職員室にあるはず。カナエ、職員室の様子を見てきてくれる?」 「任せて!」カナエが走り出した。数分後、カナエが職員室から鍵を持って戻ってきた。 「シュウ、職員室に誰もいなかったから、鍵借りてきた! 早く行こう!」 校長室に入ると、確かに金庫があった。古いダイヤル式の金庫だ。 暗号の数字を試してみると、「3-7-2-9」でカチッと音がして開いた。中には、古い手紙と小さな金属の筒が入っていた。 手紙にはこう書かれていた。「星見計画の最終段階。暗号通信網の鍵をこの筒に封印した。敵に渡る前に隠せ。1945年8月」 金属の筒を開けると、細長い紙に暗号表が書かれていた。 「これ…星見計画の暗号通信網の鍵だ! 軍が使ってた暗号を解読するための表だよ」タクミが興奮した。 「すごい発見だね。でも、これをどうする? 警察に渡す?」リナがスケッチブックに暗号表を写しながら言った。 「うん、警察に渡すべきだ。でも、その前に、この暗号表を使って、星見計画の他の手がかりがないか調べてみよう」僕は提案した。 その時、校長室のドアがギィッと開いた。 振り返ると、図書室の司書、佐々木さんが立っていた。いつも優しい笑顔の佐々木さんだけど、今日は様子が違う。手にナイフを持っている。 「お前たち…星見計画のことを嗅ぎ回りすぎたようだね。田中が捕まったせいで、計画が遅れてしまった。その鍵、渡しなさい」 「佐々木さん…あなたも星見計画に関わってるの?」僕は驚きながらも冷静に尋ねた。 「私は…計画の最後の守護者だ。星見計画は、戦後、軍の財宝を隠すための暗号だった。田中はその財宝を掘り出そうとしていたが、失敗した。私はその財宝を守るために、ここにいる」佐々木さんの目が鋭く光った。 「財宝? でも、こんなことで人を傷つけるなんて…!」カナエが叫んだ。 「黙れ! その暗号表を渡せば、見逃してやる。さもなくば…」佐々木さんがナイフを振り上げた。 「逃げよう!」ケンタが叫び、僕たちは一斉に校長室から飛び出した。 佐々木さんが追いかけてくる。校舎の廊下を走りながら、僕たちは必死に逃げた。 「シュウ、図書室に戻ろう! 本棚の間に隠れられる!」リナが提案した。 図書室に駆け込み、本棚の間に身を隠した。佐々木さんの足音が近づいてくる。僕たちは息を殺して、彼女が通り過ぎるのを待った。 「シュウ、どうする? このままじゃ…」タクミが震えながら囁いた。 「佐々木さんを捕まえないと。暗号表は渡せない。みんな、力を合わせて…」僕が言いかけたその時、図書室の奥からガタンという音がした。 佐々木さんが本棚を倒そうとしている! 「見つけたぞ、ガキども!」佐々木さんが叫び、本棚が倒れてきた。 僕たちは間一髪で避けたけど、図書室は混乱状態に。その時、図書室のドアが勢いよく開いた。警察官たちが駆け込んできた。 「佐々木美奈子、両手を上げなさい!」警察は、田中さんの供述から佐々木さんが星見計画に関与している疑いがあると突き止め、捜査に来ていたのだ。 佐々木さんは抵抗したが、すぐに取り押さえられた。 後日、警察から連絡があった。星見計画の財宝は、桜の木のさらに奥深くに埋められている可能性があるが、発掘作業は専門家に任せることになった。暗号表は警察が保管し、星見計画の全貌解明に役立てるとのこと。 「シュウ、今回の事件、怖かったけど…やっぱり星見キッズは最強だね!」カナエが笑った。 「うん。でも、佐々木さんがあんな風になるなんて…。星見計画、まだ何か隠されてる気がする」僕はノートにそう書き込んだ。 図書室の一件は解決したけど、星見小学校にはまだ深い闇が潜んでいる。そんな予感がしていた。 (Ep6 完)~緊迫する夕暮れ~10月下旬の夕方、星見小学校の文化祭が終わろうとしていた。5年1組の教室で片付けを終えた星見キッズは、楽しい一日を振り返りながらホッと一息ついていた。しかし、シュウのカバンから見つかった「校内に爆弾を設置した。午後5時に爆発する。星見キッズ、探してみな。――名無しの挑戦者」と書かれた犯行文が、状況を一変させた。時計はすでに4時47分を指しており、残り時間はわずか13分しかなかった。校内放送で緊急事態が伝えられ、生徒と保護者たちはホールに集められた。警察の佐藤刑事が到着し、シュウたちに状況を確認した。「君たちが見つけた手紙だな。爆発まで時間が少ない。危険だが、協力してほしい。爆発物処理班を呼ぶが、校内を調べてくれ」「分かりました。星見キッズで手がかりを探します!」シュウが決意を込めて答えた。「班に分かれなさい。危険を感じたらすぐに戻るんだ」佐藤刑事が厳しく指示した。星見キッズは迅速に行動を開始した。シュウとカナエが1階を、ケンタとリナが2階を、タクミが技術室でカメラ映像を確認する役割に分かれた。時計は4時50分を過ぎ、緊迫感が高まっていた。夕陽が校舎の窓を赤く染め、静まり返った校内に緊張が漂った。 ~1階の捜索~シュウとカナエは1階の教室や廊下を急いで調べ始めた。文化祭の装飾が残る廊下で、靴音が響いた。シュウが懐中電灯で隅々を照らしながら言った。「爆弾は目立たない場所に隠されてるはず。カナエ、机の下や棚を見て」「うん、シュウ! 気をつけて…」カナエが震えながら机の下を覗いた。3年2組の教室に入ると、窓際に置かれた花瓶の下に小
~文化祭の賑わい~ 10月下旬、星見小学校の文化祭当日がやってきた。 校庭には色とりどりのテントが立ち並び、保護者や地域の人々で賑わっていた。校舎の窓には生徒たちが作った装飾が飾られ、秋の陽光が校内を明るく照らしていた。 5年1組の教室では、星見キッズが準備した「射的ゲーム&紅葉アート展示」が大盛況だった。教室の入り口には、ケンタが作った木の板にゴールが描かれた射的ゲームのコーナーが設けられ、子供たちが順番待ちをしていた。 タクミが効果音を流し、「ゴール!」という音が響くたびに歓声が上がった。 「シュウ、見て! めっちゃ盛り上がってる!」ケンタがサッカーボールを手に笑った。 「うん、ケンタ、よく頑張ったね。みんな楽しそう」シュウがメガネをクイッと直し、満足そうに頷いた。 教室の奥には、リナが描いた紅葉の絵と林間学校の写真が展示されていた。保護者たちが絵を眺めながら、「素敵な絵ね」「林間学校の思い出が伝わってくる」と感想を述べていた。 リナがスケッチブックを手に微笑んだ。 「田村くんの笑顔、絵に込めたんだ。見てくれて嬉しい」 カナエはチケットを配りながら、クラスメイトと協力して運営していた。「シュウ、射的ゲームの景品、お菓子が人気だよ! もっと補充しなきゃ!」 「了解、カナエ。倉庫から取ってくるよ」シュウが倉庫へ向かった。 タクミはタブレットで照明を調整し、展示コーナーを美しく照らしていた。「シュウ、照明の色変えてみる? 紅葉がもっと映えるよ」 「いいね、タクミ。暖かい色でお願い」シュウが戻ってきて笑顔で答えた。 5年1組の出し物は
~林間学校からの帰還~10月中旬、林間学校から帰った星見小学校の5年生たちは、重い心を抱えながらも日常に戻っていた。林間学校の3日目に起きた田村悠斗(ゆうと)くんの殺人事件は、星見キッズにとって忘れられない出来事だった。犯人の松本翔は逮捕されたものの、動機はまだ明かされておらず、シュウたちの心にはモヤモヤが残っていた。学校に戻った初日、教室の窓から見える桜の木は秋の色に染まり、校庭には落ち葉が舞っていた。シュウは席でノートを開き、林間学校の事件を振り返っていた。「松本くんの動機…。まだ分からない。田村くんのためにも、真相を突き止めたい」カナエが隣に座り、優しく声をかけた。「シュウ、考えすぎだよ。警察が動機を調べてくれるって。文化祭の準備が始まるから、少し気持ちを切り替えよう?」「うん、そうだね。文化祭…。田村くんの分も楽しみたい」シュウがメガネをクイッと直し、ノートを閉じた。担任の田中先生が教室に入り、黒板に「文化祭準備」と大きく書いた。「みんな、林間学校は大変だったけど、文化祭で楽しい思い出を作ろうね。5年1組の出し物、今日決めよう!」文化祭の出し物決め教室が一気に賑やかになった。ケンタが手を挙げて元気よく言った。「俺、サッカーの射的ゲームやりたい! ゴールに見立てた的を狙うやつ!」「いいね、ケンタ! でも、みんなが楽しめるように、いろんなアイデアを出してみよう」カナエが笑顔で提案した。リナがスケッチブックを持ち上げて言った。「紅葉の絵を展示するの、どうかな? 林間学校の思い出を絵にして、みんなに見せたい」「林間学校か…。いいアイデアだね、リナ。癒される展示になりそう」シュウが頷いた。タクミがタ
~3日目の朝と決意~ 10月12日、林間学校3日目の朝、森の自然の家の空気は冷たく澄んでいた。 2日目の朝、大浴場でクラスメイトの田村悠斗(ゆうと)くんが全裸の状態で遺体として発見された事件は、星見キッズに深い衝撃を与えていた。 昨夜の調査で、麻酔と消毒液を使った巧妙なトリックが浮上し、医務室と換気口が次の手がかりとされた。 警察の協力のもと、シュウたちはこの日、真相を解き明かす決意を固めていた。 宿舎の部屋で朝日が差し込む中、シュウはノートを手に仲間たちと作戦を立てた。 「昨日、麻酔と消毒液がトリックの鍵だと分かった。今日は医務室を詳しく調べ、換気口の外を確認する。田村くんのためにも、犯人を絶対に見つけるよ」 「シュウ、怖いけど…一緒に頑張ろうね」 カナエが手を握り、緊張した笑顔を見せた。 「うん、星見キッズならできる。真相に近づこう」 リナがスケッチブックを手に頷いた。 「俺、力になる! 田村くんの仇を取るんだ」 ケンタが拳を握り、気合を入れた。 「データでサポートする。トリックを解くよ」 タクミがタブレットを手に準備した。 朝食後、警察の佐藤刑事から許可が出た。 シュウたちは田中先生と一緒に医務室に向かった。医務室は宿舎の端にあり、白いカーテンと消毒液の匂いが漂っていた。 棚には包帯や薬が並び、冷蔵庫には注射器と薬剤が保管されていた。医務室の証拠シュウが冷蔵庫を開けると、麻酔薬の瓶が一つ欠けているのに気づいた。 「この麻酔薬、
~2日目の朝と事件の発生~ 林間学校2日目の朝、森の自然の家の空気は清々しく、紅葉に染まった森から鳥のさえずりが聞こえてきた。 星見小学校の5年生は、前夜のキャンプファイヤーの興奮が残る中、2日目の予定は自然体験学習とクラフト作りを楽しみにしていた。 「星見キッズ」も、宿舎の食堂で朝食のパンとスープを食べながら談笑していた。 「シュウ、今日のクラフト作り、楽しそうじゃない? 木工細工とか作ってみたい!」カナエがパンにバターを塗りながら笑顔で言った。 「うん、僕も楽しみだよ。自然の中で何か作るの、初めてかもしれない」 シュウはメガネをクイッと直し、ノートをカバンにしまった。 「俺、弓矢みたいなの作って、サッカーよりカッコいい遊びをしたいな」 ケンタがスープを飲んで元気よく言った。 「紅葉の葉で絵を描くの、いいアイデアかも。スケッチに活かせそう」 リナがスケッチブックを手に持って微笑んだ。 「Wi-Fiないけど、写真で記録しておこう。自然の家のデータ、面白いかもしれない」 タクミがタブレットをいじりながら呟いた。 その時、食堂のドアが勢いよく開き、クラスメイトの山口くんが青ざめた顔で飛び込んできた。 「大変だ! 大浴場で…! 田村が死んでる!」 部屋に一瞬静寂が広がり、シュウたちは立ち上がった。 「田村くんが…? 行くよ、みんな!」 シュウが先頭に立ち、大浴場へ急いだ。 カナエが後ろで震えながら言
~バスの中でのたわいのない会話~10月上旬、秋の気配が深まる朝、星見小学校の5年生は林間学校に向けてバスに乗り込んだ。目的地は山間の「森の自然の家」で、紅葉に染まる森と清流に囲まれた場所だった。「星見キッズ」は、窓辺に座りながら興奮気味に話をしていた。バスのエンジン音が響き、車窓には田園風景が流れていく。「ねえ、シュウ! 紅葉がきれいそうで楽しみだよ。星見計画のことは忘れて、思いっきり遊ぼうね!」カナエが窓の外を指さして元気よく言った。「うん、そうだね。自然の中でリフレッシュするのもいいかも。たまには頭を休めたいし」シュウはメガネをクイッと直し、ノートをカバンにしまった。「俺、キャンプファイヤーが楽しみだ! 森の中でサッカーしたら、めっちゃ気持ちいいだろうな」ケンタがサッカーボールを膝に置いて笑った。「スケッチするの、楽しみだな。紅葉の色をちゃんと描けるか、ちょっと緊張するけど」リナがスケッチブックを手に持って微笑んだ。「自然の家のWi-Fi、使えるかな? 夜にゲームでもしてみたいんだけど」タクミがタブレットを手にいじりながら呟いた。その時、隣の席から声がした。「シュウたち、林間学校って何するんだろうね?」振り返ると、クラスメイトの田村悠斗(ゆうと)くんがニコニコしながら話しかけてきた。悠斗はサッカー部で明るい性格の人気者で、ショートカットの黒髪が特徴だった。「悠斗! お前も楽しみだろ? ハイキングとかキャンプファイヤーがあるみたいだよ」ケンタがボールを軽く蹴って笑った。「うん、楽しみだよ! 特に川遊びがいいな。魚でも釣れたら最高だ」悠斗が目を輝かせて言った。「魚釣りか…。僕、釣り竿持ってくればよかったかも」シュウが少し後悔したように呟いた。「大丈夫だよ、シュウ。自然の家に道具があるって