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第172話・最終戦争の始まり

作者: 新矢識仁
last update 最終更新日: 2025-12-02 11:29:58

 元人間のコア生物たちに見送られて、僕はエレベーターに乗り込む。

 ハルマゲドン、或いはラグナロク。人類はコアに滅ぼされようとしている。

 最後の鍵は弱くて情けないこの僕。

 羽根さんの言うことが確かなら、ナナ……羽根さんがこの事態の為に創り出したコア色のないコア生物と、僕の中に、鍵があるという。

 人類を救うか、見捨てるの選択権は僕にあるという。

 そう言えば。

 コアに意思があるなら、当然僕のこの透明コアにも意思があるはずだ。

 僕のコアはどう思っているのか。

「ナナ」

「はい?」

「君は僕のコアに同化しているんだよね。その時、コア本来の意識は何を思っていたの?」

「その……」

 ナナは一瞬ためらう素振りを見せたけど、事がここまで進んでは黙っていても仕方がないと思ったのだろう。口を開いた。

「仁さんのコアには、緋色のようなはっきりした自己主張はありませんでした」

「自己主張が、ない?」

「はい。大抵のコアが、この人間と入れ替わりたいという願いを持っています。だけど、仁さんのコアは、そんなことを考えていませんでした。敢えて言うなら……」

 ナナは少し考えて、答える。

「染まるか、染めるか」

「染まるか、染める?」

 染まる、は何となく分かる。他の人のコアに染まって同じ技を繰り出すのだから、何か他の色に染まりたいと思っているんだろう。

 だけど、染める、って。

 透明だから染めようがないのに、僕のコアは何かを染めたいと思っているんだろうか?

「このコアは、単に激レアな色ってだけじゃないのかい?」

「はい、創造主クリエイターの研究では、旧人類と新人類の交代が本格化する時期に、透明なコアとその持ち主が現れる、と予測されていました。ただ……私には創造主クリエイターのお考えなんて分からないので、どういう意味かは分かりませんけど……」

「多分、その意味と使い方が、羽根さんがコアに刻み込んだ記憶の奥底にあるはずだ」

 僕はナナに聞いた。

「それを、呼び出せない?」

「ごめんなさい……わたしは一介のコア生物に過ぎないんです……。仁さんは脳みそを持っていて体中に指示を出しているけど、意識してやってはいないでしょう? 私も……コアの一部だけど、一心同体と言うわけじゃないから、コアの奥深くに創造主クリエイターが仕込んだ鍵を見つけようと思ったら、それこそ自分の意識が溶
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