チートスキル「ダンジョンクリエイト」で配信無双!ガトリング少女と共にこのハードモード人生を抜け出す!

チートスキル「ダンジョンクリエイト」で配信無双!ガトリング少女と共にこのハードモード人生を抜け出す!

last updateآخر تحديث : 2025-12-29
بواسطة:  結城らいمستمر
لغة: Japanese
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突如として世界各地にダンジョンが現れた。次々とダンジョンに挑む者が現れる中「ダンジョン配信」ブームが巻き起こる。 そんな中で病気の妹を養う少年・木南カンナは一攫千金を狙うため、自らもまたダンジョン配信へと挑む。 カンナはスキル持ち。その能力とは「ダンジョンクリエイト」。 自在にダンジョンを構造そのものから作り変えるチートスキル持ちの彼は、しかし、その能力ゆえにダンジョンの創造主と誤解されるため、思うように配信活動が出来ずにいた。 ある日、カンナは人気配信者・御刀アナスタシアを窮地から救うが それがきっかけでアナスタシアから大注目されてしまう。 底辺配信者だったカンナは、この時を境に、劇的に変化していく。

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الفصل الأول

第1話 ダンジョンを改造できる、それが俺の能力

 激しい銃声が渓谷にこだまする。

 ガトリングガンが火を噴き、放たれた大量の銃弾が、押し寄せるモンスター達を次々と粉砕していく。

(おー、すごいすごい。ありゃ、相当強いな)

 岩の陰から様子を見つつ、俺は彼女を助けようかどうしようか、迷っていた。

 ぶっちゃけ、あれだけ戦えるなら、救援とか必要なくね?

 襲いかかっているモンスター群は、低レベル帯の「泥田坊」。体が泥で出来ているから、非常に脆い。

 ガトリングガンを自在に使いこなしている女の子は、あれだけの重火器を軽々と扱っている時点で、並大抵のダンジョンライバーではない。アニメタッチのセクシーなレオタードアーマーを着用しているが、たぶん、パワードスーツの類だろう。

 女の子は、透き通るように白い肌と、長い金髪が印象的だ。あの顔には見覚えがある。名前はど忘れしたけど、たしか、かなりの人気ライバーだ。

 彼女の背後には、ボールのようなものが三個ほど浮かんでいる。おそらく、配信用の機材だ。あんな高性能な物を、俺と同い年くらいの女の子が、普通は持てない。べらぼうに高いからだ。大企業のバックアップでもないと、無理だ。

(ま、自分でなんとかできるっしょ)

 とりあえず、俺は俺で、この「等々力渓谷ダンジョン」をもうちょっと探索したい。

 それに……あまり、他のライバーと関わり合いになりたくない。

《キリク:え、助けないの?》

 ふと、スマホの画面を見ると、そんなコメントが流れてきた。俺の配信を見てくれている、唯一の熱心な視聴者。

 面倒くさいなあ、と思いつつ、俺はスマホに向かって語りかける。

「必要ないよ。あの子、俺より遙かに強いから」

《キリク:ダメだなあ》

《キリク:そんなんだからファンが増えないんだよ》

 随分な言われようだ。でも、視聴者キリク氏の言うことは正しい。俺のDライブチャンネルの視聴者数は、いまだに5人。その内4人は、クラスメイト。純粋な視聴者はこのキリク氏のみである。

(あんまり関与したくないんだけどな)

 過去、俺はとあるダンジョン探索チームに所属していた。ダンジョン配信をしていない集団だったので、誰一人知らないのだけど、そこでひと悶着あった。もうあのような目には遭いたくない。

 俺の持つスキルは、少々、いや、かなり厄介で誤解を生みやすいものなのである。

 できれば使いたくない。けれども、使わなければ、ダンジョン内で活躍することも出来ない。すごく難しい。

《キリク:なんか、様子がおかしくない?》

 唐突に、スマホの画面を走る、不穏なコメント。

 俺は神経を研ぎ澄ませて、周囲を警戒する。渓谷の上空をカラスの大群がギャアギャア喚きながら飛び回っている。キリク氏は、俺のスマホカメラを通して、あのカラスの群れを見たのに違いない。

 突然、大地が揺れた。

「な、なんだ⁉」

《キリク:やばい! きっと、世田谷系のダンジョンに、たまに出没するダイダラボッチだ!》

「ダイダラボッチ⁉」

《キリク:巨人だよ! ほら、そこに!》

 俺は、スマホのカメラが向いている方向へと、顔を向けた。

 天をも貫かんばかりの超巨大な、漆黒の影の如き巨人が、ゴゴゴゴと重々しい音を鳴らしながら、渓谷の中を進んでくる。

 幸い、俺が隠れている岩陰は、ダイダラボッチの移動ルートではない。

 しかし、ガトリングガンの女の子は、もろに進撃ルート上で戦っている。

「あああ、もう!」

 俺は頭を掻きむしり、しばし、どうすべきか悩んだ。

 彼女を見捨てる、という選択肢もあった。

 でも、そんな選択肢は選びたくなかった。

「わかったよ! 行くよ! 行けばいいんだろ!」

《キリク:さすがカンナ氏! マイヒーロー!》

 キリク氏のコメントをチラッと見てから、俺はスマホをポケットにしまった。きっと、今ごろ、キリク氏は文句のコメントを乱打していることだろう。だけど、ここから先は見せられない。

 自分のスキルは、人に知られてはいけないものだ。

 岩陰から飛び出した俺は、ガトリングガンの女の子が戦っているエリアへと入っていく。そこから、まっすぐ彼女のそばへ――行かない。

 渓谷の岩壁に近寄ると、ダイダラボッチの現在位置を確認しながら、岩肌へと手を重ねる。

 ガトリングガンの彼女は、ダイダラボッチの接近に気が付いているけど、迫り来る泥田坊軍団の相手に追われていて、迎撃態勢を整えることが出来ない。

 遠目に見ていても、彼女の表情が引きつるのが見える。

 ダイダラボッチが拳を振り上げた。まだ距離はあるものの、そのリーチからして、余裕で彼女を叩き潰せることだろう。

(落ち着け、俺! 一発勝負だ! しっかり狙いを定めろ!)

 イメージを働かせる。

 岩壁が変形するイメージを。

(伸びろ!)

 心の中で叫んだ瞬間――

 岩壁の一部分がグンッ! と伸び、ダイダラボッチの脳天目がけて、突っ込んでいく。

 一瞬にして超長距離を伸びていった岩柱が、巨人の頭部にズガンッと叩きつけられた。ダイダラボッチは、よろめきつつ、大きな丸い目をギョロリと俺のほうに向けてきた。

 ターゲットが、ガトリングガンの女の子から、俺へと移ったようだ。

 よっしゃああ! これであの子は助かる! ははは、見ろ、あの女の子、何が起きたのかって感じでキョトンとしてるぜ! 痛快、痛快!

 でも、ちょっと待て! 俺が今度はピンチじゃんかよ! 早く逃げないと!

「キリク氏! 今回はもう、ダンジョンを脱出するよ!」

 ポケットからスマホを取り出すと、案の定、配信チャット欄にはキリク氏の文句のコメントがズラッと並んでいる。

 俺の言葉を聞いて、さらにキリク氏は不満のコメントを書き連ねた。

《キリク:またか! また、肝心なところを見せてくれない!》

《キリク:何がどうして、ダイダラボッチはタゲチェンしたんだ!》

《キリク:何があったんだ!》

 すまん、キリク氏! それだけは言えない!

 なぜなら、俺の持つスキルは、その名も「ダンジョンクリエイト」。

 ダンジョンを構造そのものから自在に作り変えてしまう、驚異的なチート能力。

 そして、そんな芸当が出来るのは――この世界にダンジョンを作り出したと言われている「ダンジョンマスター」、すなわち人類の敵ぐらいだ。

 だから、俺は誰にも見せられない。自分の能力を。見せたら誤解される。きっとそうなる。

 ゆえに今日も俺はよくわからない配信をネット上に流す。アーカイブとして記録に残っても、まったく意味の無い動画。本当は、こんなことしている場合じゃないのに。人気Dライバーになって、お金を稼がないといけないのに。

 およそ、人気を取ることとは程遠い動画しか、今回も取ることは出来なかった。

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第1話 ダンジョンを改造できる、それが俺の能力
 激しい銃声が渓谷にこだまする。 ガトリングガンが火を噴き、放たれた大量の銃弾が、押し寄せるモンスター達を次々と粉砕していく。(おー、すごいすごい。ありゃ、相当強いな) 岩の陰から様子を見つつ、俺は彼女を助けようかどうしようか、迷っていた。 ぶっちゃけ、あれだけ戦えるなら、救援とか必要なくね? 襲いかかっているモンスター群は、低レベル帯の「泥田坊」。体が泥で出来ているから、非常に脆い。 ガトリングガンを自在に使いこなしている女の子は、あれだけの重火器を軽々と扱っている時点で、並大抵のダンジョンライバーではない。アニメタッチのセクシーなレオタードアーマーを着用しているが、たぶん、パワードスーツの類だろう。 女の子は、透き通るように白い肌と、長い金髪が印象的だ。あの顔には見覚えがある。名前はど忘れしたけど、たしか、かなりの人気ライバーだ。 彼女の背後には、ボールのようなものが三個ほど浮かんでいる。おそらく、配信用の機材だ。あんな高性能な物を、俺と同い年くらいの女の子が、普通は持てない。べらぼうに高いからだ。大企業のバックアップでもないと、無理だ。(ま、自分でなんとかできるっしょ) とりあえず、俺は俺で、この「等々力渓谷ダンジョン」をもうちょっと探索したい。 それに……あまり、他のライバーと関わり合いになりたくない。《キリク:え、助けないの?》 ふと、スマホの画面を見ると、そんなコメントが流れてきた。俺の配信を見てくれている、唯一の熱心な視聴者。 面倒くさいなあ、と思いつつ、俺はスマホに向かって語りかける。「必要ないよ。あの子、俺より遙かに強いから」《キリク:ダメだなあ》《キリク:そんなんだからファンが増えないんだよ》 随分な言われようだ。でも、視聴者キリク氏の言うことは正しい。俺のDライブチャンネルの視聴者数は、いまだに5人。その内4人は、クラスメイト。純粋な視聴者はこのキリク氏のみである。(あんまり関与したくないんだけどな) 過去、俺はとあるダンジョン探索チームに所属していた。ダンジョン配信をしていない集団だったので、誰一人知らないのだけど、そこでひと悶着あった。もうあのような目には遭いたくない。 俺の持つスキルは、少々、いや、かなり厄介で誤解を生みやすいものなのである。 できれば使いたくない。けれども、使わなければ、ダン
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第2話 木南カンナはお金を稼ぎたい
 あれから一週間経ち――「お兄ちゃん、お帰り」「ノコ、ただいま」 いつものようにバイトから戻ってきた俺は、すぐにでも布団に打ち倒れたいのを我慢して、妹のノコのため買ってきたお土産をビニール袋から取り出した。「わ、アイス! いいの? お兄ちゃん」「たまにはいいだろ。ほら、溶ける前に食べな」 うちには冷蔵庫なんて贅沢品は無い。アイスの保管は出来ないので、すぐに食べなければいけない。 ノコは、さっそく蓋を開けると、大福型のアイスを食べ始めた。 それから、俺がただ黙ってニコニコ微笑みながら見ていることに気が付いたようで、首を傾げながら、こう尋ねてきた。「お兄ちゃんのは? アイス無いの?」「俺はいいよ」「え、そんなのダメだよ。私だけなんて」 大福型のアイスは二個入りだ。そのうちの一個を、ノコは俺に向かって差し出してきた。「食べて。私、一個で十分だから」「本当に、俺はいらないよ。ノコが全部食べな」「私、二個も食べられない」 まだ小学四年生だというのに、この気づかい。なんていい子なのだろう、ノコは。俺はじんわりと感動しながら、お言葉に甘えて、大福型のアイスを食べさせてもらった。 久々に食べるアイスは、ヒンヤリ冷たくて、甘さが口の中に染み渡って、実に美味である。 うちがもっと裕福だったら、こんなアイスくらい、毎日のように食べられるのに……。 とにかくお金が無い。10年前、ノコが生まれて間もない頃、俺がまだ6歳の時に、親父は蒸発した。それからほどなくして、母さんは亡くなった。一度は親戚が助けてくれたものの、途中から、このボロアパートの家賃を払うことすら渋り始めて、結局、中学に上がった俺は、バイトで生活費を稼がなければならなくなった。 もちろん、こんなガキの俺を雇ってくれるところなんて、正規のバイトでは存在しない。だから、違法な工事現場のバイトを頼るしかなかった。 だけど、重要なのは、生活費のことだけではない。「けほ、けほ」 ノコが咳き込み始めた。 俺は慌てて、部屋の片隅に置いてある吸入器を手に取ると、ノコに渡してやった。 吸入器を使って、ノコは薬を吸い込む。すぐに、発作は収ったようだ。涙目にはなっているが、ノコはニッコリと笑った。「ありがとう、お兄ちゃん」 ノコは病気を抱えている。その治療費を稼ぐことは、生活費以上に大事なことだ
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第3話 《配信チャット》(御刀アナスタシア)
《:うおおおお、無双! 無双!》《:さすがナーシャたん!》《:まあ泥田坊なんて余裕でしょ》《:ナーシャたんマジ最強 推せる》《:でもこんな低ランク帯で戦っててもしょうがなくね》《:馬鹿、まだまだ経験浅いんだから、無茶言うな》《:ナーシャたんって世田谷系のダンジョンばかり潜るよな》《:家がその辺りだったりして》《:御刀家の邸が田園調布にあるのは有名だろ情弱》《:田園調布w 住みにくい街ナンバーワンw》《:はい貧乏人のひがみ出たー》《:お前も貧乏人だろ》《:おい、おい 3カメ見ろよ》《:なんだありゃ》《:やばくね? でかくね?》《:うおおお、進撃の巨人!》《:いやむしろ超大型巨人だろ》《:そんなレベルじゃねーぞ、雲に頭かかってるぞ》《:まさか世田谷系ダンジョンに出るとかいうダイダラボッチ⁉》《:等々力渓谷にも出るのかよ⁉》《:こんなしょぼいダンジョンでマジか》《:はいナーシャ死亡www 舐めプのしっぺ返しwww》《:アンチ帰れ》《:落ち着け、スルーしろ》《:ナーシャたん逃げて! 勝ち目無い!》《:やばくね? 泥田坊の数が増えてる》《:やばいやばいやばい》《:え、これ、逃げ場なくね?》《:ナーシャたーーーん!》《:こっち来てる! 来てる!》《:うわ、やっべ! 攻撃態勢入ったぞ!》《:ここからグロ注意》《:逃げて! 逃げて!》《:わああああああ》《:え》《:な》《:マジ?》《:岩がぐにょんって伸びたぞ⁉》《:すげえええええ》《:誰かいる!》《:やべ、遠くてよく見えね》《:いまのスキル? どういうこと? 土を操れる?》《:あんなスキル持ちいたら話題になるだろ》《:おおおダイダラが向き変えた》《:助かった!》《:超救世主!》《:¥10000 おめでとーーー!》《:すっげ1万円のスパチャ》《:ばーか、投げるなら、いまの奴に投げろよ》《:ばーか、いまの奴が誰かわからねーだろ》《:特定班! 特定班!》《:待って、今日、等々力ダンジョンでライブ配信してる奴を探してる》《:俺も探してる。わりと手垢ついてるダンジョンだから、人気ねーな。ほとんど誰も入ってないぞ》《:あ、見つけた。でも、これ違うかも》《:kwsk》《:ライバー名は木南カンナ。フルネーム? まさか本名?》《:違うっ
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第4話 金のためなら靴だって舐める
 紅茶の入ったカップを持つ手が、カタカタと震える。  こ、これ1杯で、1000円……⁉  アナスタシアが面会場所に指定したのは、まさかの銀座だった。そこにある老舗の喫茶店。てっきりチェーン系のカフェでも行くのかと思っていたら、まさかの高級店。 「さて、挨拶も世間話も終えたことだし、いよいよ本題に入るわ」  え? 俺、何か喋ってたっけ?  正直、べらぼうに高い紅茶に気を取られすぎて、会話の内容を覚えていない。自分が口を開いたのかすら記憶に無い。 「あなた、何者なの?」  俺はとりあえず紅茶を一口だけすすった。ようやく、一口目だ。恐れ多くて、この瞬間まで飲めずにいた。救いは、ここの費用は全部アナスタシアが持ってくれる、ということである。  温かい紅茶を胃の中に流し込んだことで、ようやく人心地ついた俺は、首を傾げて、逆にアナスタシアに質問を返した。 「俺のこと、どうしてわかったんだ?」「御刀重工の調査能力を舐めないで。あの日、あのダンジョンで配信していた人間を、全部調べてもらったの。結果、あなたに行き着いたわけ」「それで、なんで携帯電話の番号まで知ったんだよ」「企業秘密」「こわっ」  御刀重工は、日本最大級の軍需企業だ。そんな物騒なところだけに、情報調査の質も高いのだろう。大変な奴に目をつけられてしまった。 「あなたが岩肌に手を触れたら、岩が変形して、ダイダラボッチに襲いかかった。あんなすごいスキル、見たことがないわ。どういうからくりなの?」「スキルに理屈も何も無いだろ」「ごまかさないで。私の質問に答えて」  どうしよう。正直に言うか? 俺の能力は「
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第5話 竜神橋ダンジョン①
 というわけで、やって来ました、竜神橋ダンジョン。  ネット検索すると、ありし日の竜神橋の風景が出てくるけれど、いまやそれは古い情報。  見ろよ、この目の前に広がっている、異様な空間を。  こっちの崖からは、遙か向こうにあるはずの崖は見えない。常に白いもやがかかっていて、どれくらいの距離があるのかも不明だ。  そして、そんな空中に、蜘蛛の巣のように張り巡らされた吊り橋。  いや、吊り橋と言っても、どういう原理で宙に浮いているのかが不明だ。上に乗ったらそのまま落ちてしまいそうな不安定さを醸し出しているけど、実際は、大丈夫だろう。  なぜなら、ここはダンジョンだから。  ダンジョン内では、常識は通用しない。時には物理法則だって捻じ曲がる。思い込みや先入観で挑むのは危険だ。 「準備はいい?」  吊り橋の入り口前に立つナーシャが、こちらを振り返ってきた。彼女の背後には、フヨフヨと、3台のボール型配信機が浮かんでいる。あんな風にハンズフリーで配信できるのはうらやましいな……と思いつつ、俺もスマホを操作して、配信モードへと切り替えた。俺の場合、常に片手でスマホを掲げていないといけないのが、すごくめんどくさい。 「オッケーだ。でも、ナーシャはそんな格好で大丈夫なのか?」「へ? 何か変?」「やたら軽装備というか、なんと言うか」  目のやり場に困る、というセリフは寸前で飲み込んだ。  ナーシャが着用しているのは、サイバーパンク風のレオタードアーマーだ。ボディラインがクッキリと浮き出る形の、かなりセクシーなデザイン。豊かな胸や尻がしっかりと強調されている。このコスチュームもまた、人気の一つだったりするのだろう。
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第6話 竜神橋ダンジョン②
 ギャアギャアとけたたましい鳴き声が聞こえてきた。  空の向こうから、何百羽はいるだろう、怪鳥達が黒い雲のように群れをなして、俺達のほうへとまっすぐ飛んでくる。  ナーシャのボール型配信機材は、コメント読み上げ機能も搭載しているようだ。合成音声がスピーカーから流れてくる。 《:来たぞ、オンモラキだ!》 《:数が多いだけで大したことない、ナーシャたんなら楽勝っしょ》 《:ツレの底辺ライバーはどうだろうな》 《:見るからにひょろっちいし、楽勝でやられそうだな》 《:それな》  俺は肩をすくめた。「ダンジョンクリエイト」のスキルを使えば、それこそ吊り橋に壁を作ることだって出来る。対象物に触る必要はあるけど、その条件さえ満たせば、不可能はない。質量保存の法則だって無視できる。  もしも俺一人だったら、ダンジョンの構造自体をいじって、どうにか撃退していただろう。  でも、ここでスキルを使うのは、あまりにも危険すぎる。今回は大勢に注目されてしまってる。万が一、「ダンジョンクリエイト」持ちだってバレたら、えらいことになってしまう。  幸い、俺と一緒にいるのは、あのガトリング・ナーシャだ。  火力の女神。圧倒的攻撃力。まず負けることはない。 「よーし! 派手に行くわよ!」 《:待ってましたー!》 《:今日も無双頼みます!》  ガシャン! と重々しい音を立てて、ナーシャはガトリングガンを構えると、飛来してくるオンモラキの群れへと狙いを定めた。  たちまち、ガトリングガンの銃口が
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第7話 竜神橋ダンジョン③
 突然、オンモラキの一小隊が、一斉に爆発に巻きこまれて、あっという間に全滅した。  なんだ⁉ と思う間もなく、次の攻撃が開始される。  轟音とともにミサイルが飛んでいき、また別のオンモラキ小隊を爆散させた。 「何よ、あいつら」  不満げに、ナーシャは呟いた。  俺達がもと来たほうを振り返ってみると、十人ほどの重装備のパーティが吊り橋の上に立っている。彼らはみんなお洒落なスーツを着こなしており、どう見てもダンジョン探索者の風体ではないが、持っている重火器はロケットランチャーからマシンガンと、かなりえげつない装備だ。 「まさか、あれは」  視聴者登録数100万超えの化け物Dライバー・TAKU率いる「タックン軍団」だ。ネーミングセンスは壊滅的であるけど、その爽やかな風貌や語り口と、華やかな戦歴から、いまや多くのDライバー達の憧れの的となっている。 「やーやー、君達! 楽しそうに暴れているね! 僕も混ぜてくれよ!」  まるでホストのような見た目。明らかに染めたとわかる不自然に輝く金色の髪を風になびかせ、白い歯を見せながら、TAKUは馴れ馴れしげに俺達に近寄ってきた。 「げ……最悪な奴がやって来た」  ナーシャは不愉快そうに呟き、ガトリングガンを下げる。もう戦う必要はなかった。あとちょっとで、タックン軍団の手によってオンモラキ達は殲滅される。無駄弾を打つ必要はない。 「久しぶりだね、ナーシャ。相変わらずソロで潜っているのかい?」「そういうあなたは、相変わらず徒党を組んで戦うのが得意なのね」「勝率と生還率が上がるのなら、何だってやるよ、僕は」  もっともな理由だ。さすが登録者数
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第8話 竜神橋ダンジョン④
「さっき、TAKUが言ってただろ。物質を変化させて――」「この間は、大地系のスキルだって言ってたじゃない。嘘をついていたっていうこと?」「そ、そうそう、そういうこと」「それも嘘ね。あからさまに動揺しすぎ」  ナーシャは、すっかりお見通しのようだ。  さらに、ナーシャの配信のコメントが俺に向かって飛んでくる。 《:隠すな、ちゃんと説明しろ!》 《:ナーシャたんに隠し事とか、マジありえん》 《:結局、どういうスキルなんだよ》  俺は頭をガリガリと掻いた。しょうがない、ここは説明するしかなさそうだ。でも、誰でも彼でも教えていいものではない。 「わかった、話すよ。ただ、配信は一旦止めてほしい」「なんで?」「とにかく、その条件が飲めないんだったら、俺はここで引き返す。これ以上お前と関わり合いになりたくない」「……わかったわ」  ナーシャは配信機器を掴むと、ボタンを押した。三つ全部、同じ操作をする。俺のスマホで確認すると、確かに映像と音声はストップしている。 《キリク:おい、まさか、こっちまで止める気じゃないよな!》  すまん、キリク氏。俺のスキルは、世間に知られるわけにはいかないんだ。  容赦なく、自分の配信も止めたところで、俺は単刀直入に、自分のスキルについてナーシャに説明を始めた。 「俺のスキルは『ダンジョンクリエイト』だ」「え」  案の定、ナーシャは固まった。  それから、険しい眼差しで、俺のことを睨みつけてくる。 
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第9話 竜神橋ダンジョン⑤
 俺の「ダンジョンクリエイト」で作った階段を下りていくことで、あっという間に、崖下に辿り着いた。  岩肌から赤く輝く鉱石がいくつも飛び出している。ギラギラと輝く様は、まるで大地の太陽だ。 「これが鉱石ね。恐らく赤く輝いているのは、伝説の金属ヒヒイロカネを含んでいるからに違いないわ」「ヒヒイロカネ?」「聞いたことないかな。古い伝説に出てくる希少な金属。これを含む鉱石のことを、ヒヒロタイトというの」「こいつを、各国は求めている、ってわけか」「どこも情報を隠していたから、確信は持てなかったんだけど、現物を見てハッキリしたわ。このダンジョンで獲得できるものは、ヒヒイロカネで間違いない」「じゃあ、さっそく採取しようぜ」  何か採取用の道具を持ってきているものだと思い、俺は呑気にそんなことを言ったが、 「ちょっと下がってて」  ナーシャからそう言われて、これから何が起こるのかを察し、 「お、おい、待てよ! 冗談だろ⁉」  慌てて俺は岩壁から飛び退いた。  直後、ナーシャのガトリングガンが火を噴いた。 銃弾が岩肌を削り、そこに埋まっているヒヒロタイトを次々とえぐり出していく。ひとしきり乱射したところで、ナーシャは銃撃をやめ、地面に散らばっているヒヒロタイトを回収し始めた。 「はい、カンナも手伝って。ちゃんと持ち帰るだけにしてね」「危なかった! すごく、今の、危なかった!」「何よ、ちゃんと警告したからいいでしょ」「こんなやり方で鉱石採取するとは思ってなかったんだよ!」  文句を言う俺に対して、ナーシャの視聴者達は辛辣なコメントをよこしてくる。 《:ざまあw》&nbs
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第10話 竜神橋ダンジョン⑥
「うわあああ、AKIRAぁ!」「落ち着け! まだ死んだわけじゃない!」  タックン軍団はすっかり混乱している。  その目の前まで迫ってきた大蛇は、角で突き刺していたAKIRAの体を、真っ二つに斬り裂いた。 「あ、これは、死んだわ」  軍団員の一人が、放心した感じで呟く。  その彼もまた、大蛇の角によって一刀両断にされた。 「下がれ! ゲートから出てきた奴だ! 君達の手には負えない!」  TAKUが刀を抜き、大蛇に向かって駆けていく。この上なく頼もしい姿だ。彼ほどの実力者なら、きっとあの大蛇にも難なく勝てるだろう。  そう思っていた。  気合いとともに、TAKUは刀を振り、大蛇の頭を斬り落とさんとする。だけど、その刃は、鱗に当たった瞬間、激しい金属音が鳴って、弾かれてしまった。 「な⁉」  驚くTAKUは、大蛇に体当たりされて、吹っ飛ばされた。  幸い、角で貫かれることはなかったけれど、飛んでいった先は岩壁だった。頭から岩肌に叩きつけられたTAKUは、気を失ったのか、ガクリとうなだれて動かなくなる。 「みんな下がって! 私が仕留める!」  続いて、ナーシャがガトリングガンを構えて、前へと進み出た。  タックン軍団が散り散りになって逃げ惑う中、ナーシャの銃口が火を噴いた。  大量の銃弾が大蛇の頭部へと叩きつけられる。けれども、大蛇にはまったく効いていない。全ての弾を跳ね返しながら、大蛇はゆっくりと間合いを詰めてくる。 「嘘でしょ⁉ どうして、平気な
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