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ผู้เขียน: 灰猫さんきち
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-12-11 06:53:55

「……くっ」

 笑ってはいけない。本人は真剣なのだ。私は頬の内側を噛んで、必死に笑いをこらえた。

 彼は姿見の前に行き、自分の姿を確認した。鏡の中の自分(とモチ犬)を見て、ニマニマしている。満足らしい。

 そのまま彼は私のビーズクッション、「人をダメにするクッション」にダイブした。

「……あー」

 ドサッ、という音と共に、長い手足が投げ出される。彼はクッションに埋もれながら、ゴロゴロと寝返りを打った。

「……すげぇ。どこも締め付けない」

 彼は天井を見上げて、夢見心地で呟いた。

「軽い。雲を着てるみたいだ」

 ポリエステル混紡、1980円。その安物が、彼にとっては最高級シルク以上の着心地らしい。

 彼は床に散らばった黒い服の山を、忌々しそうに見下ろした。

「あの服は俺にとっての仕事着、いわば鎧だから。……息をするのも苦しいんだ」

(鎧)

 その言葉に、胸が痛む。華やかなステージ衣装も、完璧な私服も。彼にとっては自分を縛り付けて「綺更津レン」という虚像を演じさせるための拘束具でしかなかったのだ。

「この犬の服を着ている時だけが、俺が息をしていいんだ」

 彼は深く、安らかに息を吸い込んだ。その表情はステージで見せるキメ顔よりもずっと、人間らしくて魅力的だった。

 私はキッチンで温かいほうじ茶を淹れ、ローテーブルに置いた。彼はクッションに埋もれたまま、胸元のプリントを愛おしそうに撫でている。

「……やっぱ似てる」

「だから似てませんって」

 私は湯呑みを置きながら抗議する。モチ犬の顔は点のような目と、への字の口。完全に「無」の表情である。

「似てるよ。おにぎり食ってた時の顔」

 彼はモチ犬の頭をポンポンと叩いた。

「何も考えてない幸せそうな顔。こいつ見

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