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第8話

Author: 姫様参上
蒼一郎は邸宅にある物を手当たり次第に壊し、鮎美はゲストルームに逃げ込んだきり出てこようとしなかった。

「調べろ!」

彼は秘書に向かって怒鳴り散らした。

「この街を発着するすべての航空便、新幹線、長距離バスを調べろ!彼女の名義で予約されたホテルの宿泊記録も全部洗え!

手首を怪我して、高熱まで出していたんだぞ……」

彼の声が、かすれた。

「手がほとんど使えなくなった女が、一体どこへ逃げられるっていうんだ!」

30分後、秘書が汗だくで戻ってきた。

「社長……見つかりません。

この街の空港や駅、バスターミナルをすべて調べましたが、奥様名義の乗車券の購入記録は一切ありません。銀行口座も、スマホ決済サービスも、この3日間一度も使われた形跡がないんです。

奥様は……消えてしまいました」

蒼一郎は秘書の襟元を掴み上げた。

「ありえない!人間がそう簡単に忽然と姿を消せるわけがないだろ!」

手を離すと、オフィスの中を焦燥に駆られて歩き回った。

1本、また1本と煙草に火をつけ、灰皿はすぐに吸い殻の山になった。

煙の中で、ふと3年前のあの豪雨の日を思い出した。

歌音が彼の代わり
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