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第7話

Author: 天月
二人の姿を見たとき、真希の胸には、もはや何の感情も湧かなかった。

ただ、以前のような嫌悪感すらもう消えていた。どうせあと二日もすれば、もう二度と顔を合わせることもない。ならば、無駄な感情は抱かず、穏やかに終わらせればいい。

そんな彼女の態度に、泰明は得体の知れない不安を覚えた。その正体は自分でもうまく言い表せなかった。

かつてなら、彼と娘が二日帰らなかっただけで、真希は数十回も電話をかけ、何百通も謝罪のメッセージを送って、必死に帰ってくるよう懇願した。

だが今回、家を十日以上も空けたのに、彼女からは一切の連絡がなかった。

泰明は、自分の胸のもやもやした感情を「可哀想だから」「一人で寂しいだろうから」などと無理やり言い訳していた。

けれど彼の本音は、自信に満ちていた。真希は自分を愛していて、もう自分なしでは生きられない。だからこそ、何度でも彼女を苦しめることができると信じていた。

今回、自ら帰ってきたのも彼女に「チャンスをやる」という、上から目線のつもりだった。

ところが、真希の顔に浮かぶのは相変わらずの無表情で、冷たい。泰明は苛立ちを隠さず、顔をしかめた。「なんだ、その態度は?俺たちが帰ってきて嬉しくないのか?」

真希は彼と無駄口を叩く気もなかった。残り2日、くだらない言い争いをする必要もない。そう考え、彼女は何も言わずにさっさと庭へと足を向けた。

彼女の冷めきった背中を見つめながら、泰明の胸の奥には、得体の知れない焦燥感が広がっていった。

彼は複雑に絡み合った気持ちだった。特に過去を思い出すと、慌ただしさが込み上げてくる。

自分がどん底だったあの頃、ずっと傍にいてくれたのが真希だった。

真希が部屋に戻り、水を飲もうとリビングに入ると、そこには、床一面に花びらが散りばめられ、テーブルにはキャンドルディナーが用意されていた。

この光景に、真希はただただ皮肉な思いに駆られた。今さらそんなことをしても、何の意味もない。

彼女は眉をひそめ、鼻と口元を手で覆った。

その仕草を見て、泰明が慌てて近づいてきた。

「具合でも悪いのか?」

真希は落ち着いた声で答える。「花粉症なの」

彼女は昔から花が嫌いだった。特にバラは、美琴が好んでいるものだ。

泰明は思わず言い返しかけたが、真希の変化を思い出し、ぐっと飲み込んだ。

最近の彼女は、あまりにも別人のようで、まるで自分の掌からこぼれ落ちるように感じられた。それが妙に不安だった。

彼は思った。もしかすると、これまでの冷たさが過ぎたのかもしれない。二人で過ごした日々を思えば、今さらひどい言葉は口に出せなかった。

泰明が何も言わずに黙り込んだことで、逆に真希は驚いた。

あれだけ感情的だった彼が、何も言わないなんて、こんなことは初めてだった。

そんな彼が突然、二枚のチケットを取り出した。夜のクルーズ船のものだった。「前の結婚記念日、それとお前の誕生日。俺、ちゃんと祝えなかった。今回は、その埋め合わせをしようと思って。家族みんなで行こう」

真希はただ黙ってそれを見つめていた。手を伸ばすことはなかった。

ふと、彼女は思った。自分の変化に、泰明は何かを察したのだろうか?だからこそ、こんな急な取り繕いを始めたのか?

だが、どう思っていようと関係なかった。遅れてやって来た愛情なんて、価値がない。

そのとき、玄関から美琴が現れた。手には、一花の大好物のアイスクリーム。

一花は満面の笑みで美琴の手を握った。「ありがとうママ!やっぱりママが一番好き!」

泰明は顔をしかめ、すぐに口を挟んだ。「勝手に呼ぶな」

だが一花は無視して、きっぱりと言い放った。「だって、私は秋葉おばさんがママになってほしいの!あのブスはいらない」

泰明は、一花を抱きかかえると、無言のまま階段を上っていった。しっかり娘を教育しなければならない。

二人が去った後、美琴はさっと部屋を見渡し、テーブルの上のクルーズチケットに視線を止めた。そして、嘲笑を浮かべながら言い放った。「こんなふうにしがみついたって無駄よ。すぐに分かるはず。泰明さんが本当に愛してるのは、誰なのかって」

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