共有

第 949 話

作者: 一笠
けど、優奈は江崎夫妻に対しての情なんか微塵もないはずだし、血のつながっている両親とは言え、今まで一度も会ったことのない彼らに対して、愛想なんか振り向かないと思うよ。まあ、でも、あの夫婦も簡単には引き下がらないだろうね。

だから、達也がああいう風に仕向けたのは、毒をもって毒を制す、っていうことじゃないかな?本当の親子3人が揉めれば揉めるほど、優奈は苦労するだろうから」

「他人がどう生きようが、俺の知ったことではない」

聖天は凛の肩をつかみ、彼女を自分の方に向けると、彼女の恨みに満ちた瞳を見つめた。

「もし君がまだ奴らを恨んでいるなら、俺が君の刃となる」

その切れ長の目に殺意が宿るのを見て、凛はド
この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード
ロックされたチャプター

最新チャプター

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1057 話

    凛が微笑んだ。聖天は、世界が輝きを増したように感じた。......1ヶ月にわたるヨーロッパ旅行が終わっても、凛はまだ授賞式の夜を忘れられなかった。妊娠後期になるにつれ、体は重くなっていったが、それでも凛は毎日撮影の仕事に忙しく、充実した日々を送っていた。その間、朔の裁判も行われていたが、判決は弁護士の予想とほぼ同じだった。その日、テレビでニュースが流れていた。「綾辻朔死刑囚の死刑が、本日午前に執行され......」その時、梓には朔の最後の瞬間が見えた気がした。ちょうど凛の検診中だった梓は、一瞬、動きを止めてしまった。凛は梓の手を握り、優しく言った。「梓、これで本当に自由になっ

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1056 話

    結婚式の後、聖天は凛と新婚旅行で海外に出かけた。ヨーロッパのカフェで休憩していると、弁護士から電話がかかってきた。「本日の公判は順調に進みました。このままいけば、あと1ヶ月で手続きが完了し、判決が下されるでしょう。綾辻さん、おそらく死刑は免れないかと。自首したあの『ウルフ』という男は、おそらく無期懲役、優奈さんに関しては......7、8年の懲役になると思われます」......弁護士は公判の様子を詳しく説明していたが、コーヒーを運んでくる凛の姿が目に入ると聖天は、「分かりました。残りは任せます」とだけ返事をした。凛も今日は公判の日だと覚えていたので、コーヒーをテーブルに置き自分も座

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1055 話

    二人は微笑みながら見つめ合った。この光景に、参列者たちは皆、深く感動した。雪は涙を拭いながら呟く。「聖天が凛と結婚できたことは、もちろん聖天にとっての幸せなんだけど、私たちにとっても大きな喜びね......」ふと視線を向けると、慶吾もこっそりと涙を拭っているのが見えた。雪に見つめられたことに気づいたのか、慌てて手を止め、背筋をピンと伸ばす。雪は涙を拭うと、微笑んで言った。「もう誰もあなたのことなんて見ていないんだから、泣いたってどうってことないわよ」「泣いてなんかない。こんなめでたい日に、なぜ泣く必要があるんだ?」慶吾は鼻をすすり、真面目な顔で言った。「目にゴミが入っただけだ」雪は

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1054 話

    真っ青な空には白い雲が浮かんでいる。昨日の夕方から、続々と招待客が島に到着し、別荘地にチェックインしていた。普段裕福な暮らしをしている彼らも、島の装飾に驚きを隠せなかった。島全体が美しく飾り付けられ、甘い雰囲気に包まれている。青と白を基調とした花々が桟橋から式場となる芝生まで敷き詰められていた。今までの霧島家はパーティーを開く際、仕事関係の人だけを招待していた。しかし今回は、雪が芸能界の重鎮たちを招待していた。それに、美雨も凛を応援するために多くの芸術家仲間を招待したのだった。招待客リストが完成した時、慶吾は思わず驚いた。「島が人で溢れかえってしまうんじゃないか?」すると輝が驚き

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1053 話

    「来る途中慶吾と話したの。夏目家を出て、霧島家に嫁ぐという決断をしてくれたあなたを、私たちは絶対に裏切らないようにしよう、って。それに今、あなたは妊娠しているのよ。これから10ヶ月もの間、とても大変だと思うし、出産だって命懸けのことなの。だから、もし私たちにできることが少しでもあるのなら、何でもさせて欲しいなって思って」雪は凛の肩に手を置きながら言った。「もしあなたが断ったら、私たちは悲しいわ。あなたのために何かしたいの」ここまで言われたら、もう断ることなんかできないだろう。凛は少し考えてから頷いた。「ありがとうございます。お父さん、お母さん」慶吾夫妻はすぐに満面の笑みになった。「そう

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 1052 話

    笑いを堪える凛の声に、聖天はほっと胸を撫で下ろした。「何か良いことでもあったのか?」「うん」凛は手に持った妊娠検査の結果を見ながら、嬉しそうに言った。「そんなに私に会いたいんだったら、聖北病院まで来て」本来であれば、拘置所から聖北病院までは車で1時間ほどかかるのだが、期待に胸を膨らませた聖天は50分もかからずに到着した。車を停め、遠くから入口に立っている凛の姿を見つけた聖天は、すぐに車を降り、彼女に向かって大股で歩いて行った。凛は幸せそうな笑顔で、両手を広げ、聖天の胸に飛び込んだ。「私、妊娠したの」「なんだって?」聖天は驚き、凛の肩を掴んで少し突き放した。「もう一度言ってくれ」そ

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 516 話

    正義は家に入ってからずっと機嫌が悪く、翔太にもいつもの笑顔を見せなかった。翔太が夕食を終えて帰ってから、優奈は正義のそばに行き、「お父さん、今日は姉さんのところへ行ってきたの?」と尋ねた。「彼女がお前の姉だと?夏目家にあんな恩知らずはいない!」正義はかっとなってテーブルを強く叩き、優奈はびくっとした。美代子は慌てて優奈を守りながら、「お父さん、優奈のお腹の子を驚かせないで」と言った。「お母さん、大丈夫よ」優奈は申し訳なさそうに、「お父さんは私のために怒っているの。だから、このことは......もう忘れよう。後で翔太と話して、まずは子供を産んで、それから......」と言葉を濁った。

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 505 話

    「そもそも彼に当主の座など期待していなかった。ただ、家族仲良く暮らせればそれでよかったんだ。彼に才能があるだの、他の兄弟とは違うだの言って、当主に仕立て上げたのは、あなたの方でしょ!ああ、その通り。当主の座はあなたが与えたものだ、いつでも取り上げられる!今、あなたの望み通りになったでしょ!彼はあなたの中ではもう何者でもないでしょが、私にとっては、いつまでも自慢の息子よ!あなたの勝手なルールで私を縛るなよ!」雪は声を震わせ、目に涙を浮かべながら言った。「私はあなたにとって妻でなくてもいい。でも、一生、聖天の母親であることには変わりはない」この間、雪は何度も聖天に言われた言葉を思い出してい

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 536 話

    煌は優奈を見送ると、瞳の奥の深い愛情は潮が引くように速やかに消え失せた。昨夜、優奈は彼の腕の中で凛の話を持ち出し、大山に会うようにという正義の申し出を凛が断ったと告げたのだ。この件に凛が関わっているというのは、煌にとって最も避けたい事態だった。しかし、どんなに避けようとしても、この人生には凛が付きまとってくるようだった。最近、凛がトレンド入りする回数が増えていて、毎回、彼はその詳細を知りたい衝動を抑えていた。しかし、ネットを少し見れば彼女の情報が目に飛び込んでくるのだった。当初、凛が聖天のせいで慶吾から目を付けられ、圧力をかけられていると知った時、煌は心からざまあみろと思った。凛がも

  • 夏目さん、死なないで! 社長のアプローチが始まった!   第 491 話

    これまで注目されることのなかった子供たちは、今回のプロモーションビデオの撮影で初めて必要とされていると感じ、一人ひとりがやる気に満ち溢れていた。荒助は、そんな変化を全て見ていた。口には出さないが、心の中では凛と聖天を受け入れ、むしろ好意さえ抱いていた。だから、自分から聖天に近づこうとしたのだ。「わかった」荒助は返事をして、聖天の方をちらりと見た。「僕は先に行く。暇だったら、こっちへ来て遊ぼうぜ」男の子と走り去る荒助の後ろ姿を見送りながら、聖天はそれとなく唇を歪めた。その時、ポケットの中のスマホが振動した。誠からだった。聖天は電話に出た。「何か用か?」「聖天様、今日、翔太さんが介護

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status