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27話. 待ってはいけない理由

作者: 6jay
last update publish date: 2026-10-21 19:39:25

「先生、お腹が痛い患者さんなんですが、鼠径部にも何か触れます」

金曜日の午後3時20分、湊が絵里を呼んだ。

絵里は午後の勤務に入り、病棟の申し送りを確認しているところだった。午前中に診ていた患者のうち、明子は処置後の経過をさらに確認してから一般病棟へ移っていた。新たな出血を疑う変化はなかった。

絵里はその記録を閉じ、湊に尋ねた。

「今の状態は?」

「意識は清明で、血圧も保たれています。嘔吐があり、お腹が張っています。佐伯先生が先に診て、外科に依頼されました」

「痛みはいつから?」

「今朝からだそうです。鼠径部の違和感は、それ以前にも時々あったそうです」

絵里は診療エリアへ下りながら、必要な準備を頼んだ。まず患者を直接診て、検査と処置は状態に合わせて進める必要があった。

ベッドには小柄な女性が、右脚を少し曲げて横になっていた。付き添いはまだ到着していない。ベッド柵には嘔吐用の袋が掛けられていた。

「大島澄江さんですね?」

「はい」

「外科の藤崎絵里です。どこがいちばん痛みますか?」

澄江はお腹の真ん中を指したあと、手を下ろした。

「ここも痛いし、下のほうも。運動の仕方が悪かったのかしら
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