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64. 手を加えるところはありません。

last update Date de publication: 2026-10-21 17:16:42

「綺麗」という言葉が唇からこぼれ落ちそうになるのを、ジンヒはかろうじて押しとどめ、飲み込んだ。

「……どこもとても良い状態ですので、手を加えるところはまったくありません」

ジェシカという第三者の前で、しかも既婚女性である患者に向かって、これほどあからさまに本心を漏らしていることに、戸惑って当然だった。

ところが不思議なことに、ブレーキの外れてしまった自分の姿が、もはや少しも見知らぬものには思えなかった。

ジェシカが未来の肩を軽くすくめさせながら、声を上げて笑った。

「あらあら、未来、よかったじゃない? ユ先生が、あなたの顔には直すところが一つもないっておっしゃってるわよ」

未来は今にも破裂しそうなほど顔を赤くして、うつむいた。心臓をぎゅっと絞られるような胸の高鳴りが、どうしても収まらなかった。

けれど、ジンヒは違った。

ジェシカのいたずらっぽい冗談も、周囲の視線も、今の彼には何の障害にもならなかった。

未来がゆっくりと顔を上げた。

ジンヒはその潤んだ瞳から目をそらさず、まっすぐに見つめ返した。

微笑みさえ浮かべなかった。

ただ、少しの揺らぎもない深い眼差しで、未来の瞳だけを見つめてい
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