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第185話

Author: 迷い魚
屋敷の駐車場に着くなり、征臣は紗和を抱き上げた。泣かなくていいと宥めながら、そのまま屋敷の中へ入っていった。

紗和の体は細く、しなやかだった。征臣の大きな腕に抱かれると、重さなどほとんど感じない。

どれほど身じろぎしても力は弱く、意識も定かではない。病気の子どものように、小さく腕の中へ収まっていた。

征臣は紗和をベッドへ寝かせた。

その頃には、紗和の意識も少しだけ戻っていた。直前まで何があったのか分からない。目の前にいる男を見て、はっと息を呑んだ。

伊織ではないかと怖くなったのだ。あんなときに伊織と出会うとは思っていなかったし、拒んだにもかかわらず、部屋へ抱いていかれるとも考えていなかった。

そのあと記憶が途切れている。

紗和はすぐ、男の顔を確かめた。

目に入ったのは征臣だった。長く上向きに反った睫毛と、鋭く冷ややかでありながら整った目元。下まつげまで細く密に生え揃っていた。瞳だけが深い闇をたたえ、紗和を底へ引き込もうとしていた。

紗和はもう、何も知らない少女ではない。一人の大人の女性だ。

長く押し込めてきた感情が、一気に堰を切ってあふれ出す。

自分でも予想してい
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