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第437話

Penulis: かおる
「まさか清子を、スキャンダルまみれで売り出すつもりか?」

勇はなおも食い下がった。

「話題性はいらないってことなら、どんな作曲家でも構わないだろ。

わざわざ星に頼む必要はないはずだ」

だが雅臣は彼を無視し、清子を見つめた。

「清子。

彼女はスターの名前で注目を集められるだけじゃない。

自分の名前でもやがて火がつく。

曲の良し悪しは、お前が一番よく分かるはずだ。

もちろん、別の作曲家を選ぶというなら、それでも構わない」

清子は偏見を抱いたまま楽譜をめくっていた。

しかし否応なく目に入るのは、既成の作曲家たちのパターン化されたものとは違う、新鮮で生き生きとした旋律。

どうしてスターが世に受け入れられているのか、その理由が分かった。

音楽家としての眼で判断すれば、どの曲にも爆発的にヒットする可能性がある。

逡巡ののち、彼女は決断した。

「雅臣の言う通りだわ。

星野さんの曲は確かに傑出している。

――決めましょう」

そう言って勇に目配せし、口を閉ざすよう合図する。

彼も不満げだったが、結局は従った。

こうして双方の合意が取れると、具体的な条件の取り決めに移った。

星は言った。

「今日の話し合いは、すべて録音してる。

もし私の楽譜が漏洩すれば、法的に責任を追及するわ」

勇は皮肉げに笑った。

「どうせ名前だけで、中身は他人の盗作じゃないのか?」

彼には受け入れがたい事実だった。

――憎んでいるこの女が、かつて応援し、誇らしげに語ったスターだったなんて。

星の声は冷ややかだった。

「私が盗作しているなら、とっくに暴かれているはず。

今まで無傷でいられるわけがないでしょ。

もし神谷さんが不安なら、この話は白紙に戻してもいいわ。

それに、私の曲はすべて創作当初からデータに残してある。

制作過程も時系列で記録済み。

だから、どんな疑いにも動じない」

そして意味ありげに勇を見やる。

「今日出した未発表の曲が外に流れたら......一番疑われるのは、あなたたちよ」

彼の思考は一瞬で凍りついた。

――確かに、それを利用して攻撃しようと企んでいたのだ。

だが星の言葉は、その道を完全に塞いでしまった。

雅臣が口を開いた。

「誠、契約書を作れ」

「はい」

誠はすぐに出て行った。

その視線は次に、脇に立つ岬へ。

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