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第537話

Author: かおる
――だが、問題がないように見えるほど、むしろ問題なのだ。

証拠がない以上、葛西先生が軽々しく断定することはない。

だが、仁志はおそらく、星に興味を抱いて近づいたのだろう。

そこまで言われては、星もこれ以上強くは断れなかった。

「......わかりました」

葛西先生は満足げに頷き、穏やかな笑みを浮かべた。

その後、星は少しだけ葛西先生と世間話を交わし、席を立った。

屋敷を出た直後、彼女のスマホが突然鳴り出す。

画面に表示された番号を見た瞬間、星の表情がこわばった。

――雅臣。

彼がいまさら何の用なのか。

星は反射的に「通話拒否」を押した。

だが、一分も経たないうちに、再び同じ番号から着信があった。

再び、通話拒否。

もう彼と話すことなど、何一つ残っていない。

けれど、今度は別の番号が表示された。

――航平。

星は胸騒ぎを覚えながら、数秒だけ迷った末に通話を取った。

「星」

受話口から聞こえたのは、鈴木の緊迫した声だった。

「翔太くんが......拉致された」

「......なに?」

星の血の気が引いた。

「今日、週末で、清子が翔太くんを遊園地
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