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第738話

Author: かおる
清子の頭の中を、ふとひとつの記憶がかすめた。

――仁志が、「雲井明日香を訪ねろ」と言ったこと。

......ということは、あの人もこのイヤリングを見ていた?

胸の奥がひやりと冷える。

彼は――自分を試しているのか。

それとも、すでに何かを掴んでいるのか。

だが、仮に仁志が明日香のイヤリングを見たとしても、それがあのイヤリングだと証明できるわけではない。

同じデザインのものなど、この世にいくらでもある。

......そう、自分に言い聞かせても、心臓の鼓動は早まる一方だった。

明日香も......確か、バイオリンを弾く人。

もし彼女が、同じイヤリングを二組持っていたら......?

清子は作り笑いを浮かべ、穏やかに答えた。

「そのイヤリング――以前、どこかで誰かがつけているのを見かけて、とても気に入ったんです。

だから、同じものを探していたんですよ。

それで雲井さんがつけているのを見て、欲しくなって......」

明日香は、その言葉を静かに聞いていた。

だが、瞳の奥には一片の信頼もない。

......やはり、嘘。

彼女は微笑を保ったまま、さらに探るように
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