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第837話

Author: かおる
ここまで聞いて、優芽利の胸がドキリと鳴った。

――仁志が探しているのは、間違いなく星。

仁志は続けた。

「当時、僕はうつ病を患っていて、精神状態がひどく落ち込んでいました。

生きている意味すら見失っていました。

しかし、彼女の演奏を聴いて......

もう一度、生きる希望が湧いたんです。

僕にとって彼女は、命の恩人なんです」

優芽利は、悟ったような表情を浮かべた。

だが「それが自分だ」とは、軽々しく言わない。

ただ微笑んで、こう返した。

「その人に、声をかけなかったのですか?」

「いいえ」

仁志は言った。

「その時の僕は状態が悪く、声をかけられなかったんです。

彼女が立ち去った後、その場所で......イヤリングをひとつ拾いました」

そして、優芽利を見つめた。

「司馬さん......バイオリンは弾けますか?」

優芽利は言った。

「少しだけです。

でも、そんなに得意じゃないです」

仁志は続けた。

「『白い月光』は弾けますか?」

優芽利はハッとし、驚いたように言った。

「仁志さん......もしかして、私がその人だと思ってるんですか?」

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飯島由紀
光は手にしたイヤリングを見つめた…って仁志のこと?
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